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5つ星のうち 4.0
まったくの初心者にはありがたい入門書, 2010/11/29
小生、恥ずかしながら、デリバティブの「デ」の字も知らないまったくの門外漢。経済小説を読んだ際、この手の知識も知っとかないと世の中についていけんかなと思い、よい入門書を物色していて当たったのが本書。 前提知識まっさらの初心者のレベルまで降りてきて、痒いところに手が届くように、巧みで具体的な例えなどを駆使してデリバティブの世界を丁寧に解説。もちろん、これ1冊でデリバティブの何たるかをマスターできるわけじゃないけれど、とっつきとしては丁度良い加減。 「ちょっと知ってる人」なんかには物足りないのかもしれんけど、小生には本当にありがたい本でした。
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5つ星のうち 3.0
ハイテク中国、その躍進と限界, 2010/11/13
何につけ、量的には圧倒的だが質的にはまだまだというイメージが強い中国。この国のハイテクの現状・展望について、中国勤務の経験がある現役の科学技術官僚が分かりやすく、かつ独創的な視点を交えつつリポート。 1.中国の科学技術の水準は今や刮目すべき水準に達しており、分野によっては、既に日本を凌駕している現状を具体的に提示。「平均の誤謬」を鋭く指摘。 2.中国ハイテク戦略の限界についても価値観を交えず、フェアな形で淡々と紹介。 3.中国の科学技術政策を鑑として、我が国ハイテク戦略の弱点を要領よく解説。 4.そのうえで、将来的な日中科学技術協力のあり得べき方向性について、著者なりの考え方を大胆に提示。 5.全体的に記述も具体的で平易。科学技術に土地勘がなくても楽しめる内容。ただし、よく分からない例えや表現も。たとえば、「ヒーロー」好きか否かと失敗に対するシビアさとの関係。「あんこ入りお餅」の例え。「科学技術=土壌」という主張。人によってはピンとこないのでは。いささか筆が走ってるかな。
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5つ星のうち 3.0
だから、ロシアはどんな国なの?, 2010/11/6
CIS諸国におけるソ連時代へのノスタルジー。この地域におけるロシアの昔ながらの専横ぶり。未承認国家の現状。ナゴルノ・カラバフ紛争等にちらつくシロビキ系の影。コーカサスにおける親日シンドローム。CIS諸国と日本との外交のあり方。そして、2012年に向けたプーチン体制の展望などなど。 多岐に亘る豊富な内容をカバーしており、その一つひとつは真に興味深いエピソード。が、いささか雑駁な観なきにしもあらず。全体を通じて何を言いたいのか、ロシアの何を取り上げて読者に伝えたいのか、かならずしもよく分からない。コーカサスをネタにしたエッセイ集のような印象。 内容の7割方がコーカサス諸国そのものの話であることにかんがみると、そもそも『強権と不安の超大国・ロシア 旧ソ連諸国から見た光と影』というタイトルが適切と言えるのか、きわめて疑問。編集の方でもう一工夫あれば、全体としてさらに良い本に仕上がったのでは。
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5つ星のうち 4.0
典型的な「国際商品」としての石油, 2010/11/3
石油は、実は流動性・流通性が極めて高い典型的な「国際商品」であり、これを一昔前の「戦略物資」として地政学的な見地からの政治的コントロールを行うことは意味がないというのが筆者の主張。 われわれ市井の門外漢にとっては目から鱗が落ちるような指摘。 中国の資源囲い込みの現状や、ロシアによるウクライナ向けガス供給の停止など、その後の展開を視野に入れると、本書を通じて流れる楽観的なトーンがいささか気にかかりはするものの、筆者の基本的なスタンスは現在でも通用するもの。 データ等は最新ではないものの、この分野での手軽な入門書・概説書としてお勧め。
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5つ星のうち 5.0
読んでいられない、でも読まずにはいられない!, 2008/5/2
下巻では、前半にサラブレッド・要一の悩みと希望をめぐる物語が語られたあと、後半ではいよいよ三人の夢をかけた競技会に突入します。 三人にすっかり感情移入してしまった小生、三人とも勝たせてやりたくて、でも誰かが何かポカやらかすんじゃないかとホントに心配で、とても読んでられない状態です。でも、読まずにはいられません。三人の演技を最後までしっかり見届けてやらなければ、なんて、まるでコーチにでもなったような心持です。 甘いことばかり語られているわけでは決してないけれど、読み終わったあとの、この爽やかさ、清々しさ、そして歓び。「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子は、中学生の頃にこの物語を読み、好きな本が終るのが悲しくて、自分勝手に「続編」を書いたりしていたのだそうですが、「分かる、分かる、分かる」って感じです。 この森絵都という作家、ひょっとしたら神が降りているのかもしれませんね。
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5つ星のうち 5.0
素直な熱気に素直に感動!, 2008/5/2
日本の飛込み人口は僅かに600人。こんなマイナー且つマイナーな競技にも、全てをかける人々と熱いドラマがありました。「ダイヤモンドの瞳」を持つ暢気少年の知季、かつて祖父が見た夢への憧憬と反発に揺れる野生児の飛沫、そして飛込み界のサラブレッドとして周囲の期待を背負いながら自分自身を見つめ返す天才高校生・要一。そんな彼らを主人公としつつ、コーチ、友人、そして家族らが熱くて優しくて切ない物語を織り成していきます。 飛込みの「ト」の字も知らない小生、こんな小説には感情移入のしようもないだろうと思っていましたが、なんというか、おかしいくらいに引き込まれてしまいました。まるで彼らの家族にでもなって、競技会に応援に行って彼らの演技を見ながらハラハラドキドキしてるような感じです。三人とコーチの素直な熱気に、素直に感動しています。 上巻は知季と飛沫の物語が中心。下巻も一気に読むべし、読むべし、読むべし!
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5つ星のうち 3.0
同盟による生存、同盟による繁栄, 2008/1/12
陸自幹部出身で防衛研究所にも奉職された軍事外交史家・黒野耐氏による戦前日本の同盟政策に関する概説書です。明治初期の国益定義状況や無同盟下の三国干渉あたりから筆を起こし、日英同盟締結の背景、日露戦争における功績、その後の空洞化傾向への日本側の対応、同盟の解消などを概観した上、ワシントン条約体制の崩壊と三国同盟の締結頃までを対象としています。 利害の共通、特に脅威認識の共有が喪われた際など、国際政治の力学によって同盟の求心力が低下していく際のマネジメントのあり方について、特段の問題意識を置いているように見受けられます。我が国の置かれた今日的状況に鑑みれば、とても大切な問題なのではないでしょうか。 氏が投げかける主張的な部分の当否については読者によって様々な受け止め方があることでしょうが、本書に示されている日英同盟消長の跡は、全体として掬すべき示唆を投げかけているように思いました。
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5つ星のうち 4.0
対独参戦と21ヶ条要求, 2008/1/12
著名な戦記文学者・児島襄氏による大正時代ノンフィクション、本書はその第3巻です。本巻の対象とされている事案は、第一次大戦への参戦に至る経緯、特に日英間における調整の状況、青島攻略作戦の概要、大正4年3月選挙における政友会の大敗、21か条要求をはじめとする対中外交の状況、大正天皇の即位大典の模様などです。 この時期の我が国の外交のあり方について「火事場泥棒的」などと称されることがあり、内心でそこはかとない反感を覚えていましたが、こうして当時の状況をじっくり見てみると、言われても仕方ないかなという気がしてきてしまいます。たかだか10年前の日露戦争まで列強との調整・協調にあれほど腐心していた同じ国が、21ヶ条要求のような悪手を繰り出すこととなろうとは。いったい、どういうことなんでしょうね。
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5つ星のうち 4.0
運命のシーメンス事件、欧州大戦の勃発, 2008/1/4
戦記文学の巧者・児島襄氏の手になる大正時代の政治・外交・軍事等に関する一大ノンフィクションの第2巻です。本巻で扱われているのは、「シーメンス事件」(巡洋戦艦「金剛」の英国ヴィッカース社への発注等をめぐる海軍有力者の涜職事件)とそれに続く「第二次大正政変」、大隈内閣成立の舞台裏、桜島の噴火、そして欧州における第一次世界大戦の勃発経緯などです。児島氏らしい緻密で手堅い語り口で、時代の状況が丁寧に復元されています。 さて、本巻を読んでみて特に感じたことは、概ね以下のとおりです。 (1) 清浦圭吾に大命降下があった際における海軍の我利我利主義。海軍が清浦内閣を流産させた結果として成立した大隈政権によって山本権兵衛と斉藤実が予備役編入を余儀なくされるとは、まことに皮肉なものです。 (2) 大隈内閣発足の際の政党政治家たちのポスト欲の浅ましさ。閣僚ポストに就いた途端の変節の甚だしさなどについても、政治家というものはいつの時代にも変わらぬもののようです。また、そうした「困ったチャン」たちをビシっと纏め上げていた原敬の政治的手腕たるや、確かにたいしたものと感じました。 (3) 桜島噴火の際における関係当局者の驚くべき責任感。「ご真影」確保のため噴火真っ最中の桜島への着岸を敢行した鹿児島県視学や、被災乗客がパニックに陥る中、駅舎に身体を縛り付けて義務履行貫徹を決意する武駅の駅長・助役など、昔の日本人はホントにスゴイですね。我々も頑張りましょう。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
甦る「大正」の時代相, 2008/1/2
近代国家建設の使命と光輝に満ちた明治、狂乱による破滅と再生への希望に彩られる昭和。この二つの時代の狭間にあって、「大正」のイメージは如何にも地味です。しかしながら、我が国で初めての議会制民主主義が実現したのは正に大正年間のことであり、また、国際政治の実情がパラダイム・シフトを迎えつつある中、新興大国としての立居振舞を初めて試されたのも、他ならぬこの時代のことでした。これらの諸々が、明治末年でも昭和初年でもない「大正」にこそ生じてきた、そこには何かしら時代の必然といったものがあったのではないでしょうか。 本書は、この大正の政治、外交、軍事、そして人々の生き様を、ジャーナリスト出身の高名な戦記作家、児島襄氏がノンフィクションとして再現しようとするものです。如何にも氏の作品らしく、安易なイメージ論は排され、綿密な取材に基づく緻密な記述となっています。 本巻では、大正政変の顛末、米国排日法に対する朝野の反応、中国「第二革命」勃発に際しての「三案件」をめぐる経緯などが中心です。 敢えて感想めいたことを吐かせて頂ければ、山県など元老たちのアクの強さはイメージどおりですが、それに劣らぬほどの山本権兵衛以下海軍の意外なエゲツナサが新鮮に感じました。また、護憲運動の際や排日法案への対応、さらには「三案件」処理の際における国民の無軌道振りと、それを煽りまくるジャーナリズムの熱狂的な有り様には、少なからずショックを受けました。現代の世相にも、何かしら示唆するところがあるように思ってしまうのは、果たして小生だけでしょうか。 長くてたいへん(文庫版全8巻中、第1巻だけで530頁超)ですが、時間を割くだけの値打ちはあるように感じました。
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