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ソフトウェアの開発現場では個々人の役割分担があいまいであり、多くの場合、プログラマーがすべての仕事を兼任することになる。建築家に相当する総合的なプランナーがいないため、顧客からの仕様変更あるいは不完全な意思疎通からプロジェクトが失敗するというケースはあまりにも多く、これを回避するためのしくみを作ることは、長い間論じられてきた重要な課題である。
本書はソフトウェアアーキテクトについて論じたものである。建築におけるプランナーが建築家であれば、ソフトウェア開発におけるプランナーはソフトウェアアーキテクトである。本書ではソフトウェアアーキテクトの意義を解説した上で、アーキテクト、ビルダー、エンジニア、サイエンティストといった役割を規定し、さらにアーキテクトの任務の内容、アーキテクチャ主導のソフトウェア開発の解説、アーキテクトのプランの概要、そして最後にはアーキテクトの育成について言及している。著名な建築家I・M・ペイの仕事をもとにアーキテクトの仕事を解説しているが、分野が違うとはいえ、考え方は共通している。ここからプロジェクトを有利に進めるやり方を学ぶことができるだろう。
実際のソフトウェア開発チームでは専門の「アーキテクト」は存在しないケースがほとんどである。本書はプロのソフトウェアアーキテクトの存在を提案するものであるが、ある程度開発の上位に位置する人間ならば理解しておくべき内容が詰まっているので、利用してみて損はないだろう。(斎藤牧人)
日経BP企画
職業としてのソフトウェアアーキテクト全編を通じ「ソフト工学は建築工学に学べ」と説く。“設計不在”の現状を打破するため、アーキテクト(設計者)を専門職として確立し、ビルダー(開発者)、エンジニア(信頼性や性能を評価・検証する技師)、サイエンティスト(理論研究者)と分離することを提唱。アーキテクトとクライアント(発注者)が共同で基本設計を確立した上で、システム構築にあたれと主張する。技術者よりも発注者や,「ソフト設計学科」を創設すべき大学の上層部に向かって訴える、平易な啓蒙書。
(日経コンピュータ2002/10/21Copyright©2001日経BP企画..Allrightsreserved.)