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Edgeworth-Kuiper Beltさんが書き込んだレビュー
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江戸の技と匠 独自の文化を支えた職人と科学者たち (双葉社スーパームック)
江戸の技と匠 独自の文化を支えた職人と科学者たち (双葉社スーパームック)
価格: ¥ 1,785

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5つ星のうち 4.0 文化都市江戸を支えた技術と今に生きる伝統, 2013/6/19
浮世絵、渋川春海の貞享暦、平賀源内、からくり儀右衛門、伊能忠敬の日本地図、木製入れ歯、世界初の全身麻酔による乳がん摘出手術、江戸刺繍、髪飾り、友禅染め、和傘や草履やキセル、江戸前寿司、てんぷら、江戸漆器、江戸切子、お膳、豆腐やかまぼこやところてん、刀、鎧、彫刻、絵馬、大工、江戸すだれ、籠、提灯、表具、江戸風鈴、人形、独楽、手まり、船頭、飛脚、他。

江戸の文化を支えた職人や科学者の技を紹介した本。オールカラーで、当時の浮世絵や、工芸品の写真が数多く掲載されている。それだけでなく、当時の伝統を継承する職人さんたちが、実際に浮世絵を刷ってみせたり漆塗りや蒔絵をほどこしている作業を取材して、紹介してあるのも嬉しい。例えば、浮世絵は絵師にばかり注目が集まるが、実際は、絵師、彫師、摺師の魂のぶつかり合いの作業であったことがわかる。また、昔の握りずしの1貫は、今のおにぎりくらいの大きさがあったという。

浮世絵はヨーロッパの印象派の画家達に大きな影響を与えた。また、「私は、桶屋の前を通ると、必ず何か買いたくなってしまう」(イザベラ・バード)とあるように、幕末に日本を訪れた外国人たちは、なにげない日用品工芸品ひとつひとつにも丁寧に精密な技が駆使してあることに驚嘆したことを記録として残している。時代は変わり、人も変わり、暮らしも変わり、道路も街も、仕事も生活も、社会制度も、日用品や衣服も、娯楽も習慣も変わった。しかし、本書を読みながら、江戸時代の繊細さと質素さと華麗さを伴った独特の文化を支えた当時の人々の気質は、様々な形で現代の私たちにも受け継がれているのかな、という気がした。

よい製品とは何か
よい製品とは何か
ジェイムズ・L・アダムズ著
エディション: 単行本

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5つ星のうち 5.0 より良い品質は、善である(Better quality is good), 2013/6/18
レビュー対象商品: よい製品とは何か (単行本)
「本書のテーマは品質である。技術製品も工業製品も、長い目で見れば『良い製品』が勝ち残るというのが私の主張だ」「品質の高い製品をつくる会社の最良の方針は、正直であることだ」「優れたクラフトマンシップは、美的喜びと誇りをつくり手と使い手の両方にもたらす」。

製造業においてもっとも重要なのは品質であるという視点から、著者のものつくりについての考えやこだわりについて書いた本。といっても、QC活動やカンバン方式の解説といったような教科書的な話ではなく、全体品質を確保することの重要さととともに、人に訴えてくる価値や仕上がりの繊細さや美意識といったような点を強調した主張となっており、ある意味で啓蒙的な内容を含んだ読み物ともいえる。品質の意味も広くとらえられている。著者はスタンフォード大学の名誉教授。自身の経験を交えながら、特に、パフォーマンスとコスト、人になじむか、クラフツマンシップ、感情に訴えるか、エレガンスと洗練、象徴性と文化的価値、地球への影響といった点に焦点をあてている。

デビッド・ガービン教授の品質の8つの側面への考察(性能、機能、信頼性、適合性、耐久性、サービス性、美しさ、知覚品質)。マーケティング重視の落とし穴。製品を観る人が得る、感動、洞察、学びは安易に数値化できない。品質は細部で決まる。まず、ユーザの気持ちに集中し、それから技術的な部分に注意を向けるべき。設計が品質を決定的に左右する。設計者は優れたエンジニアであると同時に芸術家でもあり、ビジネスを理解し、チームワークに長けた人でないとならない。人は値段を論理的にとらえていないものだ。パフォーマンスとコストと価格のバランス。ブランド力。人になじむ製品をつくるという視点の重要さ。製品を人にマッチさせようとする意識を高く持ち、人とモノの適合性に関する情報を集め、ユーザに対して十分な試験を行うこと。洗練された製品を生むには、まずその分野の製品を好きになること。誰もが受け入れる製品は、個人としてはつまらないものになりがち。工学系の大学やビジネススクールは、美学やエレガンスや洗練をもっと教えるべき。国の文化と製品との関係性。地球という制約と向かい合うことの大切さ。

日本企業の名前もよく登場する。トヨタ、ホンダ、カワサキ、キャノン、ニコン、ペンタックス。タミヤのプラモデルの部品がぴったり合うことを絶賛しているところもある。特に日本が好きというより、良いモノを分け隔てなく気に入って褒めているという感じである。アメリカは日本の人間国宝制度を参考にすべき、という指摘もある。

全編を通して、著者のモノ作りとそれを支える品質に対する真っ直ぐな思いが伝わってくる。品質は多面的で複雑な問題だが、最終的に高い付加価値と利益を生み出すのは結局高い品質だという。その本質はむしろ数値化できないところに宿る。品質へのこだわりは誇りや向上を生み、文化や多様性や洗練や美ともつながる。そして、著者は最後に次のように断言している。「より良い品質は、善である」(Better quality is good)と。

図説偽科学・珍学説読本
図説偽科学・珍学説読本
グレイム ドナルド著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,890

5つ星のうち 4.0 既に昔話になっていることだけではありません, 2013/6/17
歴史上の偽科学の本です。著者はアメリカ人で、迷信や歴史の誤解について研究している人のようです。

頭の凸凹で性格や人間性がわかる、軍隊の行進が共振現象を起こして橋が落ちる、錬金術、女性のヒステリーを治すために女性のあそこに指や道具をいれて刺激を与える、タバコの煙をおしりの穴から吹き込む治療法、人類は猿から進化した(さかのぼると猿と共通の祖先になるのであって猿から進化したわけではない)、優生学、地球平面説、サブリミナル効果と睡眠学習とモーツアルトを聴くと頭が良くなる、麻薬による各種治療法、悪臭で病気になる、サルから人へ進化したリンクになる存在の化石及びサルと人間の間の子孫つくりの努力(これが1920年代にSIVからHIVになりAIDSに繋がった可能性があるという)、大げさに語られたアフリカや中南米の食人習慣、中世のペストは腺ペストでありネズミのノミが運んだ、子供には母親が昔性交した相手の遺伝も伝わる、地球空洞説、動物の生命エネルギーは外部の磁気エネルギーの影響を受ける、病気は体液の過多からくるのでそれを抜き取ると病気が治ることがある、といった内容になっています。

どうしてこんなことが科学だと信じられていたのだろうと思うものもありますが、モーツアルトを聴くと頭が良くなる、人間は脳の10%しか使っていないというような、今でも信じられているかもしれないことも載っています。

珈琲の大事典
珈琲の大事典
成美堂出版編集部著
エディション: 単行本(ソフトカバー)
価格: ¥ 1,680

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5つ星のうち 4.0 コーヒーを飲みながら, 2013/6/16
タイトル通りの本。オールカラーで、写真や絵が豊富。わかりやすくて、大変見やすい。特に前提知識は必要なく、気軽に読める。

おいしいコーヒーの淹れ方、コーヒー豆の種類や産地や特性、クリームをはじめとするさまざまなアレンジコーヒーの紹介やカプチーノなどの作り方、バリスタの視点からどのようにコーヒーを楽しんで見分けて煎ったりブレンドするかのポイント、簡単なコーヒーの歴史の紹介、という流れになっている。巻末には、コーヒー用語辞典もある。

コーヒーの淹れ方ひとつとっても、水の種類やお湯の注ぎ方など、結構細かく解説されている。また、淹れ方の5つの要素と味の関係は以下のように説明されている。
・焙煎度**:(苦味強い)深煎り←→浅煎り(酸味強い)
・メッシュ**:(苦味強い)極細挽←→荒挽(酸味強い)
・粉の量**:(苦味強い)多い←→少ない(酸味強い)
・お湯の温度:(苦味強い)熱い←→ぬるい(酸味強い)
・抽出速度*:(苦味強い)遅い←→早い(酸味強い)

様々な器具の話もあるし、品種についても写真で実物を示しながら産地別の特徴をわかりやすく解説している。コーヒーの赤い実は、そのまま食べてもおいしいという。また、評価の基準としては以下の8つを挙げて詳しく説明している。
・基本の4項目:フレーバー、甘さ、きれいさ、総合評価
・次の4項目:酸の質、後味の印象度、口に含んだ質感、ハーモニーと均衡性

歴史についてはごく簡単な説明となっているが、複数ある起源の紹介、今のように飲まれるようになったのは15世紀前後と考えられている、ヨーロッパでは17世紀の資本主義の台頭とともに広まった、といったことの他に、日本の貢献として、1969年にUCCの創業者が考えた缶コーヒーと1973年にポッカが開発したホット/コールド機能付きの自動販売機の話がある。

幅広い対象の読者が、興味を持って読める内容にまとまっている。

カラフル (文春文庫)
カラフル (文春文庫)
森 絵都著
エディション: 文庫
価格: ¥ 530

5つ星のうち 5.0 不朽の名作, 2013/6/15
レビュー対象商品: カラフル (文春文庫) (文庫)
「人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて」。

なんとも唐突な始まりだ。
死んだ魂が抽選に当たる。
自殺した直後の中3の少年の体で期限1年のホームステイ。
天使のプラプラが、何も知らない魂にこの少年の情報を与え、
魂は勘のいい1人の少女に怪しまれたり、
あまりに複雑な事情を抱えた小林家と学校の知人たちに驚きつつも、
ホームステイを通じていろいろな経験をしてゆく。
そして。。。。

実にいい話しだった。
しかも、読み出したら途中で止められない。

柔らかく、優しさがほのかに漂う文体に救われてはいるものの、
魂が少年の体を通じて放り出される状況の設定自体は、なかなかシリアス。

この作品は、世の中の不条理さ、人間の愚かさ、
といったものを、全くかばっていない。
人生は素晴らしいとか、目的を持って生きるべきとか、
安易に説教じみたことを説いているわけでもない。
なのに、強くたくましいメッセージが最後に読者の心に残される。

ときには目のくらむほどカラフルな世界。
多くの矛盾や、苦しみや、迷いや、絶望や、孤独や、希望の色に、
もみくちゃにされながら、人は皆生きている。
たとえその目的がなんだかわからなくても。

児童文学という枠にとどめておくのはもったいない。
見事な傑作。

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 6/27号 [雑誌]
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 6/27号 [雑誌]
価格: ¥ 550

3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 2014年W杯出場決定とコンフェデに向けて, 2013/6/14
「コンフェデはテストじゃないんでね。勝ちに行く。それは揺るがないです」(本田圭佑)
「ポジティブに考えれば『W杯までまだ1年ある』って思えるけど、もう来年ってことですからね」(香川真司)
「(コンフェデで)個人的に試したいのは守備の部分...(中略)...アジアの間合いのままだと、世界のトップクラスには通用しないから」(長谷部誠)
「アジア相手に点取れていないんで、世界とやったらもっと厳しくなる」(遠藤保仁)
「本気で目指さないと世界のトップにはたどりつけない。僕は信念を持って目指すつもり」(長友佑都)
「自分が成長できている部分をもっともっとスムーズに代表で表現したい」(吉田麻也)

サッカー男子日本代表の2014年W杯出場が決まりました。しかし、この号に祝賀ムードはそれほどありません。選手達の言葉からも、このままでは世界に通用しない、もっと成長したいという思いが伝わってきます。西野朗氏とフィリップ・トルシエ氏のメッセージもあります。最後のイラク戦のことは載っていません。

そして、すぐコンフェデ杯です。ブラジル、イタリア、メキシコ。さらに1次リーグ突破後の対戦も想定してスペインも加えた4カ国の分析を福西崇史氏が行っています。ブラジルについては、元セレソン4人のコメントも載っています。また、宮本恒靖氏が、自身の経験を交えながら、アジアと世界の差の克服、人材の厚みを加えるための投資、ここぞの力を磨く、というように今後のポイントを挙げています。さらに、日本に対してのコメントはありませんが、スペイン代表のシャビのインタビューがあります。「スペイン代表は世界の代表になったと思う...(中略)...なぜって、僕らは誰もが好むスタイルでサッカーをしているからさ」という自信に溢れた発言も出てきます。

サッカーでもうひとつ。引退を表明したデイビッド・ベッカム選手の特集が8ページ。まさに、ひとつの時代を築いたヒーローだったと改めて思いました。

野球では、投手と打者の二刀流に挑戦している大谷選手について、どちらがいいか元投手の工藤公康と打者の仁志敏久氏がそれぞれの立場で意見を述べているところが面白いです。テニスでは全仏での錦織vsナダルのポイント解説が行われています。競泳の平井伯昌コーチの新たな挑戦を取り上げている特集もあります。

人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書)
人は、なぜ約束の時間に遅れるのか 素朴な疑問から考える「行動の原因」 (光文社新書)
島宗 理著
エディション: 新書
価格: ¥ 798

5つ星のうち 4.0 行動分析学で問題思考能力を高めるテクニック, 2013/6/13
行動分析学の本。行動の「視考術」という、行動と環境の関係性を図に描いて行動の原因を探る方法について解説している。少々思わせぶりなタイトルは、そのような「なぜ?」を、この手法で解き明かしている本書の具体例からつけられている。

視考使用とする先行事象と後続事象をできるだけたくさん探して、それらが行動にどのように影響するのかを探って「行動随伴性ダイアグラム」という図にしてゆく。図は主に以下の要素で構成される。もちろん、これらの図を描いただけでは仮説にすぎないので、実験によって検証する必要がある。
・先行事象:行動を起こすきっかけとなる出来事、条件、時間。
・後続事象:行動によって何がどのように変化するのか。
・強化(↑)と弱化(↓):行動の後続事象が生じることで将来同じような状況でその行動が行われやすくなるかその反対かを示す。変わらなければ(−)。

具体例が多く載っている。国民性、性格、記憶、道徳。反省させたり、個人攻撃にすり替えても、本質的な問題が解決したり同じ事が繰り返さないという保証にはならない。行動の随伴性を変えなければ効果はないのだという。そして、そのような問題解決思考に、行動分析学は役に立つ。

行動経済学との関連性について触れている部分もある。注意している筈なのに振り込め詐欺にどうしてだまされてしまうのか、という点については、不安を煽る情動操作と、ホントとウソをあいまいにする先行事象の操作、場合によっては「行動の慣性」という作用が働くからだ、という説明もある。また、いわゆる反抗期は、「カウンターコントロール」という特性の一種であり、脅しでは強化されるだけになる。一方、「行動内的随伴性」は他者が関係しないからカウンタコントロールが発生しない。

思考の随伴性を視考することは、テクニックを身につけることで可能になる。問題解決能力を個人のセンスや経験といった個人の特性に頼るのではなく、技術として身につけることで様々な局面で生かせそうだ。

もっと知りたい河鍋暁斎―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたい河鍋暁斎―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
狩野 博幸著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,890

2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本初公開作品含む多様な作品とその秘密, 2013/6/12
「扮本主義の狩野派で修行しながらも写生を重視した暁斎は、なんでも描くことができた。市井の人々のためにも喜んで描き、注文主の如何なる要求にも応じた。弟子にもあらゆる画題を描けるよう日々研鑽を怠るな、と教えている。しかし、その多才さが暁斎の評価を低くしたようだ」。

ビジュアル解説と美しい構成で特徴のあるアート・ビギナーズ・コレクションに、河鍋暁斎(1831-1889)が登場。薄手ながら、オランダの展覧会で初めて世に出て日本初公開となる春画をはじめ多彩な作品が掲載されており、暁斎の魅力がぎっしり詰まっている。著者は2008年に暁斎展の監修に携わっている江戸絵画の専門家。河鍋暁斎記念美術館館長の特別寄稿も寄せられている。もちろん、オールカラー。

各作品には収蔵元の情報が載っているのだが、国内の美術館や個人に混じって、「イスラエル・ゴールドマンコレクション」「大英博物館蔵」「ライデン国立民族学博物館蔵」というのが結構ある。日本国内ではよくわからない理由で投獄されたり、評価もいろいろだったようだが、開国で日本にやってきた外国人たちの目にとまって多くの人が暁斎の作品を求めた結果のようである。弟子の中には鹿鳴館の設計者であるイギリス人のコンドルもいた。

流れとしては狩野派に属する。しかし、まず7歳に浮世絵師の歌川国芳に入門して2年か3年学んでいる。著者は、この経歴が暁斎を狩野派の伝統技法と国芳の反骨精神を秘めた絵師の魂の両方を備えた画家にしたとみている。実際、美人画、風景画、風俗画、戯画、動物画、浮世絵、漢画、錦絵、洋風画、地獄図、日本神話、妖怪図、春画、幽霊画、貧乏神、化け猫、何でもござれ。処刑場を羽織に描いたものとか、現代の感覚だとモザイクかけなきゃいけないようなレベルのものまである。非常に多彩な作品を変幻自在に描き分けていることに驚いた。しかし、そこにはそれを可能にする確かな技量と観察眼がある。すごい。

個人的に、河鍋暁斎の作品は東京で開かれた「河鍋暁斎・暁翠展」以来何度か目にしてきたが、今回、本書によってその多才な画風に触れて改めて感銘を受けた。それにしても、最後まで読むと意図はわかるものの、よく知らないで手に取る人のことを考えて表紙の絵はもう少し別なものを選んだ方がよかったような気がする。

図説世界史を変えた50の植物
図説世界史を変えた50の植物
ビル ローズ著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,940

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5つ星のうち 2.0 日本の昔の絵が、他国の風俗を示す証拠として紹介されているところが2箇所, 2013/6/11
きれいなデザインで、センスの良い本だ。意図的に少し黄ばんだような紙に印刷されて、ちょっとレトロな雰囲気を醸し出している。また、写真や絵がふんだんに盛り込まれている。めくっていて、つい楽しくなる。人類の歴史を50種類の植物の利用という側面から解説している。著者は庭や庭園や景観を専門とするイギリスのジャーナリスト。

タマネギ、パイナップル、竹、キャベツ、麻、コーヒーの木、コカの木、ユーカリの仲間、大麦、タバコ、ヤムイモ、ココヤシ、西洋りんご、シダ類、オリーブ、稲、ホップ、コショウ、サトウキビ、小麦、チューリップ、ヨーロッパブドウ、とうもろこし、しょうが等、50種類の植物を選んで、人類との歴史的なかかわりについて説明している。

しかしこの本、日本の絵を他国の風俗を示す資料だと紹介して説明しているところが2箇所ある。まず、28ページの「茶の木」の章。「中国の茶会」の様子として絵を載せ、「中国ではお茶を勧める場合、同時に様々な社会的意味が込められている...(以下、略)」と説明されているが、衣装や姿などから判断して、この絵は中国ではなく、江戸時代の日本の様子だろう。描かれた3人の人物のうち女性には引眉(昔の日本女性が眉を剃った風習)もみられるし、男2人のうち1人は普通にまげ姿である。確かに茶台らしきものはひとつ描かれてはいるものの剃髪姿の男は赤い盃を手に持っているし、場所の状況や人物たちの格好から考えるとこれが「茶会」であるかどうかも相当怪しい。

さらに、ケシについて扱った章の151ページの絵についても、当時のアジアの植民地の様子などではなく、明らかに日本の江戸時代のものだ。着物姿の女性がキセルを持って座っているし、そもそも、わずかに見える文字はかな混じり文である。「脱法ドラッグ」と説明が書かれているが、吸っているのはケシではなく普通にタバコだろう。実際、江戸時代中期以降の日本ではタバコ栽培が広まって男性だけでなく女性も嗜好品としてこのような形でタバコを吸っていたし、重要なアクセサリーでもあったからキセルを持った姿を描いた浮世絵は珍しくない。ところがこの絵に対して、「多くの植民地の住民がアヘンの煙の誘惑に負け、とくに美しくうら若い女性に差し出されればなおさらだった」という、全く見当違いな解説が付与されている。

歴史には解釈の相違というものが発生する場合もあるが、これらは解釈云々というレベルではなく、単なる間違いである。あるいは、引用した元資料の説明に誤りがあった可能性もある。著者はイギリス人であり、東アジアの歴史については不案内なところがあるのだろう。しかし、日本語版の翻訳者や出版社の校正担当者は、このような間違い気づいて原作者に対して誤りの指摘を行わないのだろうか?日本人が翻訳して日本で出版するにもかかわらず、英国の版元にこのような基本的な誤用の指摘も行わずにこのまま世に出すということは、日本人がこれを事実として認めたに等しい。強く訂正を求めるべきである。ちなみに、このシリーズは、「図説世界史を変えた50の鉱物」にも似たような間違いがある。

図説世界史を変えた50の鉱物
図説世界史を変えた50の鉱物
エリック シャリーン著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,940

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5つ星のうち 3.0 明らかに日本の絵なのに、中国の火薬と鉄砲技術の紹介に使われています, 2013/6/10
デザインがきれいで、センスが良い。意図的に少し黄ばんだような紙に印刷されて、ちょっとレトロな雰囲気を醸し出している。また、写真や絵がふんだんに盛り込まれている。めくっていて、つい楽しくなる。人類の歴史を50種類の鉱物の利用という側面から解説している。著者は歴史と哲学を専門とするイギリスのジャーナリスト。

鉱物といっても、厳密な意味での区分けになっているわけではない。ダイヤモンド、金、鉛、石油、硫黄、チタン、タングステン、プルトニウムというものもある一方で、砂、塩、軽石、珊瑚、象牙といったものもあるし、鉄と鋼のように2つに分かれているものもある。それぞれ読み切りになっている。興味深いエピソードもあるし、どうして世界の文明の主導権が中国から西洋に替わったのかをガラスの利用の有無という視点から考察していたり、インカやアステカがなぜスペインに滅ぼされたのかを鉱物の利用という点から論じていたり、イギリスで最初に産業革命が起きたのはなぜか、といったことも再度検討している。真珠や象牙の話は、動物編と重なるところが多い。また、日本も時々出てくる。金の章ではジパング伝説、鋼の利用という点では日本刀が非常に進んでいたが鎖国のため世界に広く知られるには時間がかかったというような話もある。残念ながら核兵器の犠牲になったことや、水銀の章では水俣病にも触れている。

ただ、硝石の章における166ページの「中国の秘密兵器」と説明されている中国と火薬技術の関係に触れた文章の左横の絵は、中国ではなく、明らかに日本の鉄砲足軽の射撃の様子である。身につけているのは日本の具足であり、絵の中の上部に記されている文章はかな混じり文なので、日本以外にありえない。イギリス人の著者は、日本と中国の絵を混同したか引用した絵の付随情報に誤りがあったのではないか。翻訳者やこの出版社の校正担当は、日本語訳を出すにあたってこのような間違いを見つけたときには、著者に報告して訂正を求めるべきだと思う。

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