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5つ星のうち 4.0
パズルシリーズの第一作目, 2013/5/19
パトリック・クェンティン著、白須清美訳『迷走パズル』(創元推理文庫)はアメリカのミステリーで、パズルシリーズの第一作目である。主人公は演劇プロデューサーであったピーター・ダルース。妻を亡くしてアルコール中毒になり、精神病院に入院して治療中である。そこで殺人事件に巻き込まれる。 精神病院が舞台となり、様々な精神病患者が登場する点がユニークである。主人公達は殺人を警告する声を聞く。それが精神病患者の妄想か、実在する声なのか、謎が深まる。 『迷走パズル』はシリーズ物の第一作目であるが、三作目の『人形パズル』を先に読んでいる(林田力『二子玉川ライズ反対運動9ブランズ二子玉川の複合被害』「『人形パズル』米国社会の精神風俗」)。『人形パズル』を「本が好き!」献本で読むことになり、興味を覚えて第一作目を読むことになった。 『迷走パズル』と『人形パズル』は大きく異なる作品である。主人公の立場が異なる。『迷走パズル』ではアルコール中毒の入院患者であったピーターは人形パズルでは立派な海軍将校になっている。『人形パズル』で活躍するアイリスは迷走パズルでは受け身のままである。共通点は主人公が探偵的に振る舞うものの、真相の説明者が別に存在する点である。 『迷走パズル』の時代は禁酒法制定とも遠くなく、WASP的な倫理観が高揚した時代であった。その時代にアルコール中毒患者を主人公とすることへの是非はあるだろう。現代日本で脱法ハーブ中毒者を主人公にするようなインパクトがある。後の『人形パズル』でも、どうしようもない酔っぱらいを登場させながら、ダメ人間として描いていない。 せめてもの救いは主人公のアルコール中毒設定が過去の設定になっており、主人公は最初から正常であることである。不幸に直面したからアルコール中毒に陥ったというだけで、主人公にアルコール中毒らしさの描写はない。日本社会には特殊日本的精神論やヤンキー的な気合主義、自己責任論で貧困に陥った人々に頑張ることを強制する愚かな傾向があるが、反貧困のセーフティネットで支えることが大切であると感じた。
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5つ星のうち 4.0
ブラック士業, 2013/5/19
藤本ひとみ『マリーアントワネットの遺言』(朝日文庫)は王政復古期のフランスを舞台とした歴史小説である。藤本ひとみはフランス歴史小説をメインとする作家である(林田力「佐藤賢一と藤本ひとみ 〜フランス歴史小説から幕末物へ」日刊サイゾー2011年10月17日)。 原題は『マダムの幻影』であり、文庫版で『マリーアントワネットの遺言』に改題された。マダムとはマダム・ロワイヤル(フランス王の長女の称号)で、具体的にはルイ16世とマリーアントワネットの長女であるマリー・テレーズ・シャルロット・ド・フランスを指す。『マダムの幻影』では何の話か分からず、文庫本のタイトルの方が分かりやすい。 『マリーアントワネットの遺言』はマリーアントワネットが処刑前に代理人弁護士に語った言葉を明らかにする。一般にマリーアントワネットはフランス革命では悪女と位置付けられる。その一方で最近ではマリーアントワネットを評価する見方も出ている。『マリーアントワネットの遺言』は、そのどちらにも片寄らない。 革命裁判所は最初からマリーアントワネットを死刑にするつもりであった。その意味でマリーアントワネットの裁判は公正とは言えない。一方でマリーアントワネットには革命期の基準で罪があった。弁護士は裁判を有利にするために虚偽の証言を勧める。弁護士の巧みな嘘のロジックに対し、マリーアントワネットは「もしあなたが弁護士でなく、そして私が王妃でなかったら、きっと私たち、素晴らしい詐欺師になれていたと思いませんこと」と感想を漏らす(334頁)。これは現代日本のブラック企業とブラック士業のようなものである。 革命裁判所に偽証の弁護方針は通用せず、史実通りにマリーアントワネットは処刑される。マリーアントワネットの真実を知ることで、マダム・ロワイヤルは救われることになる。真実が大切であると再確認する。
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5つ星のうち 5.0
福祉国家の豊かさと闇, 2013/5/13
スウェーデンは福祉国家である。『冬の生贄』にも生活保護制度の手厚さが描写される。それは格差と貧困に苦しむ日本とは対照的である(林田力「『貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン』の感想」JANJAN 2008年12月10日)。 また、『冬の生贄』に登場する警察署長は移民二世である。これも日本では考えられない。日本では外国人を排除するヘイトスピーチ・ヘイトデモが起きているレベルである(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』「東急不動産係長逮捕事件とネット右翼」)。 それでも『冬の生贄』ではスウェーデンも孤独や格差、差別など社会病理と無縁でないという現実を描いている。福祉国家スウェーデンも悩みのない楽園ではない。しかし、貧困ビジネスやブラック企業が横行する日本と異なり、生活ができていることは素晴らしい。衣食住が足りているからこそ、人間関係の闇に向き合えるとも言うこともできる。 実際、『冬の生贄』に描かれる社会病理は福祉国家故のものではなく、日本社会にも当てはまる。たとえば不良少年のエピソードである。このエピソードが物語の本筋に必要かは議論があるところで、物語をコンパクトにまとめるならば割愛することも選択肢になる。それでも大人の信頼を裏切り、嘘八百を並べる不良少年の救い難さは社会病理を描く上で効果的である。 日本でも関東連合などの元暴走族・ヤンキー集団の犯罪性が社会問題になっている。中学校などでのイジメも犯罪者のレベルであることが明らかになり、社会を震撼させた。『冬の生贄』では不良少年が更生して社会に受け入れられるというような古臭い筋書きにならないところにリアリティがある。スウェーデンでの刊行は2008年であるが、日本の社会病理を先取りする先進性がある。
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5つ星のうち 5.0
極寒の北欧, 2013/5/13
モンス・カッレントフト著、久山葉子訳『冬の生贄』(創元推理文庫)はスウェーデンのミステリー小説である。上下巻の文庫本になっている。 舞台はリンショーピン市という地方都市である。主人公モーリン・フォッシュは女性刑事である。雪野原の木の枝に血だらけの死体がぶら下がっていたことが事件の始まりである。極寒の北欧の描写が具体的で、日本とは異なる風土の物語であると実感できる。死体と思われる人物の詩的なモノローグが挿入されており、幻想的である。 小説の醍醐味は与えられる情報が活字のみであることである。読者は文章から登場人物のイメージを想像する。これはビィジュアル面だけでなく、登場人物が自分にとって好感を抱ける人物か、反感を抱く人物かという想像も含まれる。その想像は十人十色であり、だからこそ小説のドラマ化やアニメ化で新鮮な驚きを感じたり、失望したりする。 『冬の生贄』では重要登場人物のイメージが中々固まらなかった。彼は極度の肥満体で、周囲の人から臭いと思われている。それを裏付ける食生活も描写される。問題は彼が作中で優しさ溢れる詩的なモノローグを語ることである。極度の肥満体という外見と詩的なモノローグの語り手が同一人物として想像できなかった。 作中では彼の不幸な生い立ちと孤独が強調され、同情を誘おうとする。それでも度を越えた肥満は自己管理のできない失格者という考えもある中で、生活保護で暮らしながら肥満体になる人物には好感が持てない。彼を爪弾きにした多くの住民と同じ気持ちになってしまう。 管見は生活保護受給者を怠け者とする見方には賛成しない。生存権は人権であり、生活保護バッシングに反対する。必要な人が生活保護を受給でき、ゼロゼロ物件などの貧困ビジネスが存在しない福祉国家スウェーデンを素晴らしいと考える。それでも生活保護を受給して肥満になる彼のような人物がいるならば生活保護バッシングが起きる背景は理解できる。
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5つ星のうち 5.0
脱法ハーブへの警鐘, 2013/5/12
尾田栄一郎『ONE PIECE 69』(集英社)はパンクハザード編の続きである。『ONE PIECE 68』に続いて依存性薬物(ドラッグ)の恐ろしさが描かれる。薬物依存症に陥ると人格が崩壊してしまう。『ONE PIECE』(ワンピース)は大人気のエンタメ作品であるが、実は社会性にも富んでいる。空島編はパレスチナ問題を連想させる。魚人島編では人種差別がテーマになっている(林田力「『ONE PIECE』第65巻、排外主義者の思想に迫る」リアルライブ2012年2月9日)。 パンクハザード編で描かれたドラッグの恐ろしさも現実社会の脱法ハーブ被害に重なる。脱法ハーブの健康被害は社会問題になっている。脱法ハーブ蔓延という社会悪に警鐘を鳴らす作品になった。『ONE PIECE』に登場するドラッグはキャンディである。ファッション感覚でドラッグを吸引する風潮への警鐘になる。 『ONE PIECE』にはカッコいい敵キャラも登場するが、薬物依存の黒幕はゲス野郎である。これも脱法ハーブへの警鐘として有益である。代わりにナミの正義感が見事である。泥棒猫の異名を持ち、金銭が大好きというエコノミックアニマルなナミであったが、ここでは薬物依存の子ども達を救おうと奮闘する。依存性薬物への怒りは本物の人間に共通する感情である。 パンクハザード編では、これまでルフィ達と接点のなかった最後の七武海であるドンキホーテ・ドフラミンゴがラスボスの様相を見せてくる。ドンキホーテ・ドフラミンゴは比較的早い段階で登場したが、チンピラ・ヤンキー風の外見であり、大物には見えなかった。同時に登場したバーソロミュー・くまの方が、懸賞金額は低く、扱いは地味であったものの実は大物ではないかと思わせた。実際、くまは革命軍とも接点を持ち、物語で重要な役回りが予想される。 その後、四皇という強大な海賊の存在が明らかにされ、七武海の凄みは低下した。四皇の一勢力が世界政府海軍と七武海の総力と対等な戦いを展開した後で、七武海の一人が敵の黒幕であったとしてもインパクトが少ない。『ONE PIECE 69』のラストではドフラミンゴの余裕が相手の力量を過小評価したためのもので、ドフラミンゴの底の浅さが露呈した。いきがっているヤンキーが正義の主人公に瞬殺される王道的な展開が想像できる。予想通りに終るか、どんでん返しがあるのか注目したい。
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5つ星のうち 5.0
闇との緊張関係, 2013/4/29
ジョゼフ・ディレイニー著、田中亜希子訳『魔使いの運命』(創元ブックランド、2013年)はファンタジー小説のシリーズものの一冊である。魔法の息づく中世ヨーロッパ的世界が舞台である。 主人公トムは魔使いの弟子で、魔王に命を狙われている。師匠ジョン・グレゴリーや友達アリスと共に戦災を逃れてアイルランドに来たものの、魔術師と地主連合の戦いに巻き込まれる。但し、全く新しい土地での新しい冒険という訳ではなく、魔王やケルトの魔女という過去の因縁の方が中心である。オムニバスではなく、過去の作品の上に成り立つシリーズ物である。 魔使いは悪霊などの闇と闘う仕事であるが、『魔使いの運命』では闇と闘うために闇の側の人物と共闘し、闇の力を利用するというアンビバレントな立場に陥る。「正義のために悪の力を役立てる」「終わりよければすべてよし」というナイーブな御都合主義ではなく、闇との緊張関係が強く自覚されている。 アリスの以下の台詞が重たい。「闇の力を使うたびに、使ったものを変えてしまうからよ。少しずつ闇に近づいて、最後にはけっきょく闇の一部になってしまう。そうなったら、自分を失って、もとの自分に戻れなくなるの」(330頁) これは現代日本社会にも当てはまる。ブラック企業やブラック士業にいるとブラックに染まってしまう。最初はブラック企業やブラック士業に搾取される被害者だった人が、パワハラなどで同僚を過労死などに追いやる加害者になってしまうことと似ている。 次巻は新たな場所で新たな冒険が始まることを予感させるが、『魔使いの運命』で生じたアリスの変化は、その後の物語に影響しそうである。一つの物語は完結させながらも、続編が読みたくなる結末であった。
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5つ星のうち 4.0
抱腹絶倒もの, 2013/4/27
近藤信輔『烈!!! 伊達先パイ』(集英社)は週刊少年ジャンプで連載していたギャグ漫画である。『スケットダンス』のような上品なギャグに対して抱腹絶倒ものである。主要キャラが伊達政宗のパロディーであることに始まり、マニアックなパロディーも満載である。 枠組みは岡田あーみん『お父さんは心配性』と重なる。『お父さんは心配性』は男子が読んでも面白い少女漫画であった(林田力「男子だって密かに読んでいた!」思い出の少女漫画の世界」日刊サイゾー2011年10月11日)。東日本大震災の被災地の復興を応援する立場としても、東北ネタ満載の漫画の健闘は大いに期待した。 しかし、週刊少年ジャンプでの掲載順位は後ろが多く、短期連載で終わった。その要因は所々に登場するヤンキー風味である。ヤンキーがカッコいいとされた時代は過ぎ去り、今ではヤンキーは時代遅れの恥ずかしい風俗になっている(林田力「『白竜LEGEND』第19巻、愚連隊は敵役としても力不足」リアルライブ2011年10月27日)。尾崎豊『15の夜』に対してバイクを盗まれた側のアンサーソングが動画サイトに投稿されるほどである。さらに関東連合の犯罪によって反社会性が明らかになった。ヤンキー風では笑えない。 視点人物の片倉君もヤンキー風である。学園一の美少女と交際する必然性が不明瞭である。伊達先輩の妨害に対して同情すべきか微妙である。お似合いのカップルが邪魔されるという理不尽さが弱い。真面目そうな外見の方が巻き込まれる理不尽さが強調でき、感情移入しやすかった。 片倉という名前は伊達政宗を支えた忠臣・片倉小十郎を連想するが、片倉君に片倉小十郎らしさはない。『烈!!! 伊達先パイ』には真田幸村をモデルにした人物も登場するが、彼くらい思いきり崩してもいない。これでは歴史ファンを満足させられない。
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5つ星のうち 5.0
タイムスリッパーの過去の言動, 2013/4/16
城平京・原作、左有秀・構成、彩崎廉・作画『絶園のテンペスト(8)』(ガンガンコミックス)で遂に不破愛花の死の真相が明かされる。あまりに衝撃的な真相であった。真相を知った吉野や真広の冷静さに、良くも悪くもキャラクターとしての強靭さがある。真相を知って怒り、泣き叫ばないことの是非については意見が分かれるが、普通とは異なるキャラクターを描くことには成功した。 一方で葉風の反応は凡人的である。物語の序盤では普通の少年・吉野が奇天烈な少女・葉風に巻き込まれるというオーソドックスなパターンと思わせながら、主人公の強烈な個性を印象付ける。タイムスリッパーが過去を変えるのではなく、タイムスリッパーの過去の言動が現在を作っているという筋書きも練られている。 はじまりの樹に対しては最終試験という新たな説が提示される。この考え方に立つならば世論の大勢に反し、それを出し抜く形で突破しようという主人公達の方針には疑問が残る。結果オーライや終わりよければ全てよし的な帰結は最終試験の趣旨に反している。そのようなスタンスは物語を積み上げてきた過程を嘲笑する自己否定になる。クライマックスに向けて、さらなるどんでん返しがあるか、注目したい。
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5つ星のうち 5.0
展開が速く、飽きさせない, 2013/4/15
パトリック・クェンティン著、白須清美訳『人形パズル』(創元推理文庫)はピーター・ダルース海軍中尉と女優アイリス夫妻を主人公としたミステリー「パズルシリーズ」第3作である。第二次世界大戦中のアメリカ合衆国サンフランシスコが舞台である。 主人公は愛妻との貴重な休暇を楽しみたい海軍将校であるが、殺人事件に巻き込まれる。巻き込まれ型はミステリーの王道であるが、巻き込まれることを「待っていました」と心の奥底で期待しているかのように、巻き込まれてイキイキとするキャラクターが多い。これに対して主人公は夫婦水入らずの休暇を妨害されたくないという思いが強く、その思いと展開とのギャップがユーモラスである。 ストーリーは展開が速く、飽きさせない。真犯人のどんでん返しも用意されていて、ミステリーとして秀逸である。犯罪者の動機や背景の説明が真犯人のモノローグや名探偵の解説ではなく、犯罪学者の論文になっている点は意表を突かれる。唯一読みながら残念な点は犯罪者の正体を知っている人物の自称「病気」である。 これは病気と呼ぶものではなく、だらしなさに過ぎない。この人物がまともであったならば殺人は防げたのではないかと思いながら読んでいた。しかし、最後の最後で彼の「病気」中の行動が犯罪者の計算を狂わせたものであることが明かされる。これで彼の「病気」に対する後味の悪さが解消された。ストーリーが練られていると感心させられた。 『人形パズル』は戦時中の物語であるが、「お国のために」と戦争一色であった日本とは大きく状況が異なり、それなりに市民生活を謳歌している。彼我の国力の差から日本が無謀な戦争をしていたことを改めて実感できる。 政治性や社会性の強い作品ではないが、好ましいものに対する形容として「日本の捕虜収容所で何ヶ月も過ごした後の白パン」という表現が登場する(15頁)。満足な食事も食べさせない日本軍の捕虜虐待は政治性の乏しい文学作品でも一般化していることが理解できる。巻末の「解説」が指摘するように「アメリカ市民社会の精神風俗を示す一資料としても興味深い」(227頁)書籍である。
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5つ星のうち 4.0
ラストで帝国の提督がいい味, 2013/4/14
ジェームズ・ルシーノJames Luceno著、富永和子訳『スター・ウォーズ 統合』は人気映画『スター・ウォーズ』のその後を描いた小説である。銀河の外からの侵略者ユージャン・ヴォングとの戦いの完結編である。『ジェダイの帰還』(ジェダイの復讐)から数十年後が舞台である。ルーク・スカイウォーカーもレイア・オーガナとハン・ソロも結婚し、新たな世代のジェダイが活躍する。 新たな敵であるユージャン・ヴォングは帝国軍やシスとは全く趣が異なり、もし映画しか観ていないならば別の物語のようになっている。それでもユージャン・ヴォングの最高大君主シムラと対峙したルーク・スカイウォーカーは、バルパティーンと対峙した時と重ね合わせており、『スター・ウォーズ』らしさが出ている。 『スター・ウォーズ』で印象深いキャラクターは、何と言ってもダース・ヴェイダーである。勢力でも主人公サイドの反乱軍・新共和国軍よりも敵サイドの帝国軍に人気がある。ちょうど日本の機動戦士ガンダムシリーズで地球連邦よりもジオンの人気が高いことと重なる。ガンダムの地球連邦は腐敗していた。スターウォーズでもエピソード1からの三部作で、旧共和国の問題やジェダイ評議会の硬直性を描き、帝国台頭の必然性を明らかにした。 ユージャン・ヴォングとの闘いではルーク達と帝国軍が共闘する。『統合』のラストでは帝国の提督がいい味を出している。スターウォーズファンに嬉しい完結編である。『統合』というタイトルの意味は深い。フォースの統合、帝国と共和国の統合などを示唆している。
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