内容紹介
2001年10月、アメリカ軍によるアフガニスタン空爆が、突如始まった。それは1ヵ月前にニューヨークで起きた「9.11」同時多発テロの報復として行われた。その日を境にアフガニスタン情勢が逐一報道されるようになった。カーブル、ジャララバード、クンドゥーズ、マザリシャリフ、ヘラートなどの名を耳にするたびに、私は複雑な気持ちでその地で出会った人びとや美しい景色を思い出していた。
テレビや雑誌に映し出される映像は、どれもが土埃にくすんだ殺伐とした情景だった。いかにも悪人面した髭の男が小銃を構え、無表情に戦車に乗り込む姿。ボロボロになった泥だらけの服を着て、血まみれになって泣き叫ぶ女性や子どもたち……。私が見てきたアフガニスタンとは、あまりにもかけ離れている。戦争という異常事態の中、ジャーナリスティックな事件ばかりを追うことで、何かが忘れられているのではないか。
見るに堪えない惨状ばかり流し続ける戦争報道から、ほんとうに平和を希望する気持ちが芽生えてくるとは思えなかった。ただ、痛ましいという他人事の同情を抱くだけではないか。どれほど大切なものが失われ、それがいかに愚かな行為によって引き起こされているのか。それを伝えるためには、失われていくもののかけがえのなさを知ってもらい、一人一人にその大切さを考えてもらうしかない。
世界中に衝撃を与えた同時多発テロが報道されてすぐ、私は写真展を開いた。小さなギャラリーではあったが、大勢の来場者だった。だれもが初めはアフガニスタンに戦争のイメージを抱いて来ていたが、写真を見て、そのあまりの美しさに心をうたれたと言った。そして、戦争行為はどんな正当な理由がつけられようとも許せるものではない、という感想を寄せてくれた。
それ以後、平和だった頃のアフガニスタン展を全国で開催してきた。その思いが、このたび一冊の写真集となってまとめられた。
本書にあるのはアフガニスタン本来の姿である。(「あとがき」より)
内容(「BOOK」データベースより)
本書には戦争やテロの写真は一枚もない。まぶしいほどの美しさをたたえた自然。そこに平穏に暮らす人びとの生き生きとした姿を見てほしい。人は利害の異なるもの同士でも、協力し合いながら問題を解決していくという智慧をもっている。戦争という暴力はもっとも愚かな行為だ。その凶行が破壊し奪い去っていくものは何か。平和に生きていくことの素晴らしさをアフガニスタンの人びと、大地は教えてくれる。