12月号は、フラットパネルディスプレイの新星“有機EL”の特集で、タイトルは「量産化迫る有機ELディスプレイ」である。
フラットパネルディスプレイ(FPD)とは、液晶やプラズマなどに代表される薄型ディスプレイのことで、有機ELは、この2つに続く第3のディスプレイとして成長が期待されている。本誌ではこの数年、毎年12月号で有機ELを大きく取り上げてきた。
これまで有機ELでは、パッシブタイプという方式の製品は出ているが、市場の成長のためにはアクティブタイプという方式の量産化が待ち望まれていた。そして、いよいよ今年、ソニーが9月よりアクティブタイプの量産を開始し、東北パイオニアも来年3月からの量産を発表、東芝松下ディスプレイテクノロジーも来年上期からの量産を表明するなど、有機ELの本格量産がスタートした。
今回の特集では、量産技術のポイントとなる製造装置やパネルの構成部材、周辺部材を中心に編集した。陽極の透明電極は液晶で使われるITOよりも平坦性に優れるIZO、陰極は注入電圧を下げるアルカリ金属、絶縁と素子隔壁を形成するフォトレジスト(通常のフォトレジストの使われ方と違って除去しない)、など液晶パネルとは異なる有機EL特有の周辺部材・技術について解説されている。また、最近の技術動向については山形大学の城戸教授に、産業動向については野村総研の浜本氏にまとめて頂いている。
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出版社/編集部からのコメント
有機ELは登場以来、その可能性の高さや技術的なおもしろさから多くの興味を集めてきた。しかし、一方で技術者には保守的な面も強く、有機材料が抱える寿命の問題を指摘して製品への採用を押しとどめてきた。今回、総論にご登場頂いた城戸教授のお話によれば、有機ELに興味を持って実験を開始した頃には、電流を流して数分経つとだんだん光が弱くなって光らなくなるような程度だったという。今では寿命は数万時間、それも半減期のことなので、その時間が経ったからといって電球のように消えてしまうわけではない。しかもまだまだ伸びつづけることも確実だ。いままでクレーム唱えてきた技術者も、そろそろ有機ELの実用性を認めて、開発に協力する時期にきているのではないだろうか。液晶では、パネル生産自体は、ほとんど韓国、台湾にとられてしまったが、その周辺部材は、液晶技術の開発に協力して育ててきた日本のメーカーが依然として握っている。有機EL製造で日本がイニシアチブを取り続けるために、より多くの技術者に今回の特集を読んで頂ければと思う。
さて、特集では有機ELをとりあげたが、常設コーナーの会議速報では、無機ELの青色材料開発で知られる明治大学の三浦登先生に、有機ELと無機ELの会議「ELワークショップ」のご報告をお寄せいただいた。
また、本号と次号の2回にわたり、本誌・編集長によるASMLの特別取材レポートをお送りする。ASMLはオランダに本社を構える欧州の半導体露光機メーカーで、これまで露光機といえば日本のキヤノンとニコンの独占だったところへ参入してきて、現在では世界のトップに立っている。その事業・技術戦略について、現地取材からお届けする。
なお、本誌では毎年12月号に1年間の総目次を収録している。
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