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ウエハースの椅子
 
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ウエハースの椅子 (単行本)

by 江國 香織 (著)
3.9 out of 5 stars  See all reviews (15 customer reviews)
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Product Description

出版社/著者からの内容紹介

恋人の寝息は、ひそやかで安定している。うすい唇をほんのすこしひらいて眠っている。私は死について考えていたことを忘れ、恋人の寝顔に見入ってしまう。恋人の体はあたたかく、恋人は生きている。生きていて、ここにいるのだ。照明をしぼっているので寝室は暗く、オードシャルロットの匂いがする。私は恋人によってこの世につなぎとめられていると感じる。それは奇妙な感覚だ。恋人がすべてであると感じるのではなくて、恋人といるときの私がすべてだと感じる。私はそれを、淋しいと思うべきなのか満ちたりていると思うべきなのかわからなくて混乱する。正しいと思うべきなのか正しくないと思うべきなのかもわからないので、しまいには考えるのをやめてしまう。恋人の顔に指先で触れる。それはあたたかく、本質的に水分を含んでいるが、表面はざらりとする。男の肌だ。(本文より)


内容(「MARC」データベースより)

私を訪ねてくるのは、やさしい恋人(妻と息子と娘がいる)とのら猫、そして、記憶と孤独。恋人の身体は、信じられないほど私を幸福にする-。とても切なく危険な恋愛長篇。

Product Details

  • 単行本: 205 pages
  • Publisher: 角川春樹事務所 (2001/01)
  • ISBN-10: 4894569205
  • ISBN-13: 978-4894569201
  • Release Date: 2001/01
  • Product Dimensions: 7.5 x 5.3 x 0.8 inches
  • Average Customer Review: 3.9 out of 5 stars  See all reviews (15 customer reviews)
  • Amazon.co.jp Sales Rank: #555,328 in 本 (See Bestsellers in 本)

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9 of 10 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars こころでとける、ウエハースの恋。, 2001/4/21
私には、恋人がいる。その恋人には、妻と娘がいる。そんな私が過ごす、恋人との時間。死ということ。生きるということ。それは、ウエハースでつくった椅子みたい。つくらずにはいられないけれど、はかないとわかっている。おいしいお菓子がそうであるように、江國さんの小説はいつも、ていねいに材料を吟味して、練り上げられている。それは、たった1℃でも温度が高ければ、台無しになってしまうチョコレートのように、うつくしい言葉たちがこころに広がって、とける。その味は、恋は恐ろしいなあと思ってしまうほど、甘くて、にがい。でも、ついつい食べてしまうおいしさに満ちている。
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3 of 3 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars ぴったりくる、ということ, 2004/7/30
By A Customer
久しぶりに江國さんらしさがあふれている作品だと思います。はじめは「都合のいい男の不倫と自分をとらえきれない年のいった女の現実逃避」といった感じに映っていたのが、読み進むうちにこんなにきれいにまとめられている先には何があるんだろう、そしてだんだん現れてくる「死」というもの。家族ある恋人は永遠に自分のものにはならない、それなら自分が死を待てばいい、女はそう思うようになるが・・・何回も読んでいる者の気持ちに語りかけてくる作品です。男が離れていけば女は幸せを探せるか、ぴったりくる人はめったにいない、だから離れられない。自分と深い部分でつながることのできる人を誰もが求めている、読みながらそんなことをぼんやり考えていました。ラストが素敵です。
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5 of 6 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 江國香織はカルピス味, 2001/4/20
By おっか3 (札幌市南区) - See all my reviews
ウエハースの椅子・・・もろくて壊れそうな、でも食べたくなっちゃうウエハース。お口に入れるとすぐに解けちゃう甘い味。江國氏はインタビューで、「恋愛すると気が変になってしまう」というようなことを、おっしゃっていたけれど、この本の中の状況は、やはり「いっちゃってる」ってことなのだろうか?絵描きである主人公の時間は、愛する人を中心に、いや、それが全てという風に流れて行く。

彼女の小説には、いわゆる普通の生活感がなく、それこそウエハースか綿菓子でできている気がする。尋常ではない愛だけの世界に生きている人なのに、どうしてみんなこの方に惹かれるのだ?下世話な私なんぞが彼女の世界に共感しているなんて「そりゃ違うだろう。お前!」と、自らつっこんでやりたいくらい。しかし、女性達への彼女の世界の浸透度はかなり高そうだ。自分たちとは違う次元で、愛をむさぼる人を見るのは代償行為なのだろうか。私は彼女の愛には、とても感情移入はできない。が、それを見ていることは好きだ。愛に埋没する時間を賞味したければ『ウエハースの椅子』を読むと良い。

そして、私が一番好きなのは、彼女の描くディテール。昔の学校での自分、雨の匂い、シーツの感触、どれも「つーん」と共感できる。

江國香織は講演で、マザーグースの「男の子ってなんでできてる?」になぞらえて、自分はブルーナーのうさこちゃん(ミッフィー)と絵本二冊そしてカルピスでできていると語られたという。あの無表情がいいのだという。きっと彼女自身が学校その他の環境に馴染めず、感情表現を抑えた「うさこちゃん」だったのだろう。その分、心を研ぎ澄まして一人で色々なことを感じ取ってきたに違いない。その澄んだ心の辺りが、もうひとつの彼女を作っている要素「カルピス」なのではないか。

そして、そのカルピス的生活の細部が、私たちを異次元へいざない、爽やかにさせてくれる。

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