内容(「CDジャーナル」データベースより)
プロデュースに、フィオナ・アップルなどで知られるジョン・ブライオンを迎えたブラッド・メルドーの新作は、ジャズというジャンルを超えブラッド独自のアート感覚が見事に発揮された意欲作だ。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
95年のメジャー・デビューから、生ピアノによるトリオかソロでの作品ばかり発表してきたメルドー君。そのクールな耽美プレイに「これはジャズか?」なんて不毛論議を繰り広げるジャズ・オタクも少なくない。
この新譜はそんな議論好きたちの格好のネタとなりそうだ。プロデューサーは、天才映画監督ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』の劇伴を手がけ、同作を歌で支えたエイミー・マン、あるいはフィオナ・アップルといった通好みのポップ・アーティストを手がけてきたジョン・ブライオンである。メルドーと彼の出会いが生み出した音は……ギル・エヴァンスごっこの合奏、ブレイクビーツにノイジィなギター、音色を加工しヘンなトコに定位するピアノ、ヴィブラフォンを模したシンセでノリノリの、ジョビンの「ウェイヴ」……いやはや天晴れ! と踊り出したくなるような混淆ぶり。ジャズを学びピアノのやたらと上手い自分が、この多様化した“音楽”という化け物を相手に何ができるのか、一曲ごとに道場破りをして歩いているようなありさま。前からレディオヘッドの曲をカヴァーしたりしていたけれど、ここまで澱をため込んでいたとは思いも寄らなかった。これを聴いた後では、メデスキ、マーチン&ウッドですら守旧派に聴こえてくる。もっとも、アルバムの中にはこれまでのシットリ&ピロピロ路線のトラックもあり、ほかの曲のおかげでそれらの良さが以前にも増して伝わってくるのも大きなオマケ。
なおかつ、これほど手の込んだ音楽集が、すべてオーヴァーダブなしの一発録りで作られているという事実にも驚かされる。ジャズ、いや音楽の根本である奏者同士のインタープレイには、まだまだできることが多い。メルドー君よ、君はもうこの線で行け。もしかするとパット・メセニーみたいに一人一ジャンルのアーティストとして、顧客を確保できるかもしれないぞ。 (青木和富) --- 2002年09月号