5つ星のうち 5.0
竹島、尖閣諸島、北方領土の問題には、むしろ打って出るべきでは? 本書を読み終わって思うこと, 2013/5/12
国際交流の近代化がなされる前の東アジア諸国は国境をきちんと定める方策に甘かったのだ。
竹島は、お互い納得のいかない歴史的な文書を根拠にした、際限のないバトルに拘泥することなく、1998年の日韓漁業協定を尊重して継続していくのが現実的だ。
相手が自分にとって異質だから排除する、ということは避けるべきだ。お互い異なる歴史を通して形成してきた性向の違いの解決は心理療法の分野に任せるべきだ。
ただ、過去に日本がどんなに朝鮮半島で悪さをしたとしても、反省するからといって日本国の一部である竹島まで差し出すことはできない。
日本は「悪法も法」といって毒を飲む刑罰に従ったソクラテスに見習う法治国家である。対馬のお寺から盗んだ仏像を、何百年も前に倭寇によって盗まれたものだから返さなくていい、という司法判断をした韓国人の物の考え方は受け入れられない。
もはや空気を読んだ政治的な判断によるしかない。最良の選択は1998年の協定の遵守だ。
尖閣諸島は、1895年、国際法に則って日本の領土に組み入れた、と本書に述べてあるが、それ以上のことは本書には記されていないのだが、国際的に認知された手続きであったのなら問題はない。
中国が先進国だけで取り決めたいっさいの国際的な協定を受け入れないとし、この手続きも認めないというのであれば、最低限のレジスタンスをするしかない。経済的にもエコ的にもそれがいい。領海に日々押し寄せ圧力をかけてくる中国には、従来どおり海上巡視船による警告行動をとる。圧力の質が変わったらそれに対する最低限のレジスタンスを取る・・・を続ける。
中国は大陸棚領土説を取っている。沖縄は大陸棚の外、沖縄トラフまでが大陸棚、ゆえに尖閣諸島は中国の領土になる、ということらしい。日本側は大陸棚は沖縄の外、琉球海溝までが大陸棚なので、海岸からの中間線を主張。ということで、歩み寄ることがなければ、採るべき道は実効支配。ということで中国の公、民の船は毎日押し寄せ、圧力をかけてきている。これを跳ね除けるには、中国が南沙諸島で、韓国が竹島でしたように、それが東アジアの常識的手段だというのであれば、日本もまた尖閣諸島に島管理の基地を建設したい気分ではある。キューバにソ連がミサイル基地を建設しようとしてケネディ=アメリカが艦隊を繰り出して阻止したように、中国もまたできたての艦船を繰り出し阻止を図るのであろうか。
中国国内の日本企業の封鎖、排除にならない程度の大人の対応をまずは模索するしかないだろう。それが領海侵犯船に対する警告というレジスタンスだ。つまり、現状の施策をがんばってやっていて欲しい、というものだ。
プーチン大統領閣下は北方領土問題について「引き分け」を模索している。閣下は人気にかげりが出てきたので、日本は欲張らず、引き延ばさず、プーチン氏在任中に解決を図るスタンスで二島をいただき、それらを含めて、プーチン氏を後押しするように「共同経済区域」としてロシアの資源開発を柱に日ロ産業開発の道すじをつけることが解決の糸口になると思う。
ちなみに、過去、日本軍の一部が朝鮮半島や中国で悪逆非業をした。兵士たちが民家に押し入り、めぼしいものを持ち出し、若い女性を兵舎に拉致し監禁し、隊長から順に性欲処理の対象にしていたことを自慢する愚者がいた。ロシア兵も北方領土に上陸し、日本人住居を襲い様々なものを強奪し、あるロ兵などは腕に日本製の腕時計を何個も通して喜んでいたという引揚者による呟きを聞いたことがある。また、ある女性は、息子が戦地に行く前にと見合い結婚をさせられ、わずか3日後に出兵し二度と帰らぬ人となり、戦後再婚することなくずっと一人で貞操を守ってきた女性がいる。沖縄ではいまだに屈辱の米軍支配が終わっていない。日本はそれを反省し永久平和を誓った(沖縄を犠牲にしながらだが)。それなのに隣国は軍事的挑発を繰り返す。日本人がまだやっていないこと、それはレジスタンスだ。かつて中国が抗日でプライドを守ったように、朝鮮半島の人々が3・1独立運動をしたように、尖閣諸島を日本人のアイデンティティとしてレジスタンスを展開しなければならない。
レジスタンスと同時に、発想を転換して、共同戦線のできる相棒を見出し相手の経済領域に友好的に貢献し両者ともに潤い、ひいては文化的にも新たな地平を築けるようにしなればいけない。アメリカのパワーの陰りとともに、日本の国境が騒がしくなったが、保守すると同時に、可能性あるところにはむしろ打って出る戦略をとるべきではないだろうか。毛沢東の名言「敵の敵は味方だ」を踏まえて、スターリン流の各個撃破をするべく経済的連帯を画策しなければならない。
本書は分かりやすく、以上のような考察をすることができた。感謝。