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丹波篠山の旧家、森山家の書生見習い、淳(篠田三郎)は、家を護ることを母から言い聞かされ、寸分の狂いもなく忠実に働き続けている。森山家では、長男・康(岸田森)の淡白さに妻の夏子(八並映子)は不満を隠せない。住み込みの書生・和田(田村亮)はお手伝いの藤野(桜井浩子)との情愛にふけっており、その光景を目撃した夏子は興奮し、淳を誘惑していく……。
旧家の伝統を護ろうとする青年と、加速度的に崩壊の一途をたどっていく旧家のただれた人間関係を通し、日本人の精神風土を鋭くえぐる実相寺昭雄監督作品。『無常』『曼陀羅』に続くエロス三部作の完結編的要素を備えたものだが、シネスコのモノクローム映像で捉えられた古い家屋の中で欲望を満たそうとする男女の姿は、まるで伝統の重圧からエスケープしようとしているかのようだ。また、伝統を護ろうとする青年もどこか奇異な存在として映えるのも、倒錯感に拍車をかけている。(的田也寸志)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
奇才・実相寺昭雄監督が『無常』『曼陀羅』に続き、観念的テーマに挑んだ長編第3作。堕落した人間関係の中で生まれる精神的葛藤から、徐々に崩壊して行く地方の旧家を描く。日本人の内なる精神構造に迫った三部作の最後を飾る作品。R指定作品。