内容(「CDジャーナル」データベースより)
沖縄島唄の伝統を継承するシンガー・ソングライター、大島保克の4作目。弾き語りの前作に対して、ヴァイオリン、ギター、パーカッションを入れたアプローチが新鮮。とにかく圧倒的に歌が、楽曲が素晴らしい。また新たなスタンダードが生まれるに違いない。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
石垣島出身、大阪を拠点に精力的にライヴ活動を続ける大島保克の4作め。前作の『我(ぱ)が島(すぃま)ぬうた』(2000年)は全編三線弾き語り一発録りによる八重山唄集だったが、本作はそれとはうってかわってのオリジナルな“ヤスの歌”アルバムだ。全10曲中7曲が自作。もともとソングライターとしても評価の高いひとで、ファースト・アルバム(93年)収録の「イラヨイ月夜浜」は加藤登紀子や杉山清貴、同郷同世代のBEGINらにカヴァーされ沖縄方面ではスタンダード曲となっている。
本作の共演メンバーは、セカンド・アルバムから旧知の武川雅寛(ムーンライダーズ)や上地等(BEGIN)、パーカッションの三沢泉ら。とくに笹子重治のギターがブラジリアン・フレイヴァーを控えめに加え、風通しを良くした。鄙(ひな)びた哀愁、とでもいうべき情感を帯びた大島の声は、一度聴いたら忘れられない独特のものだが、晴れやかなギターの音色とノスタルジックな武川のヴァイオリンの響きが、これを引き立てる。石垣島の情景をうたった望郷歌(1)の、懐古の情を明日への希望へと転生させる歌世界は、古謝美佐子などにも通じるものだ。
印象的なのは、自作7曲中3曲ある3拍子の曲((3)(6)(10))。沖縄発の3拍子の曲といえばネーネーズの「ジントーヨーワルツ」が知られているが、島唄では本来使われないリズムだ。故嘉手苅林昌に捧げられた(3)は、そのバタくさいリズムとマーチ風のスネア・ドラムの刻みが、亡くなるまで一貫してあまんくまとぅ旅(あちこち旅暮らし)を続け、枯れた味の唄者からは遠かった林昌さんの姿をほうふつとさせる。これもまたカヴァー必至の名曲だ。(6)では、サビの♪ツィンダラカヌシャマ/生まり島、の部分を思わず唱和してしまう。標準語詞の(10)は上地のピアノ、武川のトランペットとの三重唱ともいうべき素晴らしいアンサンブル。三線一本八重山唄ひと筋のライヴ活動15年のはての“島を越える島唄”の世界がここにある。 (大須賀猛) --- 2002年05月号