内容紹介
カリスマ的マルチ・リード奏者がアメリカに残した渾身のラスト・メッセージ。今なおカリスマ的評価を受けるドルフィーが他界する4ヶ月前に残した驚異のリーダー作。緻密に構築されたサウンドは現在も多くの音楽家に影響を与えている。謎めいたジャケット・デザインも秀逸。
●録音:1964-2
Amazon.co.jp
伝統と革新、調性と無調性、インとアウト。ちょっと難しい話になるが、前者はオーソドックスなジャズ、後者はオーネット・コールマン以降の前衛ジャズを説明するときによく使われる言葉である。
チャーリー・パーカーのコピーからスタートしたエリック・ドルフィーは、当初伝統的なスタイルのジャズマンだったが、最後はフリー・ジャズの入口にまでたどり着いた。しかも36歳の若さで病死したため、もし彼が長生きしていたらどんな音楽をやっていたのだろうと興味がつきない。
そのヒントを与えてくれるのが、1964年にブルーノートで録音した本作だ。ドルフィーにはめずらしいコンセプト・アルバムで、全曲オリジナルを演奏している。抽象画を見ているような気分になる独特の世界は、伝統と革新、調性と無調性、インとアウトが一体となっていて、聴く者を圧倒する。トニー・ウィリアムス、フレディ・ハバード、ボビー・ハッチャーソンら当時の新主流派の面々も、ドルフィーの意図を理解して緊張感みなぎるプレイを繰り広げる。(市川正二)