Amazon.co.jp
監督のムラーリ・K・タムリが本作を撮ったのは、弱冠19歳のとき。恐るべき才能を実感するためにも、必見の一本である。舞台はオーストラリアの高校。中から鍵をかけられたトイレのドアから、ゆっくりと血が流れ出してくる。その日、学内で何が起こったのか? 6人の生徒を中心に、当日の彼らの行動が描かれ、合間にはそれぞれがインタビューに答えるショットが挿入される。原題になっている「2:37」とは、すべてがひとつになる時間を示している。
サッカーが好きで学内でも人気のイケメン青年が、じつは…など、高校生たちの抱える悩みがじっくりとあぶり出されていくが、その作劇の巧妙さには舌を巻くばかり。木々をリリカルにとらえた映像や、人物をワンカットで追っていくカメラの手法などは、どうしてもガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』を連想してしまうが、たとえ模倣だとしても、それ以上にストーリーの重さで圧倒してくる。俳優たちの、まっすぐでみずみずしい演技も相乗効果を生み、観る者の心を惹きつけて離さないのだ。トイレの血が誰のものであったのかが判明するラストは、驚きとともに言いようのない悲しみに溢れ、胸にズシリと残る余韻はしばらく消えることはない。(斉藤博昭)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
オーストラリアの新鋭、ムラーリ・K・タルリ監督が弱冠19歳で書き上げた脚本を、2年の歳月を掛けて完成させた初監督作。友人の自殺と監督自身の自殺未遂経験を元に、10代の若者が抱える心の闇と、その脆さを描き出す。