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戸田橋一郎 "一郎"さんが書き込んだレビュー (東京都)

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まどろみ(微睡)
まどろみ(微睡)
大口 清一著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,000

5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 現代に甦る純文学, 2013/5/4
レビュー対象商品: まどろみ(微睡) (単行本)
芥川龍之介を思い起こさせるような短編集である。
時間と空間が織りなす一種夢幻の世界の中に、主人公の情感が読者に力強く語りかけてくる。
主人公を通じた様々な登場人物の人生が、現代社会に生きる人々の悩みを描き出しているが、それはなぜか明るい諦念の下に、したたかに生きていく主人公に収束しているようである。
見事なのは、その光と風の描写などに顕れている筆者の文章力である。
読者は、そこに、最近、お目にかかることが少なくなった大人のメルヘンを見出すことになるだろう。
驚かされるのは、このような短編集を出したのが、東京大学を卒業した後、霞が関で国土交通審議官という要職まで勤め上げた人物だということである。
時代に流されるお気軽な「小説」が多くなった今日、久々の純文学の登場、いや純文学者の登場である。

恐慌に立ち向かった男 高橋是清 (中公文庫)
恐慌に立ち向かった男 高橋是清 (中公文庫)
松元 崇著
エディション: 文庫
価格: ¥ 800

2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 大恐慌の時代からの知恵を得られる書, 2013/2/16
 大恐慌について知ろうとして本書を手に取ると、その期待は裏切られることになろう。大恐慌に至ったのがどのような時代だったのか。その時代に、高橋是清が、どのように立ち向かったのかを知ることによって、今日に生かす知恵が何なのかといった問題意識から読めば、様々な情報が得られる本である。本書の解説で加藤陽子氏は次のように述べている。
 「私が本書の一番の勘所とみたのは、高橋が暗殺されるにいたる背景説明としての第5章から第9章の部分である。(中略)岩手県花巻町出身の宮津賢治は、その童話『注文の多い料理店』で、都会紳士の食欲さを静かに皮肉った。読者は、この童話の刊行年が1924年(大正13)年であり、また自筆の広告文に賢治が、「糧に乏しい村のこどもらが都会文明と放恣な階級とに対する止むに止まれない反感です」と、自作の動機と由来を述べていたことをご存じだろうか。都会と農村の生活のギャップは、この時期にはすでに顕在化していたことの証左ともなろう。1936年の2.26事件に際して、岡田啓介内閣の蔵相・高橋是清を襲った青年将校らが、「国賊」「天諌」と叫びつつ、何故あれほど執拗に81歳の高橋の身体に弾を撃ち込み、右腕がほとんど切断される寸前になるまで斬り付けたのか。青年将校たちが抱いた、高橋、あるいは岡田首相、斎藤実内大臣、渡辺錠太郎教育総監への憎悪の探さは、何によって醸成されたものなのか。この暗い情熱に支えられた憎悪の由来を理解できなければ、昭和戦前期の軍部に国民が寄せた誤った期待感や高揚感は理解できまい。農村の悲惨な状況は、日露戦以降から長らく続いてきた、国税と地方税のいびつな関係にみられるような、国の対地方財政政策の過誤が招いたものだった。しかし、著者が第9章において表を用いて説得的に示したような、地方の歳入歳出構造、地方財政諸指標、地方税源の不均衡からくる、中央と地方の税制のカラクリなどは、なかなか一般の国民には理解しがたい話だろう。軍部などは、ここぞとばかりに、中国や英米に対してリベラルな外交政策をとっていた高橋、陸海軍の無謀な予算要求を最も説得的に跳ね返していた高橋に対し、「農民の敵」というレッテルを貼り、目の前の困難をもたらした元兇が、高橋に代表されるブルジョア勢力であり、元老宮中勢力であり、既成政党であると、名指しした。」
 難しい本である。しかしながら、ためになる本でもある。

 

失われた二〇世紀〈上〉
失われた二〇世紀〈上〉
トニー・ジャット著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,940

11 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 知識人の世紀だった20世紀を振り返ってみる好著, 2011/12/25
今日、新自由主義が跋扈し、それに対して「ウォール街を占拠しよう」といった運動が行われている状況の下で、これからの社会について考えようとする者に様々な示唆を与えてくれる本である。
 著者によると、今日、人々は20世紀を早速に忘却しつある。しかしながら、忘却の中からは、今日の問題を解決する糸口を見つけることは出来ない。
 著者によると、20世紀は知識人の世紀だった。そして、過去30年の変化のうちで、「知識人」の消滅が、恐らく最も特徴的なのである。消滅しつつある知識人の多くは、物事が真の意味を顕わにするのは、マルクス主義の秘伝を授かったものの知識によって解読される時だけなのだと考えていた。それに反発した知識人もいた。そういった知識人たちがいた20世紀を踏まえて現在を考えてみる土台を与えてくれる好著である。

山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革
山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革
松元 崇著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,940

6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 山縣有朋という人物に対する認識を覆す衝撃の書, 2011/12/15
本書は、山縣有朋という人物に対する認識を覆す衝撃の書である。
これまで、山縣によって育てられた軍閥が暴走し、言論の自由を奪い、立憲制を否定し、第2次世界大戦への道を突き進むことになったと理解して反発を感じていたが、本書によれば、暴走したのはむしろ反山縣派であったことは驚きだった。
本書の基本テーマである地方自治についていえば、山縣が地方自治の基礎を創り上げたこと、市民と為政者をつなぐために市や県レベルから積み上げていくことを重要と考えていたことも認識を新たにするものであった。
今回の大阪の選挙結果もあり、地方自治の在り方について今後議論が深まっていく中で、本書は大きな意義をもつものと思われる。

高橋是清暗殺後の日本―「持たざる国」への道
高橋是清暗殺後の日本―「持たざる国」への道
松元 崇著
エディション: 単行本

5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 財政史を基にした戦史, 2010/10/16
大蔵大臣として軍事費抑制を進めた高橋是清が226事件で暗殺された後、軍部が財政を握り、戦争へと突き進んだ日本。その過程を財政のほか軍事、教育、国民生活などの面からも多角的に検証した。
 財務省の広報誌に連載した財政史を墓にするが「戦史」でもある。史実を克明に描くことで、軍部による経済・財政政策の決定的な誤りが浮き上がる。「是清の財政規律が守られていれば」という財務官僚(現内閣府官房長)の目が貫かれている。
 江戸博代に先物市場が発達するなど日本人は金融も得意だったことや、是清が実践的なディベート教育を受けていた事実なども記す。是清の財政政策を改めて確認しながら、経済が低迷する「今」を考えるうえで役立つ一冊である。

基本から学ぶ地方財政
基本から学ぶ地方財政
小西 砂千夫著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,730

4 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 本邦初の画期的な本, 2009/9/23
レビュー対象商品: 基本から学ぶ地方財政 (単行本)
わかりにくいとされる地方交付税制度について基本から解き明かした本邦初ともいえる画期的な本である。
地方分権改革について、道州制の導入といった大上段に振りかぶった議論でなく、義務付け・基準付けの見直しが実質的に進むことが特に重要との指摘は時宜にかなったものである。
他方で、課税自主権(課税責任)についてほとんど触れていない点が残念ともいえよう。
大阪市での無駄遣いがいかに批判されても市民が税金が上がると思わなければ、大阪の市議会には無駄の追及を恒常的に行うインセンティブは働かない。
代表なきところに課税なしといわれるが、課税なきところに財政民主主義は期待できないと思われる。
もっとも、この感想は「入るを量りて出ずるを制する」との立場からのものであり、著者のように「出ずるを量りて入るを制する」のが基本であり、まさにそれが正しい姿だというのであれば筋違いの感想ということになろう。
著者の立場は、著者が財源保障の根拠規定として通常は挙げられる地方交付税法の第6条の3第2項を挙げていないことからのものかもしれない。
いずれの立場に立つとしても、制度の的確な認識なしには議論も始まらないのであり、その意味で、本書は地方自治について関心のある人に一人でも多く読んでもらいたい秀逸な書である。

プロジェクト・コード
プロジェクト・コード
岩崎 日出俊著
エディション: 単行本

3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 プロジェクト・コード, 2007/10/29
レビュー対象商品: プロジェクト・コード (単行本)
わが国の企業経営をめぐる環境は、急速に変わりつつあるが、その最前線での投資銀行に生きる人々の活動振りを生き生きと描いた秀作。
筆者が、現にその分野で長年活躍していることから、実体験に基づいた質のよいノンフィクションに仕上がっている。
これから投資銀行を目指そうとする若い人々にもお勧めである。

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