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原体験, 2009/11/28
あずまきよひこ「よつばと!」9巻。今年は過去作の新装版諸々の作業があったため、刊行は遅くなったが
不思議とそこまで待った感じがしないのがこの作品らしい。常にそばにあるというか。
今回もいつもと同様の出来の良さ、シュールさを感じさせるギャグも多数、
何より普段の生活に根ざした形でここまで微笑ましいギャグがポンポン出てくるのが素晴らしいというか、心地よい。
本当に些細なことの積み重ねなんだけど、それを見守るのがやたら楽しく、世界観に思いっきり浸れる。
特にこの9巻ではよつばの子供らしさというか、子供の時に経験すべき・またはしたかったような出来事が多く描かれており、
それは一種の理想だとも思うんですが、
それでもこの時期にこういう経験してれば感情豊かになっていくよな〜という、
大げさに言えば一つの教育を垣間見てる気分になるというか。ついつい親目線で読んでしまう話が多かった気がする。
これはこの漫画だけの特権だと思う。
と言う訳で今回も抜群の安定感、きっと何の心配もなしに読める一冊かと思います。
無数の気球が飛び立つシーンは、作画の丁寧さも手伝ってとても見事だった。
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15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
王道への挑戦, 2009/11/25
NICO Touches the Walls約1年振りのニュー・アルバム「オーロラ」。
バンドとして明確な勝負作であり、同時に熟成されたメロディが光る相当の傑作であると思った。
まず、先行シングルやタイアップの付け方から予想してたのは今までよりもポップな、
ともすればいびつな部分を失くした聴き易さ先行の作品になる可能性もあるのでは、と考えていたのだが、実際聴いてみると思ったよりロック。
というよりもロックなままポップになっているというか。
それに加えて、インディー時代から演ってきたいびつで暴走気味なナンバーが未だに残っているのも嬉しい誤算だった。
堂々とアルバムの始まりを告げる「Aurora」、グッド・メロディを壮大なロックサウンドに乗せて熱唱する「芽」、
エキゾチックな雰囲気がゾクゾクする「Lonesome Ghost」、アルバム中最も暴走している「錆びてきた」の振り切りっぷりは素晴らしく、
続く「レオ」が非常にシリアスな名曲で、正直シングルで切れる位の決定打とも感じ、
軽快なメロと縦横無尽に駆け回るギターサウンドが気持ち良い「N極とN極」(タイトルがまた絶妙)、
ポップなメロディ、しかしギターは歪みまくってる「風人」で一気に盛り上がり、練り込まれたメロディがじんわり染みる「波」「トマト」のバラード2連発で締めるラストも中々の余韻で。
つまり、アルバムの流れがとても良い。そして一曲一曲の作りこみ具合も相変わらず高く、このバンドならではの心地よい安定感を受けれます。
個人的にシングルではそこまでピンとこなかった「かけら」や佳作「ビッグフット」がアルバムの流れで聴くとグッと来てしまうのも好印象でした。
その上で「ホログラム」のメロディの強さ、扇情感の強さ、アンセム的要素の強さはやはり眉唾ものだと思った。
この曲はバンドを代表する曲になっていって欲しいと思う。
そして光村龍哉の歌いまわしも更に印象に残るようになってきて、ボーカリストとしてどんどん魅力的になってきているのを感じます。
と言う訳で、かなり出色のロック・アルバムです。傑作だった1stと比べても個人的には遜色なし。やっぱり、良いバンドだと思います。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
きみがいると, 2009/11/24
1巻の時点でも相当面白かったのだが、かがみふみおの事だから2巻以降は更に盛り上がるんだろうな、と思ってたら
その通りに盛り上がっていた。そんな「きみといると」の2巻目。
現代に出しうる恋愛漫画の中でも、オーパーツかと思うくらい純粋な話である。
正直ここまで純粋なやつらがいるのか?と思いつつも、いやいや、こういうのが男女交際のあるべき姿でしょ!と言いたくなってしまう位
かがみふみお独特の、驚くほど丁寧なステップで進められる恋愛の流れが描かれている。
素直に「こういうのいいなぁ」って思えるというか、読んでるとこっちまで恥ずかしくなってくるというか。
また絵柄に関してもますます表情やデフォルメの仕方が可愛くなり、
毒気の全くない無邪気な作画の数々には思わずため息を吐きたくなるくらい魅入ってしまう。そういう世界観。
特に山河さんの純真無垢な表情はどれもこれもいちいち珠玉。
スーパーの屋上とラストの動物園のシーンの感情の高鳴りっぷりは見てるこっちがハラハラするくらいの反応で、
思わず「頑張れ!」って応援したくなります。
今では色々と使い古された感のある作品も多い恋愛漫画だけど、
出来うる限り丁寧に、キャラクターの心情をじっくり描けば未だにここまでのものが出来るんだといういい見本。
前作「まちまち」の時にこれは決定版だなあ、と感じたけど
早くも次回作のこの作品でそれ以上のものを描いてしまっているような、そんな感覚。
ここままの勢いを保って、是非純愛漫画の決定版の一つになって欲しいと思う。そこまで期待してもいいと思います。というか、したい。
にしても主役の二人を見てると本当に幸せな気持ちになる。胸が「ぎゅっ」ってなります。
老若男女に薦めたい。
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10 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
私たちも笹の葉, 2009/11/17
久米田康治「さよなら絶望先生」19巻。いよいよ次で20巻。そして先日本誌で200回記念を迎えたばかり。
そんな状況にも関わらず相変わらずネタは後ろ向きで、誰彼構わず切っていくような姿勢が痛快であるのだが
この度久米田康治が原作者になったということで(別冊マガジン参照)、
それについて延々と書かれているおまけページの独白が非常にスリリングで面白かった。
「今までとったことがないような、優れたアンケート順位でした。」とのことで、正直嬉しいんだか複雑なんだか。
「一応僕も絵が描けるんです」という最後の記述に至っては、ベテラン作家のペーソスじみたものを感じずにはいられなかった。
そんな多忙であろうスケジュールにも関わらず、相も変わらずおまけページの量、また勿論本遍のクオリティが下がってないところに
個人的には好感を覚えるのだが。 私個人としては久米田康治の絵、デビュー作からずっと好きだぞ!と言いたくはなりました。
さて、本遍については「面白いっていわなきゃいけない感」ネタが鋭い部分突いてて面白いなあ、って思ったのと
何といっても新キャラの「木津多祢」が良い味出してる。
名前から察してもらえるように千里の姉なのだが、妹と正反対の性格で、その雰囲気や姉妹の対比がすこぶる面白くて良かった。
先生との絡みも何故か妙なときめきが。
そういえば、今回はオチの出来がなかなか良かった気がする。「グダグダ連載〜」「皆で心中〜」辺りは落としどころが上手いと思ったし。
今や原作者にまで進出し、ますます以前よりも活躍の場や評価を広げてきている久米田康治。
これから先、どうなっていくのかがファンとしては色々な意味で楽しみ。
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36 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
理由, 2009/11/4
篠原健太「SKET DANCE」の10巻。 ボッスンの過去編が一巻使って丸々と描かれる。
スイッチの重く痛々しい過去編、ヒメコの王道の学園ドラマ風の過去編とは違って
この過去編はこの作者ならではの複線を駆使した、若干トリッキーな読ませる要素の強い過去編として描かれている。
読んでいるうちに様々な事実が浮き彫りになり、点と点が繋がる展開は単純に見事だと思うし、
ドラマチックな流れもきちんとあるので読み終えたときの爽快感と充実感は強かった。
そして登場人物の優しさや思いやりも、直で伝わって来てジンワリとする場面もいくつかありました。
しかし個人的に一番感じた事は、これは確実に「描くべき話」である、ということ。
他の2人の過去編とは性質が違うというか、物語の根本に繋がるとても重要なストーリーが出し惜しみなくバッサリと描かれている。
掲載順の良い漫画ではないので、「もしかしてこれでラスト?」と一瞬思ってしまったくらい。
この巻にはボッスンが人助けをしたり、スケット団を結成した明確な理由がはっきりと描かれている。
この巻を読み終えた後に既発の話を読む事で改めて見えてくるものもあると思う。
「SKET DANCE」という作品の深みが増した、というか。
またネタバレは避けるがこの巻にはもう一つ、大きなトピックが用意されている。
これもまた、読み終えたあとに昔の話を意識して読んでも面白いと思う仕掛けだと個人的には感じた。
やはり篠原健太の紡ぐ物語とネームが好きだなと改めて思った、そんな10巻。最高です。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
夕陽と桜, 2009/10/27
田中ユタカ「愛しのかな」3巻。これを以って完結、堂々の最終巻。
日常の賑やかな話から、大吉くんとかなの愛の記録、ドラマティックな展開と持てるポテンシャルを全て注ぎ込んだような、
田中ユタカ自身にとってもある種の節目となるような一冊です。
実際、田中ユタカ作品では珍しく引きがあったり、やったことのないような話があったりと、
これをきっかけに彼の作品に興味を持つのも良いと思えるくらい、普遍的な作品として成立したと思う。
もちろん、「愛の描写」込みでですが。1巻と比べると少ないですが、確かにそういう描写も残っています。
生の実感ともいえる、大切な行為。それを「世界中で何よりも信じられるぬくもり」と表現されているのが何とも言えません。脱帽。
ネタバレを避けてお話すると、かなが色々な人に影響を与えます。
それぞれの人生に、確かに作用し、それは結果的にとても幸福な感情に変わります。
前回の引きで登場した路上の歌うたいの詩子さんが、残酷な一言を掛けられた時にかなが奏でたリズム、
コンビニのオカルト店長とのデート、そこでかなが見せた笑顔は忘れられない。
書き下ろし12ページのショートストーリーも、かなの存在の温かさを感じ取れるいい話です。
夕陽に満ちた鮮やかな部屋で、一人で自ら命を断った少女が、
それから幾年もの時を経て様々な人と関わり、人間としての尊厳を取り戻していく。
何よりも大吉くんの存在によって、今では帰れる部屋がある。「ただいま」と「おかえり」を言える。
そんな当たり前のことが何よりもいとおしくて、守るべきものなんだってことを実感させてくれました。
生きるって悪くない。ってことも。 彼女は実質的には生きているんだと思います。絶対に。
「愛人-AI・REN-」と通じる設定でありながら、それとはまた違った趣の作品になったと思います。
人のぬくもりがダイレクトに伝わってくるような、そういう作品です。名作だと思う。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ほとんど内輪の話, 2009/10/27
巣山真也「学校のせんせい」1巻。
前作と比べると絵が安定していて、ただ若干デジタル寄りになって多少スカスカしている。
それでもって男キャラがほぼ出てこなくなったのも思い切った変化である。
タイトルにせんせい、と付いているが
実際のところ先生というよりも生徒の側に近く、指導的な話もほとんどなく
基本的にメインキャラの教師3人+お子様主任のだべりで構成されている。
どのキャラも良くも悪くも先生どころか大人にも満たない言動、行動が面白い一作である。
学生がそのまま教師になってしまった感じ。
ただネタはベタ中のベタがほとんどで、
この手の漫画の王道を行く流れになっているのだが
不思議とどのキャラも憎めなくて、性的なネタも個人的にヒットする部分が多かった。
特に主人公のサクラの恥ずかし屋っぷりと、ゆり子のネタキャラっぷり、暴走っぷりは中々に面白かった。
エロゲーを買いに行く話は構成もオチも上手い。笑える。
こういうベタな話を許せる人にとっては個人的にオススメの一作。
それにしても主人公は本当に神田に似てる・・・確信犯?
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9 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
つながりとイメージ, 2009/10/24
あらぬけいいち「日常」5巻。今回もあらぬ節独特のギャグセンスが冴えており、そこにブレはない。全体的にハイテンションなネタ多め。
それにしても今回は続きものが多く、5巻の中で以前に出てきたキャラや出来事を繋ぐのはもちろんのこと、
これまでの巻に出てきたネタを再びやっていたり、もしくは完全なデジャヴがあったりと集大成的な印象も受ける巻である。
基本的にはギャグマンガなのだが、そういった繋がりによってストーリー漫画的な面白さも垣間見れる、面白い構成だと思う。
そしてキャラの一人歩きもたいがいで、モヒカンの中之条くんの父親があの人だったり、彼自身に驚くべき変化が起こったりと
キャラクターの面白さもどんどん様変わりしていく。
みおは投稿用の漫画を描き始め(このエピソードが絶妙)、理科の中村先生は恋に目覚めたり(?)してとても可愛い。
そんな中で珍しくはかせとゆっこたちが絡む話があるのも嬉しいところ。
突拍子のないネタの数々も、相変わらずこの作者にしか出来ない妙な味を出されていて満足。
まるでイメージや空想をそのまま漫画にしたようで、そういった実験性と良い意味でのラフさが個人的に好きだったり。
しかし遂に大きなリボンの子が主役のエピソードが描かれたのが一番嬉しかった。尚、前の巻で出番がなかった麻衣ちゃんの出番も結構あります。
中村先生の今後にも期待。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
王道のポップ・アルバム, 2009/10/22
CooRie約2年ぶりのニュー・アルバム「Imagination Market」。隠れた名曲「君にヘッドフォン」も収録。嬉しい。
タイトルがいつもとは違うので、変化作かな?とも思ったが
実際聴いてみると変化作どころか、むしろ王道のポップスアルバムだった。
それも、王道といってもCooRieの王道。どこから切っても彼女のエッセンスが凝縮された、渾身の一作になっている。
敢えて最新シングル「星屑のサラウンド」を外してるのも面白いところ。次回作への布石であると同時に、アルバム全体のバランスを考えてのことだろう。
このアルバムはアップテンポの曲と深めのバラードと両極端な構成。特にバラード多目。
だからこそその中間である「Thank you for the Music」が際立つ流れにもなっているのだが。この曲の配置は絶妙。
そして肝心のバラード群は、全体的に大人の匂いがする洗練されたものになっている。いい具合に熟成されてきたなというか。
詞の選び方も、今だからこそ選べる若干達観されたものになっていて、それがとても感情に染み込む。これだけバラードで攻めているアルバムは初めてかもしれない。
一方でアップテンポの曲はいつも以上に突き抜けているのも特徴。
初のノンタイアップシングルとなった「パルトネール」の攻撃的なまでの疾走感や、
同系統の「IF:この世界で」も今までにないくらい思いっきり爽快感に溢れた出来になっている。それでいて空気感はシリアスなのも面白い。
タイトル曲の「Imagination Market」もエレクトロの要素も詰め込んだ楽しいポップ・ナンバーになっている。
「難しい言葉より 手と手をつなごうか」(僕たちの行方)
優しい気持ちにもなれる、いいアルバムです。冬に合うかも。
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
一対一, 2009/10/14
これは一体なんと表現すればいいのか。
まず曲目とこのジャケットを見て欲しい。明らかに、異常。
これがメジャーデビュー作である。なんとも挑戦的。
完全なコンセプトアルバム。 ここまで徹底したアルバムはbloodthirsty butchers「kocorono」以来なのでは。
前情報からとんでもなくドロドロとして重い作品になると思っていた。
が、意外にもメロディはポップで、親しみやすいのが多い。それもPeopleらしいメロディーラインを保ったままで。
正直今までで一番入り込みやすいのでは?とすら思う。 ことサウンドに関しては。
逆に詞世界に関してはますます混沌を極めている。一度聴くだけでは理解出来ないと思う。
だからこそ、何度もリピートして、歌詞カードを読み込んで、一つずつこの世界観を理解していく。
こういう楽しみ方が出来る作品は非常に稀だと思う。世間一般で言う「分かりやすさ」からは対極の位置にあるアルバムだ。とても面白い。
曲間に関してはコンセプトアルバムらしく、ずっと繋がったまま。
「月曜日 / 無菌室 」は洗練されたメロディが美しい彼らの王道の曲、「火曜日 / 空室 」ではそこから一転して性急なビートが響き、
「水曜日 / 密室 」は憧憬を思い出させる詞と歌で懐かしさを誘い、「木曜日 / 寝室」はアルバムの中では唯一不穏さが漂う曲。
「金曜日 / 集中治療室」でワルツの様ななだらかなリズムを感じて、澄み渡る空気が染みる「土曜日 / 待合室 」へ、そして「日曜日 / 浴室 」で感動的なフィナーレを迎える。
とことん計算された曲順と、詞の流れ。 特に浴室での最後の言葉は少しだけ泣きそうになった。
詞に関しては、一概にこういうものだ!とは断定できない。聴き手の想像に完全に委ねるような抽象的な詞になっていて、それぞれの解釈で紐解いていくタイプの詞だと思う。
ただ、どことなく繋がりを感じさせる詞にはそれぞれなっていて、
個人的解釈だとこれは主人公と恋人との愛の物語なのかなと。喪失も含めた。だからこそ最後に思うところがあります。
これ実際どういう反応になるかは全く読めませんが、こういう音楽がメジャー流通にのってどうなっていくのかは単純に興味深い。
こんな音楽はPeople In The Boxでしか有り得ないから。少しでも興味があれば、是非。
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