内容紹介
サ・チェンは躍進著しい中国のピアノ界が誇る逸材であり、既に演奏家としての足跡を世界のステージで積み重ねてきている。コンクール歴も、1996年リーズ国際コンクール第4位、2000年ショパン国際コンクール第4位、2005年ヴァン・クライバーン国際コンクールではクリスタル賞に輝くなど華々しい。またこれまで共演した演奏家たちには、ラトル、スラットキン、コンロンといった名指揮者、クレーメルのような名ヴァイオリン奏者があり、ピアニストとしての魅力と存在感は年を重ねるごとにその幅と大きさを増してきていると言えよう。 今回、そんなサ・チェンのワルツ集がCDリリースされることになったが、今日の多くの若手奏者たちが披露するような弾け過ぎて肝心の音楽が上滑りしてしまうところがなく、サ・チェンはまず作品が秘め持つ味わいの豊かさをじっくりと見据え、そこから見えてくる詩の世界をあくまでも謙虚かつ的確に音に変えていく演奏を作り出していて爽快である。一曲一曲が気持ちがいいくらいにピントがあった演奏といえばよいのか、曇りも淀みもなく実にすっきりと再現されていて清々しいのだが、その一方でほのかに漂う詩情の美しさとサ・チェンだけがもつ華やかな光のような輝き、リズム的センスが生き生きと息づいており、感銘の鮮度が色鮮やかである。また全19曲を変化と対照の中で再構成して収録、聴き手をドラマと流れの中でワルツの夢に浸らせていく手腕にも心打たれるものがあるように思われる。 気負った感じはいささかもなく、サ・チェンの近年の成果をあくまでも自然に、しかも明快な色と光り、そして生命力をもって凝縮させた珠玉のワルツ集というべきであろう。(諸石幸生:ライナーノートより)
アーティストについて
1979年に中国で音楽一家に生まれる。四川音楽院にて音楽の勉強を始め、その後深芸術院にてダン・シャオイ教授のもとで学ぶ。1994年に中国の首相、江沢民が彼女の演奏を聞き、ダン教授とともに面会している。1996年のリーズでの成功がもとで、ロンドンのギルドホール芸術院への奨学金を得、そこでジョアン・ハヴィル教授に師事し、博士課程を得る。2001年よりハノーファー音楽大学にてアリエ・ヴァルディ教授に師事し、現在ドイツ在住。 1994年中国国際ピアノコンクールにて優勝。1996年リーズ国際ピアノコンクールにて最年少で4位に入賞。本選でサイモン・ラトル指揮、バーミンガム市交響楽団と演奏している様子をBBCテレビで放映された。その後、ダドリー・ミレニアムコンクール2000にて第2位、ギルドホールでは1999年スペンダー・ボニー記念賞、2000年ゴールドメダルコンチェルトコンクールでは銀メダルとクリスタルグラス・トロフィー、2000年ベートーヴェン・コンクール優勝、2000年ギルドホール・コンサート・リサイタル・ディプロマ・プレミア・プリックス等を受賞。最近では2000年ショパン国際ピアノコンクールにて第4位入賞とともに、ポロネーズ賞を受賞している。2005年第12回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでクリスタル・プライズを受賞し、ピアニストのエマニュエル・アックスより“ブリリアントなピアニスト”と評された。 サイモン・ラトル、レナード・スラトキン、ジェームス・コンロン、メゲル・ハース・バイヤ、イラン・ヴォルコフ、カジミッシュ・コルド、ベルンハルト・ギュラー、ムハイ・タン、ロン・ユー、ハワード・グリフィスなどと共演しており、数人からは再共演のオファーももらっている。また、バーミンガム市交響楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、イスラエルフィルハーモニー管弦楽団、ストラスブールフィルハーモニー管弦楽団、フォートワース交響楽団、ベルリン交響楽団、ラトヴィア国立交響楽団などとも共演。日本各地20公演を行い、著名なシリーズで、“20世紀偉大なるピアニスト100”に選ばれた。2003年から2004年のシーズンにはヴァイオリニストのギドン・クレーメル氏と度々共演。またアメリカのショパン・ソサイエティやカナダのバンクーバーにてコンサートを行った。2006年には中国国立交響楽団とアメリカツアーを行い、大絶賛を浴びた。2005年秋にPBSにてアメリカ中に放映された、2005年ヴァン・クライバーンコンクールについてのフィルム・ドキュメンタリーにも出演している。グラムフォン・マガジンの初版(中国版)では注目すべきアーティストとして選ばれている。(ライナーノートより)