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役者たちの演技がとても光っている作品だ。物語自体は実はどうってことない話。母親が父親に愛想を尽かして家出。その間に家にやってくるようになったのが父親の愛人で、型破りだが暖かい心を持つヨーコという女性だった。そんなヨーコと次第に固い絆で結ばれるまだ小学校4年生の長女・薫。この物語はそんな薫の視点から描いた家族ドラマとなっているのだ。劇的な変化があるわけでもないのだが、例えば一見すればヨーコはサバサバした豪快女なのに、物語が進むにつれてジワッと日陰者な寂しさがにじんでくる。彼女の傷ついた心が次第に透けて見えてくるのはすごい。またヨーコのことを好きなのはわかるが、どこか無愛想だったりする父親の微妙な心のサジ加減も次第に見えてきて胸が熱くなる。いろいろあって娘の薫が傷つき、何も言わずにそんな父親の腹をボコボコ殴るシーンがあるのだが、それを黙って殴らせ続ける様に、父親の気持ちと娘の気持ちが痛いほど伝わって涙がつい出てしまったほどだ。竹内結子、古田新太、子役の松本花奈ら主役級から端役に至るまで、リアリズムあふれる演技には本当に舌を巻く。もちろんすべてのツボを抑えた、細部にまでこだわった根岸監督の演出も絶品だ。(横森文)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
芥川賞作家・長嶋有の同名小説を竹内結子主演で映画化。80年代初頭を背景に、小学4年生の少女・薫と、自転車に乗って突然やって来た父親の愛人・ヨーコが過ごす刺激的なひと夏をノスタルジックに綴る。古田新太ほか個性派俳優の共演も見どころ。
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