出版社/著者からの内容紹介 【今号の特集】
緊張感よりも集中力
株主代表訴訟制度は一九五〇年の商法改正によって導入されたものですが、九三年の商法改正で訴訟手数料が一律八二〇〇円となるまで、合計五〇件足らずでした。ところがこの改正以後、最高裁判所の調べによれば、翌九四年が八六件、九五年が一三九件、九六年は一六二件、九七年は一六三件と、年々増加していきました。
その後、経団連や日本商工会議所をはじめ、各種産業団体のロビー活動のかいもあって、二〇〇一年一二月の商法改正(この年は三回の改正がありました)において、会社が被告である取締役を補助し、訴訟に参加できるようになり、また二〇〇二年には訴訟金額に限度が設けられたため、以来ぐっと減少しています。
しかし奇しくも、雪印食品や日本ハムの牛肉偽装事件、三菱自動車工業のさらなるリコール隠し、そして西武鉄道の何十年にもわたる有価証券報告書の虚偽記載など、緊張感を失ったワースト・プラクティスが次々に明らかになったのは周知のとおりです。
とはいえ、この失われつつある緊張感を取り戻すために、先の代表訴訟制度の改正のように「制度的解決」に頼るのにはかなり疑問です。必ず不平等、不公平という新たな火種が待っているばかりか、「あつものに懲りて、なますを吹く」という、過度の慎重が頭をもたげかねないばかりか、規則で人々の行動を縛る官僚主義が組織にはびこりやすくなります。
さる七月一三日、金融庁企業会計審議会内部統制部会が「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」(公開草案)を発表しましたが、サーベンス・オクスリー法のように厳罰をちらつかせることはせず、内部統制システムを強化することで企業組織に規律と緊張感を呼び戻そうというアプローチは、もちろん手ぬるいという批判もあるでしょうが、「中庸にして過甚ならず」ではないでしょうか。
それに、内部統制は緊張感を高める制度というよりも、業務改善活動にほかならず、その導入いかんでは、業務への集中力を高める効果が期待できるはずです。以下、本特集を組むに当たって、社外アドバイザーのみなさんから推薦されたものから、独断と偏見で三冊ご紹介します。
この雑誌について
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー誌とは
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