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「たどん」編=毎日都会を流すタクシー運転手の木田(役所広司)は、ある日乗せたサラリーマン風の男・安西(根津甚八)に職業を尋ねると「たどん屋だよ」と返されて怒りを爆発させる。
「ちくわ」編=売れない作家の浅見(真田広之)が行きつけの小料理店で徐々に幻覚を感じ始める。やがて彼はトイレで股間の異常を発見し、戦慄する。
市川準監督と言えば『東京兄妹『東京夜曲』など情緒的な作品で有名だが、この『たどんとちくわ』は「自分の作品が庶民叙情派のようなイメージに固まっている気がしたので、それを破る為に作った」という、いわば挑戦作。市川準版『バカヤロー!』とも言うべきその内容は、単に登場人物が怒りを爆発させるだけではなく、その行動を見ている観客たちもまた、徐々に苛立ちを募らせていく共犯感覚がなんともユニークでヤバい。一見破天荒に見える作品だが、実は細かい部分にまで市川の実験精神と手法が貫かれた快作。(斉藤守彦)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
椎名誠の小説を基に、ふたりの男それぞれのストレスが暴発するまでを二部構成で描く。客の何気ない嘘に逆上してピストルを突きつけてしまうタクシー運転手の「たどん」編。そして、ちくわ好きの貧乏作家の妄想が居酒屋で炸裂する「ちくわ」編を収録。