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ビートルズ解散後のジョージ・ハリスンのキャリアは初期で極まったと言っても過言ではない。ジョン&ポールのソングライティング・コンビに押され気味で、長らくフラストレーションを抱えていたジョージは、抑圧していた創造力を(そして、ビートルズ時代の末期に書き上げ、未録音のままになっていた大量の曲を)、1970年の画期的なマルチディスク・アルバム
『All Things Must Pass』に注ぎこんだ。その結果、『All Things~』はビートルズの最高傑作に匹敵するグレードに仕上がったのである。
その後3年を経て、次なるスタジオ・アルバムである本作がリリースされた(この間に1971年のライヴ・アルバム『Concert for Bangladesh』があった)。批評家の反応は思わしくなく、ファンからは不満の声が上がった。しかしながら、『All Things~』(不思議なことに、ジョージはフィル・スペクターの立派なプロダクションが気に入らないらしい)がリイシューされた際、ジョージがそのライナーノーツで述べていたように、本作は彼の芸術的ヴィジョンをもっとも純粋なかたちで体現した作品と思われる。
スピリチュアリズムと人間への嫌悪がごちゃ混ぜになった皮肉たっぷりの内容は、多くの難解な部分を含んでいる。スピリチュアリズムについては「Living in the Material World」や、より取っ付きやすいシングル曲「Give Me Love」などに、また人間への嫌悪については「Sue Me, Sue You Blues」でビートルズとその弁護士たちがやり玉に上げられるあたりに明らかだ。
『All Things~』の中心的なセッション・メンバー(リンゴ・スター、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン)が参加しているが、本作でプロデューサーを兼任するジョージは、ファンキーな味付けを抑えて前作よりもオーガニックな性格を打ち出す。さらに、自身によるヴォーカルの出番も明らかに減らしている。
どことなくカントリーやフォークの感触を感じさせる本作には、うれしい驚きを与えてくれるトラックがいくつかある。静かで内省的な「Be Here Now」、ポップでスマートな「Don't Let Me Wait Too Long」と「The Lord Loves the One」、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドがわずかながら再現される「Try Some, Buy Some」などだ。周囲の期待が高すぎたせいで、かなり損をしているアルバムである。(Jerry McCulley, Amazon.com)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
73年に発売。1曲目の「ギヴ・ミー・ラヴ」はシングル・カットされ、アメリカでNo.1となった。ビートルズ時代には表現できなかった彼の思想・哲学が伝わるコンセプト・アルバムだ。