出版社/編集部からの内容紹介 【今号の特集】
現場力を引き出す
新しい仕組みづくりに向けて
かつての日本企業の強さは、ボトムの改善力にあったことは疑いありません。しかし、競争のルールが大きく変化したことから、一転してトップの構想力や戦略立案力、意思決定力に焦点が当てられ、MBA教育や選抜教育が盛んになりました。
ローランド・ベルガーのコンサルタント、遠藤功氏が著した『現場力を鍛える』(東洋経済新報社)をはじめ、いま一度ボトムの重要性が問われ始めています。
ただし、ベルギーの物理学者、イリア・プリゴジンの散逸構造論に従えば、システムは一度変化し、新たな均衡を形成すると、再び元に戻ることはありません。ひるがえって、かつてのボトムアップ・システムを再現することはかなわず、新たなシステムを模索しなければなりません。
一九八〇年代から九〇年代初めのアメリカに、そのヒントがありそうです。当時、マサチューセッツ工科大学の『Made in America』や「IMVPプログラム」(国際自動車プログラム)、『ヤング・リポート』などによって、アメリカ産業界の問題意識はグローバル競争へと傾斜し、改革が叫ばれました。もちろんそれは、従来どおりのトップダウン型のものでした。
当時のアメリカを代表するリーディング・カンパニーだったモトローラを例に挙げれば、名経営者と呼ばれたロバート・ガルビンの指揮の下、大規模な改革が進められました。しかし、これは途中で頓挫してしまいます。ガルビンは「変革はトップダウンで進めなければならない」という信念の持ち主でしたが、この失敗を機に考えを改め、従業員参加型へと軌道修正を図りました。その時に導入されたのがシックス・シグマです。
モトローラのチャレンジは次第に産業界に広まり、進化していきます。そのなかで登場してきたのが、ジャック・スタックの『グレートゲーム・オブ・ビジネス』(徳間書店、二〇〇二年)です。ここで紹介されたのが、財務情報の開示と共有によって、経営者と一般社員との温度差を縮めると同時に、彼ら彼女らにオーナーシップを育むという「オープンブック・マネジメント」の試みでした。本書はベストセラーとなり、その後、ジョン・ケース著の『オープンブック・マネジメント』(ダイヤモンド社、二〇〇一年)などが続いて発刊されました。
団塊世代が大量に定年退職を迎えることで、これまで蓄積された現場の知が失われてしまうという二〇〇七年問題が取り沙汰されていますが、これらの知識や技能を継承し、さらに向上させていくモチベーション・システムについての議論はあまり進んでいません。本特集がここに一石を投じることになれば幸甚です。
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この雑誌について
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー誌とは
1923年、ハーバード・ビジネス・スクールが創刊した全世界で37万人が講読しているマネジメント誌の最高峰であるハーバード・ビジネス・レビュー誌と全面提携した、日本で唯一の総合マネジメント誌です。ビジネスの変化とマネジメントの未来をリアルに解説するダイナミックな記事は、学習意欲の高い経営幹部から若手ビジネスマンに至るまでの「知的強化書」として圧倒的な支持を得ています。
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