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リュック・ベッソン、レオス・カラックスらとともに、1980年代のフランス映画界を席巻したジャン・ジャック・ベネックス監督の第1作。自分の歌が録音されることを許さないオペラ歌手と、彼女の熱狂的なファンで、コンサートをこっそり録音する郵便配達夫。そのテープが、犯罪に絡んだ証拠と勘違いされたことから、彼は殺し屋に追いつめられていく。
本作のおもしろさは、単純にジャンル分けできないドラマが生む、予想不能の展開だろう。水槽の中で揺れ動く水や、日傘を差しての散歩シーンをはじめとしたスタイリッシュな映像と、古典的なオペラという題材。二転三転のアクション・サスペンスに、純粋なラブストーリー。いくつかの相反する要素が作り出す空間からは、リアルながらファンタジックな世界が再現される。正反対の特徴を持つ殺し屋のコンビなど、ささいな部分も「対」になっているのは、監督の無意識のバランス感覚だろう。混沌が作り出す不思議なストーリーは、後の多くの作品に影響を与えたが、そのほとんどは「ごった煮」的な結果に終わってしまったのも事実。その意味でも傑作なのである。(斉藤博昭)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
『ベティ・ブルー』のジャン=ジャック・ベネックス監督のデビュー作で、事件に巻き込まれた郵便配達の逃避行を描くロマンチックサスペンス。偶然、闇組織の内幕を暴露するテープを入手したジュールは、あちこちから追われパリ中を逃げ惑うことに…。