|
|
|
|
|
宇宙を見る新しい目
|
日本物理学会著 エディション: 単行本 |
| 価格: ¥ 2,520 |
|
| 在庫状況: 在庫あり |
|
|
|
|
|
広い範囲の知識が得られる, 2009/8/23
学生時代に宇宙物理はかじったことがあるので、たまにはこういう本を読んで、最新の科学からあまりひどくとりのこされないようにしている。
これは、大学での夏休み連続講演会をもとにしたもののようである。ややこしい計算などあまりでてこないので楽に読める。
ダークマター・ダークエネルギーのもう少し系統的な話を読みたくて読み始めたのだが、ちょっと驚いたのが最高エネルギー宇宙線(5章)の問題である。宇宙線観測というのは、昔はポジトロンを初めとして、最初に新粒子を発見する方法でもあったが、現在ではその場は巨大加速器に移っている。もう古くさい分野のように思ったがどうしてそうではない。10の20乗eV以上という超高エネルギーの宇宙線がごく希にあり、しかも理論的には、そんな宇宙の果てではなく、望遠鏡でもみえるようなわりと近くの銀河??から来ているらしいのだ。しかもこのエネルギーは素粒子論が予想している大統一エネルギーに近いもので、どうやってできたのか全くわからない。
考えられているモデルはいずれも現在の物理学自体を破るかスレスレのところである。
これを知っただけでも読んだ価値はあった。
また、10章の太陽系外惑星探査では、恒星のすぐ近くを回る木星のようなガス惑星という例が多数あることが示されている。昔、太陽には「林フェイズ」というのがあって、太陽近傍のガスを吹き飛ばしたので近傍にはガス惑星がないという話を聞いたように思う。こういうケースはどうなのだろうと思った。
日本のすばる望遠鏡・スーパーカミオカンデの貢献が大きいこともよくわかった。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
碑文史料が綴るアンコール王朝の政治と社会, 2009/7/24
東南アジアとなっているが、大部分はアンコールワットをはじめとするカンボジア=クメールの話である。インドネシアやマレーのことがあまり書いてない。アンコール地域を長年研究していらっしゃる石澤良昭先生の著書だから無理もないが、ちょっとタイトルに偽り有りと言いたくなった。
クメールについては、著者自身が発掘にかかわったバティアン=クディの大量の破壊仏像発掘をはじめとして、最新の話も多く充分面白く推薦できる。概してこのシリーズは著者が自分の専門研究を縦横に語ることができるという方針で編集されているらしく、広い範囲を偏りなくくまなく解説するというスタンスではない。そこが従来の世界史全集と違った面白いところだといえる。
此の本の中心は第4章のタイトルでもある「碑文史料が綴る王朝の政治と社会」である。第4章だけでなく、第5,6,7,8まで全てこれが主題であり、人々の食生活まで含めて興味深い記述がなされている。王室の人々の高いインド的教養、王師という世襲祭祀一族の問題など前よりよくわかるようになった。こういう風に内部からみているような書き方なので、写真が少ないこともあるが、遺跡のイメージなどはあまり浮かんでこない。
アンコールを中心とするクメール文明を、単に王朝史や水利技術など一つの見方ではなく人々の生活も含めて多面的に説明しようとしているところが、好感がもてる。ただ、そのため時間的に前後し錯綜してしまうことがあって、一気に通読しようとすると少し読みにくい本になっているように感じた。
また、10,11章に17世紀以来の宣教師や欧州との接触、日本人のアンコールワット参詣の話があり、これは従来の日本語出版の本より詳しいと思った。
ただ、第12章「東南アジアからのメッセージ」に、ポルポトのことがなかったのは不審に思った。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
読み方がわかる, 2008/12/7
内容が最新の研究・情報を反映していること、ハンディで場所をとらないことなども良い点ですが、なにより便利で他の本に無い長所は、固有名詞や用語に大体ルビが振ってあることです。
これは、初歩の人向けのような感じを与えますが、そうではありません。書道関係の用語は、古い歴史のなかで独自の読み方が伝承されている場合が多く、それは理屈ではなく、学ばなければわからないものです。ところが読み方を教えてくれる場というのが意外にみつかりません。自分の専攻分野はともかく、ちょっとはずれると慣習的な読み方を知らないで失笑を買うこともしばしばあることです。この本はそういう意味でもとても有り難い存在だと思います。
|
|
|
|
|
|
|
|
ドル崩壊!
|
三橋 貴明著 エディション: 単行本(ソフトカバー) |
| 価格: ¥ 1,600 |
|
| 在庫状況: 在庫あり |
|
|
|
|
|
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
旬の本, 2008/9/28
今読むべき旬の本です。積ん読なら買わない方がいい本です。1年後にはもっと別の本が有用になっているでしょうが、今はこれがベストでしょう。
現在進行中の危機に関する本ですから、過去の事件を顧みて分析する歴史記述とは違って、アラがでてしまうのはしょうがないと思います。
現場でのドキュメントという感じが強い「[サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254) (宝島社新書 254)]] 春山 昇華」 と比べて、より鳥瞰的に全体を分析し、空想的なところの少ない現実的な近未来予想をしています。また、AIG危機でクローズアップされた破綻保険というべきモノライン CDSなどわかりにくい用語についてもよく解説してあります。一読:もー格付会社は辞めるか日本とシンガポールとヨーロッパで独自格付けするかしたほうがいいんじゃないかと思いました。
また、米国の日銀というべきFRBが国立ではなく、国際金融資本のものだとは知りませんでした。FRB破綻という可能性もあるわけでしょうか。
あまり傷が少ない日本の金融資産を欧米中国韓国ともにねらっているわけで、うまく金融財政当局が舵をとらないとえらいことになるとおもいました。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
最良のアンチョコ本, 2008/9/1
欧米人に英語で日本の古美術を解説しようとすると、英語に親しんでいる人でも、すぐひっかかってしまうだろう。日本人なら、あるいは古美術に多少の興味のある日本人ならわかりきったことになっていること、あまり知らなくてもイメージ的直感的にわかったことにしていることを改めてちゃんと英訳しなければならないので、困ってしまうからだ。
古美術特有の言い回しは勿論、密教という言葉からEsoteric Buddhismなんていう訳語がすぐでてくるだろうか? また、仏像はimage? statue? sculpture? icon??
そういうとき、英語で簡明に解説したハンドブックがあればアンチョコとしては、最適だ。その該当箇所を書き抜いたりコピーしたりして抜粋して説明すればよいのだから。そういう用途には、2003年にでた、この本が現時点では一番良いように思う。図版は大部分モノクロだが、文章が重要なので、カラー図版は必要ない。ただ図版がない文章だけでは、どの作品を想定しているのかなかなか判断できないので、モノクロ図版を多数いれてあるのは、とても良い編集だと思う。
東京国立博物館勤務だった野間清六氏の著書The Arts of Japan(1973)は、カラー図版が多いが、まだ作品自体に語らせるような感じで記述が少なすぎる。英語では、言葉で全部表現してしまわないと、聴衆が納得しないだろう。欧米人が日本の古美術を楽しむ本としては野間氏の本が良いが、日本人のアンチョコとしてはこの本が良い。
2人の女性の著者は、長く米国で美術館博物館関係で働いている人である。和田女史は、優れた日本の古美術コレクションをもつバーク=コレクションの学芸員である。そういう人たちだから、いやというほど英語でのギャラリートーク、講演、質疑応答をやらされたはずだ。その経験がにじみ出ているような気がする好著である。
ちょっと気になったのが、平安以後の彫刻家がまったく自立して工房をもっていたような記述があったことぐらいだろうか。実際は大寺院の庇護をうけたことが多かったはずだと思う。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
58 人中、50人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
中国は日本の市場にはならない, 2008/6/26
最重要なのは、中国国内では、工業製品はあふれていて価格が下がっている(1.6〜7パーセント下落)が、食料・オイル・資源の価格は無茶に上がっている(15%以上、豚肉は60%!)、という事実の指摘である。
私は、地震などの影響で、食料については更に上がると思う。
日本の輸出品は、電子部品・車・電気製品・電子機器・特許権・ライセンスなどの工業製品が多いし、食料・石油などの資源は日本は輸入しているのはいうまでもない。つまり、中国は、日本の製品にとって市場にならない。サウジアラビア、オーストラリアやアメリカにとっては中国は市場になるだろう。
では、一見、日本からの輸出がかなり多いのはなぜかというと、部品の輸出である。日本から中核部品を輸出して、人件費の安い中国で組み立てて、それを日本を初めとする世界へ輸出するわけである。だから日本メーカーの電気製品が中国製だらけになる。ただ、現在人件費が高くなり、労働契約法などの施行によって間接費も多くなってきているので、だんだんこの方法はできなくなり、結局、中国への輸出は減少するであろう。また、工作機械・プラントなどの輸出もあるが設備投資が飽和しているのだから、これも先がない。また、ライセンス・ロイヤリティなどの輸出が無理なことは周知のとおりである。もっとも、中国への輸出は日本経済の1%以下しか貢献していないので、ゼロになっても問題はないだろう。1980年以前は事実上ゼロに近かった。
一部のマスコミがいう「中国13億の市場」という大嘘をここまで徹底的に暴いたものはない。
また、欧州の需要が減退したとき、日本に中国製品を「強制的に買わせる」ことになりはしないか?という危惧をもった。親中政治家・官僚によって日本政府調達を中国製品に誘導したり、卸売り業者の買収によって中国製品しか買えなくしたりする。現在でも、主要電気製品やシャツなどは、メイドインチャイナ以外を買うのは困難であり、選択支自体がない。
国際収支の分析を主として「中国経済を外側からみる」というスタンスのためか、第2章(31〜114頁)には殆ど中国のことがでてこず、サブプライム以後の国際経済の問題解説になっている。読んでいて中国のことが書いていないので、あれと思ってしまったこともある。スイスの話などは大変面白く読んだが、中国のことだけを読みたくて、サブプライム問題などに知識のある人は、第2章をとばして読んでもよいかもしれない。
|
|
|
|
|
|
|
|
独逸怪奇小説集成
|
竹内 節著 エディション: 単行本 |
| 価格: ¥ 5,040 |
|
| 在庫状況: 在庫あり |
|
|
|
|
|
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
目次 紹介, 2008/6/12
目次を紹介します。創土社の単行本や国書刊行会の幻想文学全集収録のものが多いようです。
刺絡:シュトローブル
蜘蛛:エーヴェルス
吸血鬼狩り:クビーン
トルメントの宝石:ブッソン
バッソンピエール元帥の体験:ホーフマンスタール
眠れる美女:バックハウス
琥珀:エーヴェルス
ピラト:デュレンマット
ファウスタの象:ヴォルフスキント
公園での出会い:ローゼンドルファー
黒・白・赤:ミュノーナ
シャボン玉の世界で:ラスヴィッツ
億万長者ラコックス:シェーアバルト
月は笑う:ペルッツ
極秘文書:ハンス・L.クークークー
日々是好日:ブルク
牧神の午後:ハンス・クリストファー・ブーフ
新時刻表:ラインハルト・レッタウ
レクイエム:マティーセン
バッゲ男爵:ホレーニア
降霊会奇談:リヒャルト・ホス
幻妖:ヴィリ・ザイデル
ヨーナス・バルクとの冒険:シュトローブル
ブレーメン市の参事会員:アレクサンダー・フォン・ウンゲルン=シュテルンベルク
ペール・ラシェーズの墓地:シュトローブル
フィッツジェラルド婦人の髪:ヴォルフ・ドゥリアン
ミイラの花嫁:エーヴェルス
首:シュトローブル
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
30 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
細部も面白い本, 2008/5/6
本文だけで600頁近い本だが、適当なところを開いて70頁ぐらい読むというのを繰り返している。細かいエピソードが面白いので、つい引き込まれてしまうのだ。ちょっとしかでない脇役端役でも、印象深いキャラクターが多い。あの謎めいたレストラン支配人アルチバリド=アルチバドリッチ、堅実で賢明なリムスキーなど、詩人リューヒンもその失望は理解できるし、疫病神アーヌンシカもなかなかなキャラだと思う。「ブルネットの女」すら、その後どうなったか知りたくなってしまう。小間使いのナターシャ、救われたフリーダはどうなったんだろう。有名キャラのなかではやはり黒猫ペゲモートが作者の傑作だと思う。むしろ「巨匠」と「マルガリータ」のキャラのほうがつかみにくい。
演劇に深く関ったブルガーコフのせいか、会話が非常に多い。内省的な地の文が少なく、殆ど会話で外にでてしまっている。なかでも傑作は、ピラトゥスと秘密警備隊帳の会話だろう。大祭司ですらその会話は魅力的で演劇的である。
20年以上つきあっている本の改訳だが、良くなったところがある。例えば冒頭は杏ジュースではなく杏ソーダがでてくるが、飲んだ後しゃっくりがでるという意味ではこのほうがよい。遺作のためストーリーが内部矛盾しているところもある。決定稿がなく、作者が書いた一応の完成原稿が2種類もあり、部分原稿もあわせると6種もあるという状態だから、1973年版と1990年版でかなり異同があり、それをどう処理するかは校訂の問題らしい。読者としては、必ずしも翻訳者の誤訳や勝手な省略とはみなせないところがつらい。私はロシア語が読めないが、日本語の小説としては、今のところはこの水野訳と中田訳が自然だと思う。
また、この本は古い集英社版より活字が大きくて、老眼がきている私にはありがたい。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
143 人中、138人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
経済メディアリテラシー, 2007/8/23
複式簿記の貸方借方をみただけでいやになる経理と経済に縁がない私ですが、面白くて1日で読んでしまいました。これはマスコミの経済記事を盲進せず批判的に接するメディアリテラシーを学ぶ本です。
韓国というかなり変わった経済状況にある国をターゲットにしているので、分析が面白い。普通の国なら、眼をむくような突出した値がでないので話題も少なく、懸念要素も少なく、読んでも面白くなかったでしょう。 外貨準備高なんて多い方が良いと思っていた迷妄を啓かれました。まさか、海外から借金して外貨を積み上げても大きくなるとは。日本の政府資産の大きさにも驚きました。
|
|
|
|
|
|
|
|
静物画
|
エリカ ラングミュア著 エディション: 単行本 |
| 価格: ¥ 2,520 |
|
| 在庫状況: 在庫あり |
|
|
|
|
|
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
静物画とは何か, 2007/8/21
一読、私が他所で表明した考えとほぼ同様の見解だったので、驚いた。近世西欧の静物画の出現について、1600年を基軸にする見方も、古代ローマ静物画が断絶する状況把握も同じである。
とくに、描かれたキャベツや花をなぜ人は求めるのか、という疑問には感動した。2005/7/17に上野の芸大美術館で植物画をみたときも、植物画と静物画の違いに思いをいたすとともに、「現実の花束をみることができるのに、なぜ人間は静物画を求めるのだろう」という疑問を当時もったものだ。 これはかなり複雑な人間性の問題のようで、考えるに値するテーマであろう。
ロンドンナショナルギャラリーのポケットガイド STILL LIFE(静物画)(2001年)の翻訳であるが、考えさせられることの多い本である。
カラー図版の発色は大変良いようにみえる。また、図版で所蔵先が書いてないのはチェックした限りではナショナルギャラリーの所蔵のようだ。ポケットガイドなのだから、あたりまえといえば当たり前である。
|
|
|