第1章と第2章は、現在のネットワークに内在する問題を社会学的な視点から解説する、いわば準備体操的な部分だ。第3章以降が本書の核心だ。現在の学校における情報教育を、情報工学に偏った「インフォテック教育」だと批判し、それに変わって、よりよくネットを使いこなすための教養として「インフォアーツ」を提案する。その具体的な中身を「メディア・リテラシー」「情報調査能力」「コミュニケーション能力」「シティズンシップ」「情報システム駆使能力」だとして、そのような力をどのように教育して伸ばし、社会に定着させていくかを論じていく。
著者の考え方は徹頭徹尾、文系的だ。「インフォテック」に対する非難に見られるように、理工系的知識とハッカーに代表される理工系文化への不信感が根底にあるようにも思われる。技術への無理解は、不信への理由にならないはずで、この態度は疑問である。しかし文系の側からこれだけ踏み込んでネット利用を語った本はそう多くはない。その意味で貴重な一冊である。
自分の子供にパソコンを与えるべきか悩んでいる人、あるいはどう教えたらいいか考え込んでいる人にお薦めする。
(ノンフィクションライター 松浦晋也)
(日経パソコン 2003/3/3 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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