48 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
脚本はイマイチ でも音楽は良い!, 2010/4/4
音楽は良かったけど、難がないわけではないので、星4つ。
物語は、『オペラ座の怪人』のその後のお話。10年後くらいでしょうか。謎の興行主に呼ばれたクリスティーヌ、ラウル、二人の子ギュスターヴが、アメリカのコニーアイランドにやってきて、思わぬ人物と再会、と。
【悪いところ】
まず、脚本がイマイチ。フォーサイスの『マンハッタンの怪人』はヒドいのを通り越して憤りを感じたくらいですが、それよりはマシでしょうか。全編がウェーバーの音楽で彩られ、だいぶ補われていますが、それでも、これはいただけません。
キャラ設定や展開も、かなりご都合主義で大ざっぱ。
陳腐な歌詞も多く、「他に言いようはないのかっ!?」とツッコミを入れたくなる部分が多数。舞台の時代背景を考えて、狙ってやっている部分もあると思いますが、それにしても、ちょっと……。
最大の問題は、この『Love Never Dies』を観た(聴いた)後に『オペラ座の怪人』を観たら、それはガストン・ルルーの原作からかけ離れた、俗っぽい安っぽいメロドラマになってしまう、ということ。
オペラ座の地下のシーンで、「ここで、あーんなことや、こーんなことをやっていたのね!!」などと考えてしまいそう。「この登場人物が、いずれあんなことになるのね!」とか。観る側の品性の問題(?)もありましょうが、私程度ですと、次回『オペラ座の怪人』観たら、つい、いろんな邪念が……。
【良いところ】
音楽は、純粋に良いです。『オペラ座の怪人』が好きな人は、音楽は気にいると思います。オリジナルの『オペラ座の怪人』で使われた音楽が、チラっと出てきたりするので、そんなところも、ファンとしては、ちょっと楽しみだったりします。
『The Beautiful Game』で使ったメロディをそのまま『Love Never Dies』使ってしまうのはどうかと思いますが、順番からすると、そもそも『Love Never Dies』に使うつもりだった曲を、目先の『The Beautiful Game』で出してしまった、というわけで、やっと本来あるべき作品に使えた、ということになるのかもしれませんけど。
ファントム役のRamin karimuloo、クリスティーヌ役のSierra Boggessが素晴らしく、この二人で『オペラ座の怪人』を観てみたいと思いました。ブライトマンとクロフォードを彷彿とさせるものがあります。脚本のイマイチさを、音楽とこの二人が補っています。
『オペラ座の怪人』と『Love Never Dies』で曲想の似た歌があって、「Til I Hear You Singは、『オペラ座の怪人』のMusic of the Nightね!」とか、勝手に対比(?)させて楽しんでいます。
Music of the Night=Til I Hear You Sing
Dear Old Friend=Prima Donna(ちょっと無理やり?)
The Point of No Return=Beneath A Moonless Sky
Think of Me(Wishing You Were Somehow Here Againか?)=Love Never Dies
と、いろいろ考えられます。
この作品の正しい楽しみ方として個人的に考えたのですが、
・ストーリーは、ルルーの原作や、元のミュージカル『オペラ座の怪人』続編と考えず、切り離して観ること(聴くこと)
・音楽を中心に楽しむこと
といったことではないでしょうか。
そう考えてみると、音楽は良いですし、ストーリーも俗っぽいですが、まぁ、ウェーバー作品なら、こんなものかな、と何となく納得できます。実際に舞台を観たら、「意外とおもしろかった!」とすら思える気もしないでもない。
日本盤の「Love Never Dies ラヴ・ネヴァー・ダイズ(日本語ヴァージョン) 」は、単なるウェーバーファンには不要なものです。
平原綾香さんは歌が上手な歌手と認識していますが、ポップスの歌唱法だけでは限界があります。高音でエコーきかせるのも、反則でしょう。ゴマかしている感があって、歌わせるのは、むしろ気の毒。このCDに入っていれば、当然Sierra Boggessと比較してしまいますから、分が悪いです。
日本語訳も、ビミョーな感じ。短時間で一生懸命訳した感が満載。がんばっていますが、どうも耳にすんなり入ってこない日本語です。原語のとおりと言えば、それまでですが。
そういうわけで、平原綾香さんのファン以外は、このトラックの入っていない安い盤で良いでしょう。販促や話題作り(…になっているの?)のための企画でしかありません。
この舞台、あまりロングランにはならない気がするなぁ。半年か一年して、オリジナル・キャストのRamin karimulooとSierra Boggessが抜けたら、すぐクローズしそう。
以上、実際の舞台、付属のDVDは見ておらず、CDを聴いただけの感想です。