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5つ星のうち 3.0
この物語の「落とし所」に納得できるだろうか, 2013/6/9
この巻のラスト、京介はこの兄妹の結末を「現実的な落とし所」だと述べている。
この落とし所に納得ができるだろうか。
私はある程度、納得することができている。もちろん不満が大きいのは事実であるし、好き嫌いはまた別の話だ。
それでも、ある程度納得している。なぜならば、京介がちゃんと不幸になったからだ。
京介は自ら望んだこの結末のために、多くのものを手放した。それは信頼だったり、人間関係だったり、はたまた幸せな未来をも手放してしまっているかもしれない。
それら非常に多くのものを失うということを理解し、覚悟した上での選択ならば、私は口を噤むしかない。
京介は今後、今まで通りではいられないだろう。これまでの友人関係を失い、今後の人生で誰かを愛することができなくなったかもしれない。
この選択で誰が得をしたとか、誰が幸せになったか、という視点では語ることは出来ないと思う。もはやそういう段階の話ではないから。
例え得るものがなくても、誰も幸せになれなくても、こうせずにはいられないから、そうした。その行動をどうこういうことはできない。
加えて考える必要があるのは、妹モノのゲームと違ってこの誰も報われない選択をした後も彼らの人生が続くということだ。
ここで本当にすべてが終わるのなら、もっと過激な行動をする人物が出るかもしれないが、そうではない。結末の後を考えないといけない。
「普通」を自称する彼だからこそ、終わりの先を考えてしまったのだと思う。
抑えることの出来ない誰も報われない願い、それとこれからの人生を天秤にかけて出した答えが「期間限定」という選択で、それを「現実的」と評したのだろう。
これを中途半端と捉えるか、現実的だったと捉えるか。
現状では前者が多いと感じるので、この選択は多くの読者にとっても良い選択ではなかったのだろう。
この結末でよかったなと思うところは、選ばれなかったヒロインがちゃんと京介を拒絶したところだ。正直な所、まだまだ足りないくらいだとも思う。
もっと徹底的に嫌ってもらいたかったくらいだ。仮に、エピローグで京介が選ばれなかったヒロインたちと仲良くしていたら私は発狂していたかもしれない。
なのでこの物語はこれ以上語ってはいけないとも思っている。間違っても、他のヒロインとの和解エピソードなどやってはいけないし、京介が幸せになっているエピローグなど論外だ。覚悟を決めて二人で生きていく、という選択をするのならまた話は別かとは思うが。
私はこの作品は疎遠になった兄妹が失われた時間と絆を取り戻すホームドラマ的な物語だと思っていたし、それを望んでいた。
京介の恋愛話はあくまでそれに付随するもので、メインは兄妹の関係だと思っていた。
だからこそ、京介と桐乃がこの物語の主人公であり、黒猫やあやせ、麻奈実らはヒロインだと思っていた。
私と同じく、そのような展開を望んでいた者にとってはこの結末は受け入れがたいものだったと思う。
誰が誰と付き合うという次元の話ではなくて、物語のジャンルそのものに対する決定的な認識のズレ。
そういう認識の齟齬が生まれてしまったことが、賛否両論の理由ではないだろうか。
この物語の結末はハッピーエンドではないだろう。むしろバッドエンドといっていいのかもしれない。
しかし「選択と結果」という事を考えると、全く納得のいかない結末ではなかった、と思う。
誰も幸せにならない選択をする代わりに、不幸になる。落とし所としては、好き嫌いは別として、一応、納得のできるものだったと思う。
余談だが、本編がこのような結末だからこそ、PSPのゲームは幸せな結末が多かったのかな、と思った。
ファンとしては、ゲームのような幸せな結末を望んでいたというのが正直なところだ。
本編の結末は一応納得できるものの、選択の結果失われたものや、京介たちの未来を考えると決して気持ちのよい結末ではないのだから。