藪巻の新しければ翔つごとし
「俳句は日記」という信条のとおり、著者は日々の暮しの小さなことを両手ですくい上げて慈しむ。身辺に向けるあたたかな眼差しをとおして詩情溢れる作品が生まれる。
待望の第十句集。
温めるも冷ますも息や日々の冬
花種を蒔き常の日を新たにす
青蘆に古沼の照の押しわたる
幼きへ木の実わかちて富むごとし
きのふより今日枯深し飯白し
覚めてまだ今日を思はず白障子
浮氷見てゐる自由時間かな
子の部屋へクレヨン借りに秋の蝉
子探しに似て黄落の木より木へ
ひらとYシャツ葉桜の昼餉どき
薔薇咥へけり一輪をさらに剪る
身を包む紺の深さも帰燕以後
初電車待つといつもの位置に立つ
川幅に水が窮屈きんぽうげ
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