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新ドイツ零年 [DVD]
 
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   ジャン=リュック・ゴダールが、彼にとって近くて遠い国ドイツをベルリンの壁崩壊後のドイツをスケッチした意欲的な作品。ゴダール唯一のSF映画『アルファビル』の主人公レミー・コーション(エディ・コンスタンティーヌ)が西側のスパイとして東ベルリンに潜んでいたという設定になっている。彼が西側への帰還を目指して、に出るというその内容には、62分の短い映画だが、そこにはさまざまなビジョンが見て取れる。
   レミー・コーションが西側への帰還を目指して旧東独を旅するフィクションの部分と、『ドイツ零年』ほか西欧の歴史をはらんだ映画やニュース映像をはさみながら、事実と虚構の狭間で揺れるゴダールの心情が浮かび上がる。本作はTV番組の「孤独:ある状態とその変容」シリーズ用に製作されたが、劇場公開を望んだゴダールがベネチア映画祭の出品規定に合わせて4分を加えて出品。同映画祭ではイタリア上院議員賞を受賞している。「国家は理想は一つになること 個人の夢は二人でいること」という言葉に、未消化な痛みとゴダールの祈りが感じられる。(茂木直美)


内容(「キネマ旬報社」データベースより)

B級ノワールの設定を借りて、ドイツ象徴のオマージュと追想を全編に漂わせた哲学映像ポエジーの一編。旧東ベルリンに潜入していたスパイとそれを発見した伯爵が、西へと向かう足取りをドイツの重い歴史とクロスオーバーさせながらゆっくりと描く。

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5つ星のうち 5.0 映像詩!, 2007/12/1
ドイツ統一と第二次世界大戦の意味、そして映画の歴史、発展と後退を映像と詩、音楽の見事なコラボレーションで表現した、傑作である。黒沢清監督もこの映画を数々の作品で引用しているように、抜群の切れ味である。
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13 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 忘却への抵抗, 2005/5/16
「ドイツ零年」つまりは統一新ドイツの歴史が未だ始まらぬ時間ということか。かつて「ベルリンの天使」が勝利の女神像の上から眺めていた彼方には、ブランデンブルク門が壁の先に聳えていた。ポツダム広場も今ではすっかり化粧直ししている。しかし、それで過去の歴史が消えうせたわけでもなければ、未来が大きく開けたわけでもない。分断前のドイツに見かけ上戻ったに過ぎない。
ホロコーストの記憶はベルリンに記録される。トポグラフィー・オブ・テラー。旧東側から「愛」に代わる「自由」という言葉を求めて旧西側に辿りついた元スパイはかつての絶滅収容所前の標語を耳にするのだ。アルバイト・マハト・フライ。
映画が忘れ去られていくように人々の記憶もまた朽ちていく。20世紀は戦争の100年だった。21世紀もまた人類は殺戮に明け暮れるのだろう。頭髪のめっきり薄くなったかつてのタフガイの足取りは限りなく弱々しい。冬枯れの光景の中で資本主義の怪物に立ち向かうドンキホーテは相変わらず孤独な変人だし、連れ添うサンチョパンサのオンボロ車は一向にエンジンがかからない。
忘れないこと。それだけが未だかつて私たちの知らない「自由」へと解放していく道筋に至る行為なのかもしれない。
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30 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 歴史の終わりにおけるスパイの終わりと歴史の始まり, 2002/11/9
By ペニーレイン - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
ゴダールが、『アルファヴィル』に登場させたスパイ、レミー・コーションを再登場させ、最期の冒険を行わせる。ゴダールは、ヨーロッパの孤独の歴史をたどる。要点は、東西ドイツが統一され、冷戦構造が崩壊した時代には、東に潜伏していたレミーが「西はどっちだ」と尋ねても無意味なことが端的に示すように、これまでの対立の歴史がゼロにリセットされ無意味になる。このように、ヨーロッパには孤独の歴史が続いて来たし、これからも続いて行くということのようだ。

本作は難解であるが近年のゴダールらしい名作であり、『JLG』、『映画史』、『フォーエバー・モーツァルト』などの近年のゴダール作品を理解できるかどうかの格好の試金石である。

『オースティン・パワーズ』と同時に見てもおもしろいだろう。というのも、『オースティン』も、現代がスパイ商売上がったりであることを認めている点で、本作と同じだからだ。『オースティン』では、スパイは、過去に活躍の場を求めている。さらに、現代にスパイの活躍の場を求めれば『ミッション・インポッシブル』に行き着くことはおわかりだろう。

しかしながら、本作やアメリカのスパイ映画は、狭隘なユーロセントリズム(ヨーロッパ中心主義)やアメリカニズムにもとづいていることも真実である。このことは、『シュリ』、『JSA』によって図らずも暴露されてしまった。というのも、たとえ東西ドイツの対立は解消されても、南北朝鮮の対立はなおも生々しく残っていることを上記の韓国映画ははっきりと示しているからだ。それゆえ、本作を見たあとには、上記の韓国映画も見てほしい。

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