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最果ての人さんが書き込んだレビュー

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)
伏見つかさ著
エディション: 文庫
価格: ¥ 662

75 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 この物語の「落とし所」に納得できるだろうか, 2013/6/9
この巻のラスト、京介はこの兄妹の結末を「現実的な落とし所」だと述べている。
この落とし所に納得ができるだろうか。
私はある程度、納得することができている。もちろん不満が大きいのは事実であるし、好き嫌いはまた別の話だ。
それでも、ある程度納得している。なぜならば、京介がちゃんと不幸になったからだ。

京介は自ら望んだこの結末のために、多くのものを手放した。それは信頼だったり、人間関係だったり、はたまた幸せな未来をも手放してしまっているかもしれない。
それら非常に多くのものを失うということを理解し、覚悟した上での選択ならば、私は口を噤むしかない。
京介は今後、今まで通りではいられないだろう。これまでの友人関係を失い、今後の人生で誰かを愛することができなくなったかもしれない。
この選択で誰が得をしたとか、誰が幸せになったか、という視点では語ることは出来ないと思う。もはやそういう段階の話ではないから。
例え得るものがなくても、誰も幸せになれなくても、こうせずにはいられないから、そうした。その行動をどうこういうことはできない。

加えて考える必要があるのは、妹モノのゲームと違ってこの誰も報われない選択をした後も彼らの人生が続くということだ。
ここで本当にすべてが終わるのなら、もっと過激な行動をする人物が出るかもしれないが、そうではない。結末の後を考えないといけない。
「普通」を自称する彼だからこそ、終わりの先を考えてしまったのだと思う。
抑えることの出来ない誰も報われない願い、それとこれからの人生を天秤にかけて出した答えが「期間限定」という選択で、それを「現実的」と評したのだろう。
これを中途半端と捉えるか、現実的だったと捉えるか。
現状では前者が多いと感じるので、この選択は多くの読者にとっても良い選択ではなかったのだろう。

この結末でよかったなと思うところは、選ばれなかったヒロインがちゃんと京介を拒絶したところだ。正直な所、まだまだ足りないくらいだとも思う。
もっと徹底的に嫌ってもらいたかったくらいだ。仮に、エピローグで京介が選ばれなかったヒロインたちと仲良くしていたら私は発狂していたかもしれない。
なのでこの物語はこれ以上語ってはいけないとも思っている。間違っても、他のヒロインとの和解エピソードなどやってはいけないし、京介が幸せになっているエピローグなど論外だ。覚悟を決めて二人で生きていく、という選択をするのならまた話は別かとは思うが。

私はこの作品は疎遠になった兄妹が失われた時間と絆を取り戻すホームドラマ的な物語だと思っていたし、それを望んでいた。
京介の恋愛話はあくまでそれに付随するもので、メインは兄妹の関係だと思っていた。
だからこそ、京介と桐乃がこの物語の主人公であり、黒猫やあやせ、麻奈実らはヒロインだと思っていた。
私と同じく、そのような展開を望んでいた者にとってはこの結末は受け入れがたいものだったと思う。
誰が誰と付き合うという次元の話ではなくて、物語のジャンルそのものに対する決定的な認識のズレ。
そういう認識の齟齬が生まれてしまったことが、賛否両論の理由ではないだろうか。

この物語の結末はハッピーエンドではないだろう。むしろバッドエンドといっていいのかもしれない。
しかし「選択と結果」という事を考えると、全く納得のいかない結末ではなかった、と思う。
誰も幸せにならない選択をする代わりに、不幸になる。落とし所としては、好き嫌いは別として、一応、納得のできるものだったと思う。

余談だが、本編がこのような結末だからこそ、PSPのゲームは幸せな結末が多かったのかな、と思った。
ファンとしては、ゲームのような幸せな結末を望んでいたというのが正直なところだ。
本編の結末は一応納得できるものの、選択の結果失われたものや、京介たちの未来を考えると決して気持ちのよい結末ではないのだから。

マテリアルキャンディ (百合姫コミックス)
マテリアルキャンディ (百合姫コミックス)
黒霧 操著
エディション: コミック
価格: ¥ 900

6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 明るいストーリー(前作比), 2013/5/19
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
「マテリアルキャンディ」は百合姫に掲載された黒霧操氏による短篇集の三冊目です。
収録作品は「インモールドガール」「メタモルノイズ」「散華ノ傷跡」「彼岸の境界」「チャップドキャンディ」
の5つです。このうち「チャップドキャンディ」は「インモールドガール」の後日談にあたる描きおろしです。

このコミックは女の子同士の恋愛をテーマにした短篇集で、主に中学生から大学生までの学生がメインです。
「この作品のどこが明るいんだよ!」と思われる人もいるかもしれませんが、前作「茜色コンフィチュール」と比べると格段に明るい物語になっていると思います。

前作「茜色コンフィチュール」では悲恋・すれ違い・離別などなど、切なく報われない恋愛のオンパレードでした。
それを鑑みると、今作は希望にあふれたとても明るい物語だと思われます(ぇ
もちろん、単純に幸せな結末ばかりかというとそうではありません。周りの理解を得られないし、孤立している場合も少なくありません。
今作の表紙になった「インモールドガール」における

「最近の人は同性愛にある程度理解を示してくれるが、それが身近な人となると話は別」

という指摘は中々リアルなものだと感じました。それでも、今回の短篇集の登場人物たちはお互いの気持ちが通じ合っており(または通じ合うことになり)、少なくとも味方でいてくれる人が一人はいます。この差はとても大きいです。
黒霧氏の作品・作風は悲恋、もしくは切ない物語になることが多いかと思います。
「報われない恋」というのは胸に痛みを感じますが、その一方でとても綺麗なものに感じられる。
私が黒霧氏の作品に惹かれたのも切なく儚い、そしてとても綺麗な物語であるという部分が大きいです。
ただ、いくら惹かれると入っても、そのようなダウナーな作品ばっかりだとワンパターンな展開ばかりなのかなと思っていまいます(前作も話ごとに「悲恋+別の要素」という形で差別化が図られてはいます)。

しかし、今作ではただ切ないだけではない作品が多く収録されています。
「インモールドガール」を読み終えたとき、私はかなり驚きました。黒霧操はこんなに明るい話もやるんだ!と(笑)
それはとても新鮮でしたし、今まで以上に黒霧操氏の作品が好きになりました。
単純なハッピーエンドばかりではない、そんな物語を読みたい人はぜひ読んでみてください。

余談ですが今回の短篇集は「散華ノ傷跡」をメインに据えた「銀色オペレッタ」というタイトル案もあったそうです。
個人的に茜色コンフィチュールや水色エーテルという、色で統一されたタイトルが気に入っていて、また「散華ノ傷跡」がとてもおもしろい作品だったこともあり、銀色オペレッタを見てみたかった気もします。
ただ、この短編をメインにしてしまうととても暗いイメージになってしまうだろうし、描きおろしの後日談も描き辛そうなので、仕方ないのかなとも思います。また機会があれば色の名前がついた作品を読んでみたいです。

ソウルイーターノット!(2) (ガンガンコミックス)
ソウルイーターノット!(2) (ガンガンコミックス)
大久保 篤著
エディション: コミック
価格: ¥ 620

6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 最近の流行?でも、そこはやっぱりソウルイーター, 2012/7/23
本編のサイドストーリーであるソウルイーターノット!の第二巻。
今回は前巻で軽く触れられたキム・ジャッキーペアと、更生前のトンプソン姉妹に焦点が当てられています。
また、ノット!独自の話であるゴーゴン姉妹のことについても進展があります。

ノット!は最近の流行りでもある同性同士の関係性、つまりは百合的な要素が多めです。
主人公の春鳥を取り合うのが同じ女性のアーニャとめめであるというところからもそれはわかるかと思います。
それに加えて今回はキムとジャッキーの話もあります。
本編を見る限りでは二人の出会いは詳しくはわかりませんでしたが・・・
ただ、そこも完璧な恋愛感情というのではなく、あくまで友情とかそこらへんで収まっているかと思うで、そういうのが駄目という人も大丈夫だと思います。

こういう説明をすると「そんな内容だったら4コマ系の別の雑誌でやれよ!」と思われてしまうかもしれません。
しかしそこはサイドストーリーとはいえソウルイーター。今回、けっこうすごい引きになっています。
ゆるふわ系百合漫画と思っていると痛い目を見るかもしれません。作者が同じなので当たり前といえば当たり前なんですが。

星を一つ減らした理由なんですが。
まだ、主人公である春鳥がイマイチ動いていないんですよね。
というのも。この作品における彼女の役割がいろんな人を惹きつける、いわゆるフラグ体質みたいな感じになっているんですね。アーニャやめめ、茜はもちろんのこと、本編キャラの説明をするためにも彼女はフラグ体質っぽくなっているのかと思います。

春鳥には人を引きつけてしまう何かがあり、彼女を中心に物語が動いてはいるんですが、それは彼女が主体的に動いているわけではなく、あくまで受動的な感じになっています。それでも彼女からアクションを起こして入るのですが、いかんせん周りの人達が濃すぎるため、相対的に春鳥の色が薄まってしまっています。

主人公である春鳥の今後の成長への期待を込めて一つ評価を減らしました。
今後の彼女がどう動いていくのかが楽しみです。

僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)
僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)
平坂 読著
エディション: 文庫
価格: ¥ 609

23 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 小鷹の糞野郎な感じがたまらない, 2012/6/23
僕は友達が少ない。
私はずっと「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の劣化だと思っていました
しかし、前巻で小鷹という人物の本性がわかってからはその認識が覆されました。

ハーレム系主人公を揶揄する言葉として暫し「難聴系主人公」などと呼ばれます。
その難聴を「自覚的に」やっている。この真実を聞いた時鳥肌が立ちました。

「こいつはなんて最低な野郎なんだ」と。

誤解してほしくないのですが、これは褒めてます。小鷹の最低野郎ぶりがものすごく面白かった。
そして、いままで一番残念と思われていた志熊理科が一番真剣に友達のことを考えて、よき友人であろうとしていたことにも驚きました。
そんな理科の献身的な姿勢と小鷹のゲスぶりが今巻でも遺憾なく発揮されています。

小鷹のゲス野郎ぶりには更に磨きがかかっています。
隣人部で起きた「ある事件」。それから逃げ出すために小鷹は隣人部を方っておいて生徒会の手伝いをし始めます。いやー最低ですね!
そんな小鷹と隣人部を助けるために頑張るのは理科です。この作品の主人公は一体誰なんだろうと錯覚してしまうくらいの活躍ぶりです。
本作のタイトルである「僕は友達が少ない」。
その本当の意味であろう「僕は友達が欲しい」という魂の叫びも彼女がやってしまいました。いやー主人公してますね。

私は小鷹のゲスな感じが好きですし、理科のかっこ良さにも惚れましたので楽しく読むことが出来ました。
が、小鷹が生理的に受け付けないという人もかなりの人数いると思われます。
前巻で判明した小鷹の本性が嫌だという人は読まないほうが懸命かもしれません。

追記

「小鷹は優しいだけだ」
という旨のコメントがありました。
そこら辺含めての私の小鷹やこの作品に対する考えはコメントの方を見ていただければ助かります。
コメント コメント (6) | 固定リンク | 最新のコメント: Jun 28, 2012 1:41 PM JST


プラナス・ガール(5) (ガンガンコミックスJOKER)
プラナス・ガール(5) (ガンガンコミックスJOKER)
松本トモキ著
エディション: コミック
価格: ¥ 590

7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 大人の女性の物語も, 2012/5/30
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
プラナス・ガールの第5巻。
前巻でわりとシリアスな事をやったことの反動(?)か、今回はわりとギャグ中心の巻だったと思います。
紫苑と佳奈の問題が解決した槙が次に迎えるのは学園祭。いつものことながら、またまた面倒事に巻き込まれることに・・・

個人的にですが、今までの巻の中で一番テンポよく物語が進んでいったのではないかと思います。
それは多分、松本先生の成長があるのではないでしょうか。最新刊と1巻を見比べるとかなり絵が安定しているのがわかります。
本人は連載が進む度に原稿が遅くなると仰っていますが(笑)
また、ギャグ中心の巻ではありますが、要所要所でちゃんと締めているので展開に飽きるということもありません。
テンポの良い展開で楽しみながら、しっかりと槙や藍川の関係の変化を感じられます。

あと個人的にこの巻で注目したいのが、神高先生と乱橋代理理事の物語です。
プラナス・ガールは男の娘、姉弟、百合と色々な恋愛の形を描いているのが特徴の一つかと思います。
ただ、それらは基本若い高校生たちの関係です。しかし今回は大人の女性の物語が語られます。
今までのプラナス・ガールとはちょっと違う雰囲気の大人の女性の関係性。
今回の見所の一つだと思います。

この巻はほんとうに楽しかったので文句の付け所が無いです。
あ、でも。コミックが早く出てくれると嬉しいです(笑)
コメント コメント (2) | 固定リンク | 最新のコメント: Jun 27, 2012 10:34 PM JST


ブラパ THE BLACK PARADE(1) (ヤングガンガンコミックス)
ブラパ THE BLACK PARADE(1) (ヤングガンガンコミックス)
緑のルーペ著
エディション: コミック
価格: ¥ 580

14 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 ラノベっぽい漫画?, 2012/5/30
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
作者の緑のルーペ氏は成人向け漫画の有名な作者だと聞いていました。
ほとんど成人向け漫画を読んだことのない自分でも氏の名前を聞いたことがあり、
その人が一般紙で連載しているということなので手にとってみました。

まず絵が綺麗でキャラクターが魅力的です。
独特の感性を持つフジノが楽しそうに動いている。それを見るとこちらも楽しくなってきます。
この作品のジャンルとしては一応ボーイ・ミーツ・ガールものなんでしょうか。
まだ設定が出揃っていないのですが、1巻を読む限りだとそんな感じです。
ただ、単純なボーイ・ミーツ・ガールで終わらなそうな雰囲気があります。今後の展開に期待したい。

また、この作品を読んで感じたのがライトノベルのような作りをしているなという点。
これは別に批判しているのではなくて、単純にそういう感想を抱いたということです。
私が思い浮かべたのが「涼宮ハルヒシリーズ」。
破天荒なヒロインに振り回され、非日常的な出来事を経験していく。
この作品を読んでまっさきに思い浮かびました。
廃墟となった電車を拠点としている(SSR団における部室)、主人公のモノローグが多いなど、色々と共通する点があったかと思います。
もちろんすべてが似ているというわけではありません。
ただ、漫画でライトノベルのような構成をするとどうなるのか。今後どうなっていくのか色々と興味深いです。

面白かったのですが、まだ作品の導入部分ということなので星を一つ減らしました。
次巻も楽しみです。
コメント コメント (1) | 固定リンク | 最新のコメント: Jan 10, 2013 12:04 AM JST


マテリアル・パズル ゼロクロイツ(9)(完) (ガンガンコミックス)
マテリアル・パズル ゼロクロイツ(9)(完) (ガンガンコミックス)
土塚 理弘著
エディション: コミック
価格: ¥ 480

4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 吉岡先生のマテパ愛に溢れた作品だった, 2012/5/30
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
ゼロクロイツもとうとう最終巻。
この作品は「滅びの物語」です。それは最初から明かされていた内容でした。
しかし、それだけでは終わりません。確かに世界は滅びますが、最後まで人の意思で神に抗う人たちの物語です。

今までこの作品を読んでいた人たちは納得できる完結編だったと思います。
本編のマテリアル・パズルを読んでいる人は、ものすごい興奮したんじゃないでしょうか?
もちろんゼロクロイツだけを読んでいても十分面白いのですが、本編との繋がりを知っていると
最後の展開は本当に興奮します。

そしてこの作品は吉岡先生のマテリアル・パズル愛があればこその作品だったと思います。
巻末の作者あとがきでは、吉岡先生がマテリアル・パズルに関わった経緯が書かれており、
それを読むと、新人の漫画家がこれほどのクオリティの作品を隔週連載できた理由がわかった気がしました。

ゼロクロイツという作品の凄さは、密度の濃い物語をだれることなく最後まで走り抜けたところにあったと思います。
吉岡先生はまだまだ書き足りないと仰っていますし、私自身ももう少し読んでいたかったなぁと感じてしまう部分もありますが、
作品の完成度を考えるとこの巻数で終わるのが正解だったのではないでしょうか。

ゼロクロイツが終わってしまうのは寂しいですが、今後はマテリアル・パズル本編の再開を楽しみに待っていたい思います

虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)
虚構推理 鋼人七瀬 (講談社ノベルス)
城平 京著
エディション: 新書
価格: ¥ 945

3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 城平京氏はミステリよりもSF分野の人ではないだろうか, 2012/5/14
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
城平京氏の原作を手がけている漫画作品を多く読んいでいて、その氏が描き下ろしの新作を発表していたと知り購入しました。
私は城平京作品のファンなので楽しく読むことが出来ました。
城平氏は現在原作を担当しているとある漫画で「この作品はSFです」と述べているものがあります。
この場合のSFはサイエンス・フィクションではなくて「少し不思議」のSFです。虚構推理もミステリーというよりもそっちの分野な気がします。
城平京氏の作品は「論理」を重要視するものが多いです。ただそれだけではなく、それに加えて神や悪魔、魔法だったり吸血鬼だったりとファンタジーに寄りの要素が絡んできます。

そのような作風に対して前述した漫画では、本作はファンタジーにしては理屈っぽくて、サイエンス・フィクションというには科学的な雰囲気がない。そして、ミステリというには世界のルールが不安定。なので、この作品を言い表すのに適当なのは「少し不思議」ではないか、と述べています。本作『虚構推理』もそのような要素を含んでいる気がしました。
王道的なミステリ作品ではないので、自分のようなミステリに耐性がない人も楽しく読むことができると思います。

また、氏はSFを「そっとふざけている」でも可とも言っています。これも氏の作品の魅力の一つです。
シリアスな展開でサラッとふざけてみたり、ここでボケるのか、というような軽妙な会話や言葉遊びの要素が要所要所に存在し、楽しく最後まで読むことができると思います。

しかし、いくつか気になるところもありました。
他のレビューで指摘している方もいますが、本作の主要人物である九郎のキャラ付けが少し薄い点です。
この巻だけでは、九郎という人物を十分に掘り下げられなかったのではないかと思います。彼は肉体労働担当なのですが、おそらく頭脳労働担当の岩永をメインに描写するため彼の影が薄くなってしまったのでしょう。ここは少し残念でした。

また、これはマイナスポイントというわけではないのですが。
この作品はとある都市伝説を中心に物語が進んでいきます。都市伝説、つまり妖怪や怪異と関わっていく物語です。
そして前述した城平京氏の作品の特徴でもある言葉遊びの要素。
この2つの要素を見て思い浮かべる作品はないでしょうか?そう、西尾維新氏の『化物語』を始めとする物語シリーズです。
この作品が化物語をパクっているわけではありませんし、同じ言葉遊びといってもかなり色の異なるものです。
ですが、絶大な人気を誇るシリーズと要素がかなり似ているということは、読み手の感想にそれなりに影響を与えるかと思います。

最後に、この物語の核である「虚構推理」なのですが。
実はコレと同じようなことを城平京氏は他の自分の作品でやっています。
スパイラルという漫画の小説版で『鋼鉄番長の密室』があるのですが、その最後に今作と同じような展開をやっているのです。
もちろん、細かいことは異なりますし(あちらの主人公はチートなので、虚構推理っぽいことしても真実をバッチリ言い当ててます)、
結末も異なります。ただ、氏の作品を読んでいる人は『鋼鉄番長の密室』を思い浮かべた人が多いのではないでしょうか?
そしてこの『鋼鉄番長の密室』という作品。名前はふざけてますが、城平京が手がけた作品の中では一番面白いのではないかと思います。
もちろん、単純に『虚構推理』と比べることは出来ません。鋼鉄番長の密室ではキャラクターの設定や物語の下地は漫画のほうで完成しまっているわけですし、世界観の設定からしなければならない読み切り小説とはハードルが違います。
それでも、似た構造を持っている以上どうしても比べてしまい、完成度では『鋼鉄番長の密室』の方が上だなと感じてしまうのです。

以上のように気になる点もありましたが、基本的には面白かったです。
ミステリー分野というとどうしてもお固い感じがしてしまうのですが、そういう難しさはなく楽しく読むことが出来ます。
おそらくシリーズ化も視野に入れての描き下ろしだと思うので、できればシリーズ化したこの作品を読んでみたいなと思います

絶園のテンペスト(6) (ガンガンコミックス)
絶園のテンペスト(6) (ガンガンコミックス)
城平 京著
エディション: コミック
価格: ¥ 480

11 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 アニメ化が・・・, 2012/5/14
心配で心配で仕方ありません。
アニメ化も決まった絶園のテンペスト第6巻です。
この作品がどれくらいの長さを想定しているのかはわかりかねますが、もしかしたらもう既に折り返し付近、起承転結で言えば「転」に近づいているのかも・・・
そんな内容の巻でした。人によっては「ナ、ナンダッテー」という感想を抱く人もいるかもしれません。
ただ、城平京氏の他作品を知っていればそこまで驚いたり拒絶反応を出す人はいないのではないかと思います。
話がそれますが、この巻の最後(と次回予告)を読んで、ガンガンで一番の長期連載?をされている某作品を思い出しました。
ガンガンを読まれている方は、その作品を思い出した方もいるのではないでしょうか?

この巻そのものは面白いです。前巻以上に物語が動き出しているので。
それはいいんです。問題はアニメ化です。正直、アニメ化を企画した偉い人に詳しい説明を要求したい気分です。
この作品、どう考えてもアニメ化には向かない作品です。この作品というか、城平京氏の作品全般に言えるかもしれませんが。
それをどうしてアニメ化しようとしたのか。アニメ化決定の報を聞いてから不安で不安でしょうがないです。
実際、既にコミックの表紙と設定を面白おかしくまとめブログが取り上げていて、散々な言われ方をしています。
原作が好きな身としては、心穏やかではありません。
アニメ化が決定した以上成り行きを見守るしかありませんが、前途多難な気がしてなりません。

話が大幅にそれました。
この巻は城平京氏の他作品を読んでいれば普通に面白いかとは思います。
が、そういう耐性がない人はもしかしたらこの巻で脱落してしまうかもしれません。
それに加えてアニメ化の不安が加速しているという個人的な感情によって評価を下げました。
スパイラルのような悲劇にならないよう祈ります

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
伏見 つかさ著
エディション: 文庫
価格: ¥ 620

32 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 表紙詐欺です。本当に(ry, 2012/4/10
 表紙を見ると桐乃と京介の同棲生活が始まったかのように思えますが・・・
そんなことはなかった(以下、多少のネタバレを含みます)。

 今回はまさかのあやせメイン。これには結構驚きました。あやせの恋愛に関してはスルーしてしまうかギャグ展開で終わらせると思っていたので。
 おそらく、京介の彼女として、桐乃と一番うまく決着をつけられる可能性があったのはあやせだと思います。8巻での麻奈美が言っていた「あやせちゃんなら強引にでもうまくやる」というのは、PSPのあやせ√をみれば納得ができるはず(あちらは偽彼氏事件が発生していないというのも大きいですが)。
 恋愛における黒猫の対比は桐乃ではなくてあやせだったのだと思います。桐乃を無視してまで京介と付き合えなかった黒猫に対し、PSPであやせは京介を選択しました(両方を強引に選択した、と言えるかもしれません)。

 しかし、あまりにも遅すぎました。最後のシーン、あせやせは京介がどういう答えを出すか、かもうわかっているのではないかと思います。この作品における、恋愛パートについては決着がついているのですから。
 物語の一部だけを切り取ったバレ画像を見て「またハーレムかよ」なんて言っている人も結構いますが、そういう人達はこの作品を全く読んでいないのではないかと思います(実妹に手を出すのかよキモいといっている人は尚更)。
 この作品は「恋愛」と「きょうだい」(家族)という二つの大きなテーマがあると思いますが、前者の方はすでに決着が付いているはずです。解釈の問題だ、という人もいるかもですが、黒猫の転校以降の京介の言葉の端々や行動を鑑みれば答えは決まっているように思えます。

 「終わらせる気がないだろう」という感想も見ますが、今回のあやせにしろ、今後ある麻奈美と桐乃の話にしろ、これは先延ばしではないと思います。京介の答えはきっともう固まっています。なので、もう話が動くことはないと思うのです。なので、あやせや麻奈美の話は、エピローグとまでは言いませんが、京介が選択した結果起こっている事象なのであって、これから話が動くということではないと思います。

 ただ、少し気になったのは槇島さんです。ギャグ展開だったから問題ないとは思いますが、彼女の行動が京介がハーレムを構築しているという認識を強めてしまっているなとは思います。

長々と書きましたが、この巻は

『あやせたん可愛いよあやせたん』

な巻です。彼女の魅力を存分に味わえると思います。
あと、やっぱり「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」はとても面白い作品だと実感してます。物語も終盤かと思いますが、今後どうなるかとても楽しみです。

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