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川島雄三監督と若尾文子のコンビによるピカレスク・コメディの傑作。公団住宅に住むもと海軍中佐の夫婦が、芸能プロに勤務する息子、小説家の愛人である娘を使って金をだまし取り、裕福な生活を楽しむ。一方で息子と深い関係にある芸能プロの経理担当・幸枝(若尾文子)は男達を手玉にとり、一家を上回るしたたかさで旅館の開業資金を手にする。
全編を通じて舞台を公団住宅の一室とその界隈に限定するという実験精神。そして欲と欲との火花散るぶつかり合い、川島作品ではお馴染みの、膨大なセリフの応酬。人間の本性を描きながら、その醜悪さを滑稽に見せて笑い飛ばすあたりのしたたかさたるや。伊藤雄之助、山岡久乃、小沢昭一、ミヤコ蝶々といった芸達者たちが、火に油を注ぐような快演(怪演?)合戦を繰り広げて場を盛り上げるが、主役たる若尾文子は、前半艶然たる存在感とヘアスタイルで怪しげなフェロモンを放ち、旅館の女将となった後半は着物姿で男性観客を魅了。そのむせかえるようなセクシーさは、後期川島映画のミューズと呼ぶに相応しい。(斉藤守彦)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
45歳で生涯を終えた日本映画界の鬼才・川島雄三監督が若尾文子を主演に描いた代表作をDVD化。ある団地の一室を舞台に、金のために横領や愛人稼業に励む一家と、彼らに翻弄される周囲の男たちの姿を描く。エロティックな謎の美女役を若尾文子が怪演。