5つ星のうち 5.0
太平洋戦争の、本当の姿を正確に記した良書, 2011/8/26
日米両軍ともに歴史に残る壮絶な戦闘があった硫黄島戦を、最後まで戦い
抜いた、と言うより最後まで生き抜いた日本兵が書き記した貴重な手記で
ある。
筆者自ら志願し、17歳の若さであの激戦の硫黄島に送り込まれたというか
ら大変驚いた。
「嗚呼〜○○の」調の、武勇伝や美談が満載である他書とは大きく異なる。
筆者は通信兵なので、前線でのリアルな戦闘の記述はほとんど無く、内勤
者の目から見た記録なので地味ではあるが、日本人側の視点から書いた硫
黄島戦がよく解った。とんでも無く悲惨で惨い状況の描写の連続なのに淡
々と読み進めることができた。それは筆者が、初々らしさと純粋さが残る
17歳の時にそれを経験したからなのか?
史上最悪クラスの戦争を、純粋な少年兵の目を通して見るとこうなるのか
と感心した。
若い少年兵(筆者)が、最後まで、生への希望を捨てなかったところは本
当に共感する。
想像を遙かに絶する米軍の猛烈な攻撃を受ける中、補給や援軍の望みが絶
たれ、つまり本国の大本営から見捨てられた絶望感に加え、醜悪な洞穴の
中での持久戦の命令を受けて、飢えや死の恐怖に晒され続けているいる日
本兵の苦しみは、現在人である私には想像を絶する。
自分が硫黄島で戦う兵士だったらどうしたか?と自問すると深く考え込ん
でしまう。
1日でも本土攻撃を遅らすため?
→でも、その守るべき本土からは既に見捨られている。
決戦に挑む?
→弾が無い。食い物が無い。勝てる訳が無い。
自決する?
→そんな勇気は無い。
米軍に降伏する?
→降伏は国賊だと叩き込まれ続けた兵士に簡単できる訳が無い。
筆者は、掃討作戦により負傷し、意識不明で水に浮かんでいるところを
米軍に助けられ、奇跡的に生還したが、それはNHKの番組で知った。
(本書には記述は無かった)
これが、日本兵に残された唯一の、生き延びる道なのか...
硫黄島で日本兵と戦った元米軍兵士達が「なぜ?」を連呼していた。
やっぱり彼らが言う通り「トップ」が悪いのだろう。
今の政権と、当時のそれが妙にマッチしていて恐怖すら感じる。
通信士の命である指を負傷されて、戦後は電鍵を握ることできなかった
のだろうか?だとしたら、さぞ無念だったでしょう。
生への希望を最後まで捨てなかった筆者が、今もご健在である事が何より
嬉しいです。
お薦めの1冊です。