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カシオEX-word 電子辞書 プロフェッショナルモデル XD-N10000
カシオEX-word 電子辞書 プロフェッショナルモデル XD-N10000
価格: ¥ 40,189

59 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 Too "bad", 2013/4/1
この商品は、検索機能に問題がある。例文検索もしくは成句検索で“bid”という語を入力して検索すると、“bid”の例文や成句だけでなく、“bad”の例文や成句も一緒に出てきてしまうのだ。そのせいで、複数辞書検索だけでなく、研究社の『新英和大辞典』や大修館の『ジーニアス英和大辞典』単独でも、“bid”の例文を検索すると「候補が500件を超えています」という表示が出てきてしまう。その表示が出てこない辞書でも、かなりの数の例文の中から“bid”の例文を探さなければならない。

CASIOのアフターサービス窓口に電話したところ、応対した人がそちらの同じXD-N10000でやってみて同じ結果になったので、これは私の買ったものだけの問題ではない。(既に購入済みの方はご自分のものでも同じことをやってみることをお勧めする。)また、私がこれまで使っていたSIIのSR-G10000にも同じ『新英和大辞典』や『ジーニアス英和大辞典』などが入っているが、それで検索してもおかしなことにはならない。したがって、もとの辞書の問題ではなく、CASIO側の問題(同じEX-WORDシリーズの他の機種に同様の問題があるかは知らないが)だと思われる。

窓口の人には、「他の語でもそのような問題があるかもしれないし、それが見つかったときに『既に保証期間外』とか言われると困るので、全ての単語をチェックして完全な状態にした良品と交換してもらえないか」と言ったが、どのような対応をするかは即答出来ないので決定次第連絡をくれるということになった。

そのようなわけで、この電子辞書の購入を検討中の人は、しばらく様子を見るか、どこかの店頭で上記の検索をやってみて確認してみることをお勧めする。

[追記]
連絡がきた。その説明によると、『新英和大辞典』や『ジーニアス英和大辞典』などに“bid”の過去形の一つとして“bad”という形が書かれていて、検索の際に活用形も含めて検索するようになっているために、同じ“bad”というつづりの「悪い」という意味の形容詞の例文や成句も一緒に表示されてしまう、とのことだ。しかし、“bid”の過去形としての“bad”は、いずれの辞書を見ても《古》という印がある。しかも、“bid”の全ての意味で出てくる形ではなく、ただでさえ《文》とか《古》とか《廃》とかいった印のついている意味の場合がほとんどで、それらの意味でさえ現在でもまだ使われている(『ジーニアス』ではそれですら《やや古》とされている)過去形は“bad”ではなく“bade”である。それらの意味の項目に用例がついている場合でも、過去形は“bade”が使われている。

さらに言えば、この電子辞書に一緒に収録されている_Oxford Dictionary of English_をはじめとする数々の英英辞典でも、それらの意味の場合の過去形として書かれているのは“bade”だけで、“bad”という形はもはや書かれていない。要するに、“bid”の過去形として“bad”が使われている例文や成句を検索することに、実用性はまったくないのだ。しかも、そのような検索のせいで、まったく違う語でしかも頻繁に登場する「悪い」という意味の“bad”の例文や成句を大量に検索してしまい、本来の“bid”の例文や成句が探しにくかったり全部は表示されなかったりという弊害を招いている。(ちなみに、私が本来探していたのは、“bade”や《古》“bad”が使われる類の意味ではなく、「値をつける」などの意味のほうで、どのような前置詞と組み合わせて使われてどのような意味になるかを一覧しようとしたのだった。)

SIIの電子辞書でも活用形を含めた検索が行われているが、それでもこの問題が起きないのは、SIIのほうは良識を働かせて、上述のような意味の場合の過去形としては“bade”のみを検索するようにしているということのようだ。今回受けた説明からすれば、CASIOとしては、(今後発売する機種に関しては分からないが)少なくともこのXD-N10000に関するかぎり、このような事態が起きることはミスでも欠陥でもないということのようだから、CASIO側が何か対応してくれるということはないようだ。しかし、もし“bid”以外の単語でも、同様の条件がそろえば同様の事態が起こりうるということでもある。購入を検討中の方はそのへんも考えたほうがよいだろう。
コメント コメント (1) | 固定リンク | 最新のコメント: Apr 29, 2013 9:40 AM JST


Division Street
Division Street
価格: ¥ 1,512

2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 父ポールの影から踏み出そうとする第2作, 2013/3/30
レビュー対象商品: Division Street (CD)
デビュー作だった前作のレヴューで、私は次のように書いた。

「父と違うものを」と思って変な方向に行かないでほしいが、「いつまでも擬似S&Gでもなあ」とも思うし、当人もそれは考えるだろうと思うので、今後どんな作品を生み出すか注目だ。

そして2作目の今作だが、やはり前作とはまったく違う傾向の作品を出してきた。

前作は、聖歌から始まり全体がアコースティックな印象で、曲調や楽器編成や多重録音でハーモニーを作り出している箇所などにサイモン&ガーファンクルを思わせるところが多かったし、曲によっては、共作や演奏のクレジットに父ポール・サイモンの名があったり、ドラムをスティーヴ・ガッドが叩いていたり、プロデュースにハーパー自身の名とともにボブ・ジョンストンの名があったりと、父世代の人々のサポートに支えられていた部分もかなりあった。

だが、今回は、デジパックを開くと真っ先に“ALL SONGS WRITTEN BY HARPER SIMON”とあり、さらに“PRODUCED BY TOM ROTHROCK AND HARPER SIMON”とある。そして、CDをかけ始めると、いきなり「前作とは違うぞ!」と言わんばかりの始まり方をする。アルバム全体を通しても、力強いドラムが印象的で、エレキ・ギターやベースやシンセなどエレクトリック系の音がメインのロック色の強い作品となっている。このドラムはエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのピート・トーマスで、他にもベースでストロークスのニコライ・フレイチャー、ピアノとオルガンにトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのベンモント・テンチらの名前も見える。前作のようなアコースティック系の曲はわずかに7曲目のみである。

それでも、ヴォーカルは相変わらずソフト・フォーカスっぽい印象の曲も多いし、曲調も楽器編成に惑わされずに聴けば前作と間違いなく通じている。これがハーパー・サイモンの個性なのだろう。しかし、あえて前作とは違うプロデュースを行い、フォークやカントリーやゴスペルやレゲエやアフリカ音楽といった基本的にアコースティックな民族系の音楽を融合し洗練させて独自の音楽を作り上げている父とは違う自分独自の音楽を提示しようという意図が十分に感じられ、その意気やよし、というところ。

ただし、前作の擬似S&Gのようなアコースティックな音楽を期待した人はがっかりするかもしれない。私も今でも前作は好きなので、前作を否定する気は毛頭ない。正直なところ、もっとアコースティックな曲を聴きたい気持ちもある。だが、これで(もちろん完成形ではないだろうが)自分なりの音楽の形を一つ示したのだから、次はどんなアルバムになるのか―デビュー作の路線に戻るのか、今作の流れでいくのか、はたまた第3の路線を模索するのか―また楽しみになった。

輸入盤だが、歌詞は全てブックレットに掲載されている。

Peter Paul & Mary Live in Japan 1967
Peter Paul & Mary Live in Japan 1967
価格: ¥ 1,955

5つ星のうち 4.0 日本盤がいっそうお薦め, 2013/3/16
レビュー対象商品: Peter Paul & Mary Live in Japan 1967 (CD)
このライヴは素晴らしい。当時を知らない私でも躊躇なく「素晴らしい」と言える。だが、私としては日本盤のほうをいっそうお薦めしたいので、日本盤を星5つ、こちらの輸入盤はあえて星4つとする。

輸入盤では日本語での曲紹介などがカットされているという話で、正直なところ日本盤とどちらを買うか大いに迷った。日本語の司会なんて当時を知らない自分にとってはなにか気恥ずかしいというか背中のムズムズするような感じがして邪魔くさいのではないかとも思ったが、やはりできるだけ当時のコンサートの感じを味わいたいと思って結局日本盤を買うことにして、それでよかったと思う。

日本盤では、2枚のうちのdisc1は2012年に紙ジャケ日本盤でリイシューされた『イン・ジャパン』と同じで、1、3、8、10、12曲目で俳優の中村哲氏(ここでは「サリー中村」と呼ばれている)によるロマンチックな低音ヴォイスでの曲の大意の紹介が日本語で冒頭に入るが、決して邪魔には感じない。また、4曲目ではイントロ部分でピーターが日本語で曲の概要を語る。次の“Paultalk”ではポール・ストゥーキーが日本で聞いたさまざまな音のまねをしながら面白おかしく語るのだが、一時コメディアンもしていたポールの面目躍如といったところで、ところどころで入る司会のサリー中村氏による日本語での大意の説明はここでも邪魔になるどころか雰囲気を壊さずに聴衆の理解を助けていてよい。それにしても、東京の都電と横浜の市電の音の違いなど、当時を知らない今の日本人が聴いても面白く興味深い。そして、「パフ」では、最初にピーターが日本語の訳詞で歌い、そのあとでピーターが観客にポールとマリーの代わりに歌ってくれるよう語りかけ、それをサリー中村氏が訳し、そのあとで観客と一緒に(といっても観客は控えめだが)ピーターが英語で歌うという演出になっている。(なお、日本盤では、歌詞だけでなくこれらの語りの部分も英語と日本語訳が日本語の解説書に掲載されているので、その点でも日本盤がお薦めだ。)

日本盤では、2枚目でも、3、5、6、7、9曲目にサリー中村氏による日本語の曲紹介が入る。また、8曲目では冒頭にポールの音まねとピーターの日本語が入り、11曲目ではピーターによる英語での聴衆へのメッセージの後にそれをサリー中村氏が日本語に訳してから始まる。また、この2枚目の音も、ずっと忘れられていたとは思えないほどきれいに聞こえる。(この2枚目の歌詞と語りも、日本盤では英語と日本語訳が日本語の解説書に掲載されている。)

それにしても、この未発表だった音源を集めたdisc2は彼らのレパートリーとしてよく知られた曲が目白押しだ。『イン・ジャパン』として出された1枚目だけだとベスト盤しかもっていないような人にはかえってハードルが高そうだが、そんな人でもこの2枚組は大いに気に入ると思う。3曲分の音源が見つからず未収録となったそうで、真の「完全版」とは言えないようだが、それでもこの2枚組で彼らの魅力や当時のコンサートの様子は存分に堪能できる。前述のとおり個人的には日本盤をお薦めしたいが、輸入盤であれ日本盤であれぜひ多くの人に聴いてもらいたい。

ピーター、ポール&マリー・ライヴ・イン・ジャパン 1967
ピーター、ポール&マリー・ライヴ・イン・ジャパン 1967
出品者:玉光堂
価格: ¥ 3,830

7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 当時を知る人にも知らない人にもお薦め, 2013/3/16
これは素晴らしい!1967年には私はまだ生まれてもいなかったので、このコンサートにまつわる思い出とか特別な思い入れはないのだが、それでも躊躇なく「素晴らしい!」と言える。たしかに、当時の録音技術では使えるトラック数も少なかったし、まだ当時は技術的に一流国とはいえなかった日本のライヴ録音だし、disc2の音源は長いこと忘れ去られていたことも考えれば、中央から聞こえていたマリーの声が瞬時に右側に移動することがあったり、右側から聞こえているピーターの声が一瞬だけ左側からも聞こえたり、という問題はしかたないことだろう。それよりも、ピーター・ヤーロウ自身が監修した最新リマスターの成果で、アコースティック・ギターの音も三人の歌声もとてもきれいに聞こえるのがよい。

2012年のうちにずっと安い輸入盤は出ていたが、その輸入盤では日本語での曲紹介などがカットされているという話を知って、どちらを買うか大いに迷った。日本語の司会なんて当時を知らない自分にとってはなにか気恥ずかしいというか背中のムズムズするような感じがして邪魔くさいのではないかと思ったが、やはりできるだけ当時のコンサートの感じを味わいたいと思って日本盤を買うことにしてよかったと思う。

2枚のうちのdisc1は2012年に紙ジャケ日本盤でリイシューされた『イン・ジャパン』と同じで、1、3、8、10、12曲目で俳優の中村哲氏(ここでは「サリー中村」と呼ばれている)によるロマンチックな低音ヴォイスでの曲の大意の紹介が日本語で冒頭に入るが、決して邪魔には感じない。また、4曲目ではイントロ部分でピーターが日本語で曲の概要を語る。次の“Paultalk”ではポール・ストゥーキーが日本で聞いたさまざまな音のまねをしながら面白おかしく語るのだが、一時コメディアンもしていたポールの面目躍如といったところで、ところどころで入る司会のサリー中村氏による日本語での大意の説明はここでも邪魔になるどころか雰囲気を壊さずに聴衆の理解を助けていてよい。それにしても、東京の都電と横浜の市電の音の違いなど、当時を知らない今の日本人が聴いても面白く興味深い。そして、「パフ」では、最初にピーターが日本語の訳詞で歌い、そのあとでピーターが観客にポールとマリーの代わりに歌ってくれるよう語りかけ、それをサリー中村氏が訳し、そのあとで観客と一緒に(といっても観客は控えめだが)ピーターが英語で歌うという演出になっている。(なお、歌詞だけでなくこれらの語りの部分も英語と日本語訳が日本語の解説書に掲載されているので、その点でも日本盤がお薦めだ。)

2枚目でも、3、5、6、7、9曲目にサリー中村氏による日本語の曲紹介が入る。また、8曲目では冒頭にポールの音まねとピーターの日本語が入り、11曲目ではピーターによる英語での聴衆へのメッセージの後にそれをサリー中村氏が日本語に訳してから始まる。また、この2枚目の音も、ずっと忘れられていたとは思えないほどきれいに聞こえる。(この2枚目の歌詞と語りも英語と日本語訳が日本語の解説書に掲載されている。)

この未発表だった音源を集めたdisc2は彼らのレパートリーとしてよく知られた曲が目白押しだ。『イン・ジャパン』として出された1枚目だけだとベスト盤しかもっていないような人にはかえってハードルが高そうだが、そんな人でもこの2枚組は大いに気に入ると思う。3曲分の音源が見つからず未収録となったそうで、真の「完全版」とは言えないようだが、それでもこの2枚組で彼らの魅力や当時のコンサートの様子は存分に堪能できる。ぜひ多くの人に聴いてもらいたい。

それにしても、マリー・トラヴァースの美しく心にしみる声を聴いていると、彼女がなくなってもうPP&Mのコンサートも新譜もありえないのがいっそう残念に思えてくる。

Sibelius: Complete Symphonies
Sibelius: Complete Symphonies
価格: ¥ 1,268

6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 どうせなら全録音セットで出してほしかった, 2013/3/15
レビュー対象商品: Sibelius: Complete Symphonies (CD)
2012年、主にシベリウスの作品で数々の名演を成し遂げてきたフィンランドの指揮者パーヴォ・ベルグルンドが亡くなった後、日本ではEMIがボーンマス交響楽団との交響曲全集の録音を最新リマスター音源を用い初出当時のジャケットデザインを再現して1枚999円のシリーズでリイシューした。その中の1枚『管弦楽曲集』のレヴューで、私は、「1枚あたり千円を切っているとはいえ、それらを全部買い集めると結構な額になる。どうせなら、以前ヘルシンキ・フィルとの交響曲全集とフィルハーモニア管との管弦楽曲集をセットにしてボックスで出したように、今回もそれらをセットにして1枚当たりの値段をもっと抑えた廉価ボックスで出して欲しかった」と書いた。それからしばらくして出たのが、この輸入盤交響曲全集である。

だが、これはなかなかに悩ましいセットだ。新たにリマスターされた音源なので音は聴きやすいうえにこの値段ということで、本当ならぜひお薦めと言いたいのだが、ただの交響曲全集でよければベルグルンドはこのあとヘルシンキ・フィルやヨーロッパ室内管とも録音している(ただしクレルヴォ交響曲はヨーロッパ室内管とは録音していない)。ボーンマス響との録音で貴重なのは、むしろその他の管弦楽曲の録音だ。後にフィルハーモニア管とも管弦楽曲集を録音しているし、ヘルシンキ・フィルとの交響曲全曲録音でもカップリングとして何曲か録音しているが、ボーンマス響との録音が最も多く、他の盤では聞けないものもある。ボーンマス響との管弦楽曲を集めた2枚組CD(Pelleas Et Melisande / Luonnotar / Kuolema)も2007年に出ているが、最新リマスター音源ではないうえに、そのCDにも収録されていない曲がある。

以下に、Aこの輸入盤交響曲全集、B日本の999円シリーズ全集(『管弦楽曲集』を含む)、C2007年の輸入盤管弦楽曲集の収録曲の差異をまとめる。(どれにも収録されている曲は省く。)

1.ヴァイオリン協奏曲
 A.なし B.なし C.なし
2.セレナード第1番
 A.なし B.なし C.なし
3.セレナード第2番
 A.なし B.なし C.なし
4.ユモレスク第5番
 A.なし B.なし C.なし
(以上は、全てヴァイオリンはイダ・ヘンデルで、本来1枚のアルバムに収録されていた。)
5.「春の歌」
 A.なし B.なし C.あり
6.組曲「歴史的情景」第1番
 A.なし B.あり C.なし
7.「大洋の女神」(「海の精」)
 A.なし B.あり C.なし
8.『白鳥姫』組曲
 A.なし B.あり C.あり
9.『ペレアスとメリザンド』組曲
 A.なし B.あり C.あり
10.「伝説(エン・サガ)」
 A.なし B.あり C.あり
11.『クオレマ』より「鶴のいる情景」
 A.なし B.あり C.あり
12.『4つの伝説曲(レンミンカイネン組曲)』より「レンミンカイネンの帰郷」
 A.なし B.あり C.あり
13.「ルオンノタール」
 A.なし B.あり C.あり
14.「ポホヨラの娘」
 A.なし B.あり C.あり
15.『カレリア』組曲より「行進曲ふうに」
 A.あり B.なし C.なし
16.『カレリア』組曲より「間奏曲」
 A.あり B.あり C.なし
17.「フィンランディア」
 A.あり B.あり C.なし

さらに、次の組曲では録音時期や収録曲が異なっている。
18.『クリスチャン2世』組曲
a. 夜想曲
b. エレジー
c. ミュゼット
d. セレナード
e. バラード
(日本盤『管弦楽曲集』ではaからcの3曲のみで、1972年の録音を収録。2007年の輸入盤管弦楽曲集には、1978年の再録音で全5曲収録。今回の輸入盤交響曲全集では、その1978年の再録音のうちaとbの2曲のみ収録。)

つまり、このセットと2007年の管弦楽曲集を買っても「歴史的情景」第1組曲と「大洋の女神(海の精)」は日本盤でないと聴けないし、日本盤シリーズを買い揃えても「春の歌」は2007年の輸入盤管弦楽曲集を買わないと聴けない、さらにイダ・ヘンデルとの一連の録音はどれでも聴けない、ということである。

なお、交響曲の演奏について言うと、ベルグルンドの3つの交響曲全集は全般的に後の録音になるほどテンポが速くなる傾向があるので、この最初の全集が最もじっくり演奏されていて一番好きだという人もいるだろう。ただ、もっとフィンランドの空気を感じたいという人にはヘルシンキ・フィル盤、さらに純化された透明感を感じたいという人にはヨーロッパ室内管盤がお薦め。
コメント コメント (1) | 固定リンク | 最新のコメント: Mar 15, 2013 6:07 PM JST


ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)
ザ・ネクスト・デイ デラックス・エディション(完全生産限定盤)
出品者:玉光堂
価格: ¥ 2,673

31 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 たった1日だけ英雄になった次の日, 2013/3/15
(レヴュー本文の前に一言。星の数は気にしないでください。私はようやく最近になってデイヴィッド・ボウイに興味を持ち始めたばかりで、なにを隠そうこれが私の初めて買ったデイヴィッド・ボウイのアルバムなので、これが私でもタイトルだけは知っているような過去の傑作群と肩を並べるような作品なのかどうか評価できないため、保留の意味も込めて星4つとしているだけです。)

私がデイヴィッド・ボウイに興味を持ち始めたきっかけは2010年に出たピーター・ゲイブリエルの_Scratch My Back_で“Heroes”がカヴァーされていたことだが、その後ロンドン・オリンピックのセレモニーでも同じ“Heroes”が取り上げられたりしたことで興味が増していたところへ、今回の久々の新譜リリースという情報を得て購入してみた。

ジャケットはその“Heroes”をタイトル曲とする_Heroes_というアルバムのジャケットをパロディ化している。_Heroes_のボウイの顔の上に白紙が貼られたようにされてその上に_The Next Day_というタイトルが書かれ、右上の“Heroes”というタイトルと “David Bowie”の名が書かれている箇所では“Heroes”の文字が線で消されて“David Bowie”だけ残されている。後ろの面も、“Heroes”の文字が線で消されて“David Bowie”だけ書かれ、アルバム_Heroes_の曲目リストの上に白紙が貼られたようにされてその上に今回のアルバムの曲目が書かれている。

さらに、このジャケットは(デラックス・エディションだけかどうか知らないが)三つ折になっていて、若き日のボウイの顔が消された面を開くと、年老いて白髪がまじり無精ひげを生やした人物の顔の上に同じく白紙が貼られたような写真が出てきて、さらにそれを開くと白紙の貼られていない白髪まじりで無精ひげを生やした現在のボウイの顔が出てくる。そういえば、今回のリリース情報告知と同時に公開された “Where Are We Now?”のプロモーション・ヴィデオでは、観光名所などによくある顔のところだけ出すようになっている張りぼてから派手に飾り立てない老いた顔を出して歌っていた。

“Heroes”という歌では、“We can be heroes just for one day”と歌われていた。「我々は1日だけなら “hero” になれる」とも「我々はたった1日しか “hero” になれない」ともとれるが、 _The Next Day_というのは、その“hero”となった1日が終わった「次の日」、つまり一時 “hero” になった人物の後日譚なのではないだろうか?前述のピーター・ゲイブリエルのアルバムは、ゲイブリエルが他人の曲をカヴァーする代わりにそのミュージシャンたちにゲイブリエルの曲をカヴァーしてもらうという企画なのだが、ボウイはそれに応じるのを断ったとも聞く。また、ロンドン・オリンピックの際も、セレモニーに登場して歌うことはなかった。いつまでも“Heroes”の頃のデイヴィッド・ボウイであることを求める世間の人たちに向けて、かつての“hero” ではない現在の“David Bowie”をさらけ出し、ありのままの現在の自分を見てほしいと思っているのではないだろうか?

顔へのこだわりや、“‘Heroes’David Bowie”のうち“Heroes”だけををわざわざ下の字が読めるように線で消して“David Bowie”だけ残していることなども、そう考えれば納得できる。タイトル曲の “The Next Day” では、 “Here I am / Not quite dying / My body left to rot in a hollow tree/ Its branches throwing shadows / On the gallows for me / And the next day /And the next / And another day” という歌詞が繰り返される。“hero”だった1日が過ぎたからといって死んでしまったわけではない。「私のための絞首台に枝が影を落としている老木の空洞の中で自分の体も朽ちるにまかせながら」という箇所からは自身が肉体的には年老い弱って行きつつあることや最終的には死も意識していることがうかがえるが、それでも「まだすぐには死にはしない」、「私はここにいる」、と表明している。大きな病気をしてずっと新作も出さずもはや引退同然と見られていたボウイだが、けっして自分が過去の“hero”ではなく“David Bowie”という一人の現役のアーティストとして存在していることをこのアルバムで表明しているのだろう。だから、我々も、そうしたものとしてこのアルバムを聴き、過去の “hero” としてのデイヴィッド・ボウイが復活したかどうかという視点ではなく一人の現在66歳の現役アーティストとしてデイヴィッド・ボウイを見たほうがよいのではないだろうか?

…と、まあ、偉そうに勝手な憶測を書いてきたが、ひょっとしたらファンの人たちには「そんなことわかりきってる」とか「まったく見当違いだ」とか思われるかもしれない。だが、私のように今回初めて買ってみようかと思っている人もいるだろうし、ここまで見てきたところ他のレヴューアでこうしたことを具体的に書いている人が見当たらなかったので、あえて書いてみた次第。(まったくの的外れだったらすみません。)

メイキング・オブ・So [DVD]
メイキング・オブ・So [DVD]
DVD ~ ピーター・ガブリエル
価格: ¥ 3,373

32 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 悩ましい国内盤単体DVD, 2012/10/19
レビュー対象商品: メイキング・オブ・So [DVD] (DVD)
今年(2012年)ポール・サイモンの_Graceland_25周年記念盤が出たのに続きピーター・ゲイブリエルの_So_25周年記念盤が出ることとなった(どちらも1986年リリースだから本当は今年は26年目なのだが…)。このDVDは、複数のエディションでリリースされるその25周年記念盤のうち「CD4枚+DVD2枚+Vinyl2枚」という8枚組エディションに含まれているDVDのうちの1枚の国内盤単体リリースである。

ただし、その8枚組エディションの「国内盤」とされるのは、正確には「輸入盤国内仕様」である。そこで、問い合わせて確認したところ、8枚組の「輸入盤国内仕様」と純然たる輸入盤の違いはブックレットの対訳と歌詞対訳がついているかどうかという点だけで、ディスク自体は同じものなので、8枚組の「輸入盤国内仕様」に含まれている方には日本語字幕はないとのことである。一方で、この国内盤単体リリースとして出されたDVDには、英語・ドイツ語・スペイン語・フランス語の他に日本語の字幕も付いている。だが、それなら日本語字幕のほしい人はCDのみの3枚組エディションとこの国内盤DVDを買うのがよいかというと、8枚組に含まれるもう一つのDVDが、このDVDでもユッスー・ンドゥールとの共演の様子など断片的に映像を見られる1987年のアテネでのこれまで未発表だったライヴ映像とのことなので、どうにも悩ましい。それに思い切って8枚組を買っても、数ヶ月後にそのアテネのライヴのDVDも単体で発売なんてことも考えられなくもないし…。どうせ出すなら、「輸入盤国内仕様」ではなくきちんとした「国内盤」セットを出してもらいたいものだ。

この「メイキング・オヴ・So」というDVDの中身は、「クラシック・アルバムズ」シリーズの他の作品同様、ピーター・ゲイブリエル自身や共同プロデューサーのダニエル・ラノワによる曲ごとの詳細な解説と関係者へのインタヴューやライヴ映像などで構成された、良くまとまったドキュメンタリーだ。マヌ・カッチェが初めてゲイブリエルからオファーを受けたときのエピソードや、「ドント・ギヴ・アップ」の後半でベースの音を抑えるためにトニー・レヴィンがどんな工夫をしたかという話、「マーシー・ストリート」でゲイブリエル自身が1オクターヴ低いシャドウ・ヴォーカルを録音するためにどうしたかという話、締め切りが迫ってきているのに歌詞がなかなか作れないでいるゲイブリエルが取った行動とそんなゲイブリエルにじれた他の人たちが取った行動の話など、思わず笑ってしまうエピソードも多い。また、断片的にしか見られないが、ライヴでユッスー・ンドゥールと共演して「イン・ユア・アイズ」を二人(とその他のメンバー)がスペシャルズのごとく舞台上をあちこち走り回り跳ね回りながら歌っている映像も思わず惹きつけられる。また、LPと違う曲順でCDを出したのはレコードの特性ゆえにLPでは曲の配列に制約があったため思うような配列が出来なかったからだという話は、CDよりもLPの方を妙に神聖視する最近の風潮の中でなかなか興味深く思う。

さらに、1時間弱の本編の他に、「ビッグ・タイム」、「アムネスティ・ツアー」、「メイキング・オヴ・『スレッジハンマー』」、「イン・ユア・アイズ」と題された、本編ではカットされたインタヴューなどから構成される35分強のボーナス・マテリアルもある。これらもとても興味深いので、別にカットしなくても良かったのにという気がするくらいである(確かに少々長くなりすぎるかもしれないが)。アムネスティ・ツアーの話などには考えさせられるところもあるし、「ビッグ・タイム」のきわどすぎてボツになった幻の歌詞や、「スレッジハンマー」のヴィデオ・クリップ撮影時の苦労話など、面白い話にも事欠かない。

この国内盤単体DVDを購入するか8枚組を購入するかはともかく、見て楽しめるDVDだとは言えるだろう。

天使の歌声(紙ジャケット仕様)
天使の歌声(紙ジャケット仕様)
価格: ¥ 2,090

7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 いろいろと興味深いガーファンクルのソロ第1作, 2012/10/13
アート・ガーファンクルのソロ第1作。S&G時代は声は美しかったもののリード・ヴォーカルをとることが少なかったので、若き日のガーファンクルの歌声を堪能できるアルバムとしてガーファンクル好きには必須の1枚だ。

基本的に自分で歌を作るわけではないガーファンクルなので、ここに収められた曲も全て他人の手になるものだが、その選曲がなかなか興味深い。

2、5、9曲目のトラディショナル・ナンバーやバッハのメロディを使用した曲などは、S&G時代にもガーファンクルがそうした音楽を好んでいたので当然と思われるし、1曲目のポール・ウィリアムズ&ロジャー・ニコルズのナンバーもそれほど意外性はなく、容易に想像できるとおり見事な歌唱を聞かせる。6曲目と10曲目のジミー・ウェッブも、この後ガーファンクルがお気に入りのソングライターとしていくつも曲をレコーディングすることになるのを知っている現在からすれば、順当なところで、やはり見事な歌唱を聴かせる。

だが、3曲目のヴァン・モリスンや4曲目のランディ・ニューマンは少々意外な感がある。しかし、ヴァン・モリスンの力強さやランディ・ニューマンの毒気を含んだ哀愁はかなり削がれてしまっているので彼らの熱狂的なファンには不満かもしれないものの、ガーファンクル流に洗練されこのアルバムのガーファンクル独自の世界に見事にはまっている。

さらに、S&G時代に歌った「コンドルは飛んでいく」を演奏していたロス・インカスのリーダーだったホルヘ・ミルチベルグが作った7曲目(バックはフォルクローレ風の演奏でチャランゴをミルチベルグ自身が演奏しポール・サイモンもギターで参加しているとのこと)、アフリカンのオシビサというグループの曲である8曲目などは、ガーファンクルの音楽趣味の幅広さを感じさせて興味深い。ワールド・ミュージックへの傾倒といえば『グレイスランド』などの傑作を生み出したポール・サイモンのイメージが強く、今では音楽性にかなりの違いがあるようにも感じられるが、この時期にはサイモンだけでなくガーファンクルもそうした音楽への興味をかなり示していたのだ。しかも、解説によれば、7曲目はサイモンがガーファンクルに推薦した曲だという。S&G「解散」後数年という時期での二人の関係や音楽性が決定的に離れていたわけではないことがうかがえて興味深くもある。

さらに、このアルバムの収録曲について解説に書かれていない情報を追加しておく。

まず、2曲目はガーファンクルとサイモンがともに若い頃大いに影響を受けたエヴァリー・ブラザーズも歌っていたトラディショナル・ナンバー(『エヴァリー・ブラザーズ+14(K2HD/紙ジャケット仕様)』に収録)で、愛する人を殺害した男がこれまでを回想しながら絞首台に向かうという内容の歌。奇しくも今年(2012年)出たアイリッシュ・トラッドの大御所ザ・チーフタンズのアルバム_Voice of Ages_に、近年注目されているボン・イヴェールとザ・チーフタンズの共演版が収録されている。

5曲目の「木の葉は落ちて」はフランス語で歌われるハイチ民謡ということだが、実はS&G時代にも取り組んでいて、サイモンのアコースティック・ギターのみを伴奏にしたデモ・ヴァージョンが現在では『明日に架ける橋』のボーナス・トラックとして聴ける。

6曲目は後に_Up ’til Now_にジミー・ウェッブのピアノのみを伴奏にした89年録音版が収録されることになる(今回同時にリリースされた2枚組ベスト『ザ・シンガー』にはそちらが収録されている)が、こちらはストリングズも加わっているし、アレンジも多少異なっていて、ガーファンクルの声も若い。どちらが好きかは人によるだろう。

9曲目はこれまたエヴァリー・ブラザーズも歌ったトラディショナル・ナンバー(『ファビュラス・スタイル・オブ・ザ・エヴァリー・ブラザーズ+14(K2HD/紙ジャケット仕様)』に収録)だが、これまた奇しくも今年出たボブ・ディランの新作『テンペスト』中の「スカーレット・タウン」の下敷きになっている曲でもある。「スカーレット・タウン」を聴いていると、“in the month of May / Sweet William on his death bed lay”といったフレーズが出てくる。

なお、ボーナス・トラックは、「青春の旅路」シングル・ヴァージョン(イントロがなくいきなり歌から始まる)とシングルのみで出た「セカンド・アヴェニュー」。

今回のリイシューの残念な点をあえて挙げるとすれば、その「セカンド・アヴェニュー」がかつてベスト盤に収録されたヴァージョンで、シングル・ヴァージョンではないという点と、「木の葉は落ちて」のフランス語の歌詞が今回も「省略」されてしまったことくらいか。(S&Gヴァージョンの方では、「聞き取りによる」となっていて正式なものではないようだが、フランス語の歌詞と訳詞が掲載されているというのに…。)しかし、最新リマスター+美しい紙ジャケ+Blu-spec盤+復刻版ポスター(ミニサイズ)付き+「セカンド・アヴェニュー」が(シングル版ではないとは言え)また聴けるようになったこと、といった点を考慮すれば、アルバム自体だけでも星5つに値するというのに減点するほどのことではない。

シザーズ・カット~北風のラストレター(紙ジャケット仕様)
シザーズ・カット~北風のラストレター(紙ジャケット仕様)
価格: ¥ 2,180

11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 静謐でウェットで美しい雨の日の音楽, 2012/10/12
アート・ガーファンクルのアルバムの多くを後追いで聴いた私にとって、このアルバムは、ソロ第1作『天使の歌声』とともに近所の図書館からLPを借りてきた、ガーファンクルのソロ作中最初に聴いた2枚のうちの一つだ。それをきっかけにガーファンクルのソロを次から次へと聴くことになったのであり、このアルバム自体も今に至るまでお気に入りの1枚となっている。

そのときに聴いたのは、今回リイシューされたものと同じ曲順であった。この曲順は、このアルバムが出た当時日本盤はUK盤と同じ曲順となっていたためで、US盤では「ロマンス」が外されて「ブライト・アイズ」(UKでシングル・ヒットした『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』という映画の主題歌でUK盤および今回のリイシューでは『フェイト・フォア・ブレックファスト』に収録)が入れられていたわけだが、自分の頭に刷り込まれているのはこの曲順なので、そのとおりにリイシューされたのは嬉しい。このアルバムの曲はほとんど全て独特の雰囲気があるので、これのために製作されたわけではない曲がねじ込まれるのはあまり好ましくない。

このアルバムは、朝からずっと静かに雨の降る一日に聴きたくなるような、静かで穏やかでウェットな美しさをたたえた曲の数々で構成されている。これは、厳かな顔をしたガーファンクルの白黒写真のジャケットとあえて顔を映していない女性の写真の裏ジャケットと同様、当時の恋人ローリー・バード(今回同時に発売された2枚組ベスト『ザ・シンガー』に収録されたS&Gナンバー「四月になれば彼女は」に寄せたガーファンクル自身のコメントでただ一言“Dedicated to Laurie Bird”と書かれている女性で、アルバム『ウォーターマーク』のジャケット写真を撮った写真家でもあった)の自殺が色濃く影を落としているためだろう。このアルバム自体も、ローリー・バードに捧げられている。比喩的な意味でも、まさに人生の「雨の日」の音楽でもあるのだ。

だが、その中で1曲だけ少々場違いな感じのする曲がある。唯一比較的アップ・テンポでポップな「北風のラストレター」(“Hang On In”)だ。私は、初めてこのアルバムを聴いたときにはこの曲をとても気に入ったのだが、このアルバム全体を好きになるにつれ、むしろないほうがよいのではないかという感じを抱くようになった。曲自体が悪いわけではない。全体の雰囲気にいまいち合わないのだ。試しにこれを外して聴いてみると、アルバムの統一感が増して、その静かで穏やかでウェットな美しさにどっぷりと浸って聴き入ってしまう。今回のリイシューでは新しい解説がつけられていてその中に言及がないので確認できないのだが、たしか以前の解説では、この「北風のラストレター」は、ヒットしそうな曲がなかったのでレコード会社の意向で人気の出そうな曲を加えろということになって加えられたというようなことが書いてあったように思う。だが、アルバム全体のことを考えたら、この曲はシングルのみの発売にしてアルバムには入れない方が良かったのではないかと思う。

ともあれ、このアルバムは素晴らしい。ほんの一部分だけとはいえサイモンとのデュエットが聴ける美しい曲「美しき若葉の頃」(“In Cars”)などもあるもののアルバムとしてはヒットしなかったようだが、個人的にはおそらくガーファンクルのソロ・アルバム中でこれまでに最も多くの回数聴いた作品だ。今回、2012年最新リマスター+紙ジャケ(写真が美しい)+高音質Blu-spec盤として、さらに当時のLPの内袋や発売当時の日本盤につけられていた帯も再現した形でリイシューされたのは嬉しいかぎりだ。

ロード・トゥ・フォーエヴァー
ロード・トゥ・フォーエヴァー
出品者:okanokumo
価格: ¥ 1,899

25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 イーグルスの一員であってほしかった(日本盤はボーナス2曲付き), 2012/10/10
2007年に再結成イーグルスによる新譜『ロング・ロード・アウト・オヴ・エデン』が出てから、この数年でイーグルスのメンバーによる新譜が次々と出ている。2009年にはティモシー・B.シュミットが『エクスパンド』という素敵なアルバムを出し(日本盤は2010年)、今年(2012年)にはグレン・フライとジョー・ウォルシュがそれぞれ新譜を出している。グレン・フライのものはスタンダード・ナンバーのカヴァー集というもので、私は(ここ数年ヴェテラン系のミュージシャンたちのカヴァー集やセルフ・カヴァー集が続いて食傷気味であるため)未聴なので評価は出来ないが、ジョー・ウォルシュの『アナログ・マン』も良いアルバムだった。そろそろドン・ヘンリーかと思っていたら、なんと驚いたことに「元」イーグルスのドン・フェルダーが29年ぶりのソロ・アルバムを出した。

早速このアルバムを聴いてみて思ったのは、他のメンバーによる上述のソロ・アルバム以上に中期以後の(つまりドン・フェルダー加入後の)イーグルスの音楽を髣髴させるということだ。それどころか、ドン・フェルダー解雇後に出された再結成イーグルスの『ロング・ロード・アウト・オヴ・エデン』にこのアルバムの曲が入っていたとしてもまったく違和感がなかっただろうと思わせる。(それがドン・フェルダーの他のメンバーへの影響力が大きいということなのか、ドン・フェルダーが結局ソングライターとしてはそれほど際立って個性的な作品をいくつも作り出せるような人ではないため他のメンバーの曲と似たようなものしか作れないということなのか、それとも他のメンバーとドン・フェルダーの音楽性が非常に近いために結果として非常に感覚的に近い曲が出来上がったということなのかは、よくわからないが…。)

だが、同時に、イーグルスでドン・フェルダーがリード・ヴォーカルをとらなかった理由を実感させられ、イーグルス結成時に「メンバーそれぞれがリード・ヴォーカルを取れるビートルズのようなバンドを目指した」というグレン・フライの言葉を思うと、「ホテル・カリフォルニア」の実質的作曲者(作詞はドン・ヘンリー)だろうがギターでいかに貢献していようが「貢献度が低い」という理由で再結成イーグルスを解雇されたのもある程度理解できなくもない気にもなる(もちろん理由はそれだけではないが)。

彼の声はハスキーなのだが、ドン・ヘンリーの声に比べるとハスキーさの度合いが強いというか、声のハリとか艶といったものが少ない感じがする。ザ・バンドでリード・ヴォーカルをリヴォン・ヘルムとリチャード・マニュエルとリック・ダンコに任せていたロビー・ロバートソンのソロ・アルバムでロビー・ロバートソン自身の歌声を聴いたときの印象と似ている。そして、このアルバムのサウンドがバック・コーラスも含めて基本的にイーグルスを髣髴させるだけになおさら、「ああ、この曲はドン・ヘンリーが歌っていたらもっとよかっただろうになあ」とか「この箇所はグレン・フライのヴォーカルが合いそうだな」とか思わずにいられない。

その一方で、もしそうした曲をドン・ヘンリーらが歌いドン・フェルダーがギターを弾いて収録していたら、『ロング・ロード・アウト・オヴ・エデン』はもっと良いアルバムになっていただろうという気もする。

相当深刻なケンカ別れになってしまったのが、ドン・フェルダーのためにも再結成イーグルスのためにもかえすがえすも残念だ。奇跡的な再集結を果たして新譜を出しツアーを行ったビーチ・ボーイズのように、もう一度一緒にやってくれないものだろうか?

参加ミュージシャンについて言っておくと、1曲目の“Fall from the Grace of Love”にはクロスビー,スティルス&ナッシュが参加している。また、曲の終盤でアフリカンな感じが加わる8曲目“Heal Me”には、ポール・サイモンの名盤『グレイスランド』でおなじみのベースのバキティ・クマロとギターのヴィンセント・ングウィニの二人が参加している(『グレイスランド』の影響がこんなところにも…)。

それから、日本盤はボーナス・トラック2曲つき(“Southern Bound”と“Can’t Stop Now”)。どちらも捨てるには惜しいので、日本盤をお薦めしたいが、本編の12曲ぶんの歌詞は英語の原文も日本語訳も掲載されているものの、ボーナス・トラックの2曲に関しては「アーティストの意向」とやらで英語も日本語訳も掲載されていないのが惜しい。輸入盤のほうは12曲のみだが、そのぶんの英語の歌詞はブックレットに記載されている。

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