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「愛国心」のゆくえ―教育基本法改正という問題
 
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「愛国心」のゆくえ―教育基本法改正という問題 (単行本)

広田 照幸 (著)
5つ星のうち 4.3 レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)
現代は「政治的な教育が可能になった時代」であると同時に「政治に関する教育が必要になった時代」でもある。「現代社会や政治についての認識を深めない教育」をどう変えればよいのか。

内容(「MARC」データベースより)
教育基本法改正問題について、現状から視点を変え、もし、改正されたらどういう事態が生じるのか、それは我々にとってプラスなのかマイナスなのかという枠組みで考察し、これまで提示されてきていない論点を提示する。

商品の説明をすべて表示する

登録情報

  • 単行本: 264ページ
  • 出版社: 世織書房 (2005/09)
  • ISBN-10: 4902163195
  • ISBN-13: 978-4902163193
  • 発売日: 2005/09
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3 レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「《愛国心》」と書いて「リベラリズム」と読む, 2005/11/9
By モワノンプリュ (Japan) - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
 本書は愛国心育成を柱とする教育基本法改正の動きを、改正により予想される事態のシミュレーションを行うことによって批判する内容。
 まず著者は改正派における教育への過剰な期待を指摘し、その試みを失敗必定と断じる。だが問題はその先で、この失敗が事大主義の悪循環を生じ、教育現場の窒息と荒廃を招くと論じる。この辺りの議論には、戦前の皇国教育に関する著者の研究が活かされていると感じる。
 さらに著者は、改正派が依拠する国民共同体論を、今後の日本の針路から批判する。国民国家システム時代の終焉、東アジア諸国との連携・統合などを考慮すれば、「正しい国民」を一元的目標とする教育は得策ではない。
 こうした批判の上で、著者は井上達夫らを援用しつつリベラリズムの立場を打ち出し、これを《愛国心》と名づける。さらに教員の多様性を確保して現場を活性化・重層化しつつ、高校段階を目安に現実政治を考えさせる教育を推進すべしと提言。
 で、私の疑問。そもそもリベラリズム批判として登場した諸思潮に社民的リベラリズムで対峙するのは、所詮一つの決意表明に止まるのではないか(もっとも、「日本の教育は現状で概ねうまくいっている」が持論の著者は、同様に「リベラリズムは概ねうまくいく」と主張するかもしれない)。
 また著者は「君が代・日の丸」に抵抗できなかった教員を「私生活主義の挫折教員」か「従順で真面目だが卑屈な教員」と決めつけるが、これは裏返しの「教育への過剰な期待」ではないか? 高校での政治教育の提唱についても、保守派を現場的リアリズムから批判しながら、自説の展開では楽観的に過ぎる。私としては、まず著者の現場である大学で必須科目化し、入試改革も行うべきではと考える。
 最後にもう一言。著者は大内裕和の「『戦争のできる国民』づくりとしての国家主義」というフレーズを「左翼アジビラ的で私は好きではない」(p14)と評するが、好き嫌いはともかく、アジビラ的と貶められるべき表現ではないと私は思う。「私」を超える価値を立てるか否かは、死の問題に直結する。愛国心という踏み絵は、「あなたは国のために死ねるか?」と問いかけている。
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6 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 非常に共感できる, 2006/11/19
基本的には教育基本法改正に反対のスタンスをとっているが、予備知識がなくともわかりやすく、思想的ではなく、現在の社会背景を十分に反映させている内容。

日の丸君が代問題を、「君が代の伴奏を強制する行為は個人の思想を規制しておらず、伴奏拒否は単なる職務命令違反である」という判決に対し、キリシタン弾圧と同次元であると主張している。つまり、「踏み絵を踏ませる行為は、単に「踏め」というだけの職務命令であり、個人の内面を犯しているのではない」という主張と同じであるということ。


自己の権利を知れば、必然的にすべての人間に権利が存在することが理解され、それらがぶつかりあうことが当然予想される。(表現の自由とプライバシーの権利の共存など)
それに比べ、愛国心は、他国の愛国心とぶつかりあうことがなかなか想像されにくいところに問題がある。

「踏み絵」を用いての不当な弾圧に対抗するには、教員に対して過剰な期待をせざるを得ない状況にあるということだ。そしてそのような状況を作り出したのは、ほかでもない政府自身なのである。
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4 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 おおむね妥当だが、矛盾が気になる, 2006/4/25
By 清高 (仙台市) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
教育基本法の改正案が、自由民主党と公明党の間で合意に達したので、近々改正が予想される。しかし、ほとんどの人が、なぜ今教育基本法を改正しなければならないのか、よくわからないのではないか。その教育基本法改正問題を、改正反対の立場から、愛国心を盛り込むことに対する批判を中心に論じたのが、この本である。

議論はおおむね妥当である。何点か述べると、著者の結論は、改正反対の多数はと異なり、現行教育基本法第8条第1項の実質化を強調している点が面白い。また、「愛国心」が盛り込まれたときに起こりうる悪い状態のシュミレーションも良い。しかし、ところどころに矛盾もある。一点だけ挙げると、権利を教えないと他人の権利も尊重できないはずだが(p182)、愛国心を教えると他国の文化を尊重できなくなるというのはおかしいのではないか(p176から)。

以上のように、全体的には星5つレヴェルだが、所々の矛盾が気になるので、星4つとする。
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