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5つ星のうち 5.0
画期的な音楽の語り方, 2005/4/11
とてもおもしろく、興味深い本。一気に読んだ。音楽についての語り方の不自由さを著者たちは問題にしている。近視眼的な音楽ビジネスの動向だとか、オリジナリティーの大切さだとか、音楽をめぐっておこなわれているさまざまなおしゃべりは、どれもにたような語り方におちいってしまう。 「音楽未来形」というタイトルをみると、すぐに業界の展望だとか、最新の音楽スタイルを連想してしまうような、不自由でせまい想像力しかもたない語り方。それ自体をいっきにバージョン・アップさせてしまうような、そんなパワーをそなえた本だ。 著者たちは、音楽についての不自由な語り方が発生した要因を、楽譜というテクノロジーの発生から、エディソンが発明したレコードをへて、最近のMP3に至るまでの、音楽とテクノロジーの長いかかわりの歴史をひもとくことによって、精密に検証する。 作品だとか著作権といった、現在の音楽の語り方のなかであたりまえになっている考え方は、実はそんなにあたりまえではないことが、あざやかに示される。 その「あたりまえ」を大胆に、かつ説得的につきくずしてしていくのが、本書の後半部分だ。DJやオーディオマニア、音楽著作権をめぐる事件のような、あたりまえではない現在の音楽のさまざまなあり方の分析に、著者たちの筆はさえわたる。 思想家、ジャック・アタリを参照しながら語られる結論部分は、そのようなあたりまえではない音楽文化が、どのような音楽の未来を指し示しているのか、そのスリリングな謎解きであるかのようだ。 古い不自由な音楽の語り方のなかで、音楽そのものもどんどん元気がなくなっているように感じられる。レトロなロックバンドが再結成をくりかえし、カバー曲や再発ばかりがあふれている。レコード産業の売り上げも、当然のように落ちていくばかりだ。 そんな未来の見えない状況をうち破るように、本書はリアリティのある音楽の未来のひとつを示してくれている。音楽をよりよく変えるためには、音楽を考え、語るときの語り方をこそ、根本から転換しなくてはならない。この本があたえてくれるインパクトあるメッセージは、一言でいうならばそういったものだ。 音楽をとらえる語り方は、「音楽未来形」以前と、それ以後に分かれることになるのかもしれない。そう言いきってしまっても、けっしておおげさではないように思われる。
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