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「ヴァイオリンの怪人あらわる」「メニューインが大絶賛し、ムターも驚いた」「笑っちゃうくらいうまい」というのが、ラカトシュが1998年にドイツ・グラモフォンからデビューしたときのキャッチコピーであった。それから5年経った今、もうラカトシュの音楽は笑いごとでは済まされない。
まず第1にラカトシュのヴァイオリンの壮絶なうまさ。クラシックでもこれほど弾ける人間がほかにどれだけいるだろうかというほど。エネルギッシュな速弾きだけではない。「ひばり」など、悪魔が乗り移ったかと思うほど異常な音が跳ね回る。
第2に、ラカトシュの音楽には、クラシックには最も欠けている泥臭さがたっぷり含まれている。それはもちろん、彼がハンガリーに古くから伝わるロマ・ヴァイオリンの名門一族の出身であり、ロマ・アンサンブルの1つの伝統を守っていることによる。
第3に、ラカトシュは現代人らしく(1964年生まれ)、映画やジャズや歌謡曲、各国の民謡など、異なるジャンルの音楽要素をどんどん取り入れている。それでいて、自分自身の属する伝統と、現代的な洗練をうまく共存させている。
第四に、アンサンブルのメンバーが全員凄腕であるということだ。特にピアノ、ツィムバロンにはロビー・ラカトシュに匹敵する存在感があって、アンサンブル全体を緊迫感と奥行きあふれるものにしている。
本作はそのラカトシュのデビュー盤「ラカトシュ」、ブダペストでのライヴ盤「ラカトシュII」、映画音楽集「ラカトシュ・オン・ムーヴィー」からの抜粋。ベスト盤は数種出ているが、以上3枚を網羅した2003年春での最新のベストが本作である。(林田直樹)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
超絶のジプシー系ヴァイオリニスト、ラカトシュのベスト・アルバム。「チャールダーシュ」での凄まじいテクニックに驚嘆し、「黒い瞳」での熱いカンタービレに涙する。映画音楽も楽しめる。
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