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環境ホルモンの存在を世に知らしめたベストセラーの増補改訂版である。日本での初版刊行は1997年9月だが、その影響はあまりにも大きく、環境ホルモンをめぐる状況は一変してしまった。それをフォローするために、原著者による「『奪われし未来』以後の世界」「未来を奪われないために」「おわりに」の3章と、環境ホルモン学会副会長の井口泰泉による日本の現状についての解説が加えられている。
著者のひとりであるコルボーンが、野生生物や人の異常に関する論文を読みあさっていくうちに、生物のホルモンを撹乱する汚染物質にたどりつくという初版の内容はそのままである。いまも進行中の科学ミステリーという体裁で、科学書にありがちな読みにくさはない。ごく微量の合成化学物質が、孵化しないワニやカモメの卵、アザラシやイルカの大量死、ヒトの精子数の減少など、人類を含めた生物全体の生殖機能を脅かしているという事実には、いつ読んでも慄然とさせられる。
本書が危機感を呼び起こしたおかげで、環境ホルモンの研究は飛躍的に進んでいるという。新たに加わった章では、初版刊行時から現在までに明らかになった新事実が紹介されている。それでも環境ホルモンが人類の未来に暗い影を投げかけていることに変わりはない。初版では最終章だった「無視界飛行」の「何より大切なのは、地球に住む一人ひとりがこの問題を真剣に考え、論じはじめることだ」という言葉は、残念ながらまだ古びていないのだ。(齋藤聡海)
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単行本
edition.
メタローグ
生殖しないハクトウワシ、セグロカモメの雛の奇形、アザラシの大量死……冒頭で点描される自然界の異常。推理小説のような面白さでその謎を解き進む本書は、やがその犯人〈環境ホルモン〉を突き止める。ここからが凄い。ガンへの恐怖に脅えながら暮らす女性、生殖器を中心とした病気の巣窟と化した男性、精子の減少や奇形が明らかになった各国の成人男子など、他人事ではない極限のホラーがひたすら読者を襲い続ける。最後に、事態改善のための提言が載せられているが、この羅列された惨状は鋭い問いを投げ掛けずにはいられない。人類にはまだ時間が残されているのだろうか、それとも……。(守屋淳)
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