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昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫
 
 

昭和の劇―映画脚本家・笠原和夫 (単行本)

笠原 和夫 (著), スガ 秀実 (著), 荒井 晴彦 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

膨大な取材、激烈な作劇で斬り込む昭和の闇と刺し違えた日本最大の脚本家。


内容(「MARC」データベースより)

ヤクザ映画ファン必読! 「仁義なき戦い」などを手掛けた脚本家・笠原和夫の世界を解き明かす! 綿密なインタビューによって明かされたエピソードが満載。笠原作品から日本映画、東映映画の歴史を追う。

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5つ星のうち 5.0 映画ファンのみならず必読。, 2003/1/11
全600ページ、膨大な資料(全フィルモグラフィと、シナリオの抜粋など)と特に登場人物に関しての詳しい注釈がついていて、これだけで昭和史(特に昭和初頭から戦後60年代頃まで)のかなりの部分が見えてくる。主に笠原氏と荒井晴彦、絓秀実両氏による対談形式であるため、非常に読みやすくなっている。

笠原和夫氏は、東映で美空ひばり映画から始まり、藤純子モノなどの仁侠映画、「仁義なき戦い」などの実録路線、「大日本帝国」「二百三高地」などの戦争映画を経て、日本映画界の衰退に伴い「愛・旅立ち」というマッチ明菜競演のトンデモ映画とかの脚本までも書いた人。彼は軍国少年で海軍入りするものの戦争に行くことはなかったのだが、テロリズムと昭和天皇が終生のテーマだった。226事件!の!!生き残り、日本共産党員、右翼、政治家、「仁義なき戦い」のモデルとなった広島の極道たちなど膨大な人数の人たちに綿密な取材をして、リアリズムを追求した作品を書きつつも、会社や監督たちと徹底的に戦ってきた。このあたりは、読んでいる者の魂をもたぎらせるほどの凄絶な戦いで、彼はストレスのあまり胃を失い苦しみながらも、傑作を数多く世に送り出した。

226事件の将校たちに強い共感を覚えたり、日本を勝ち目のない戦争に追いやったエリート将校たちや、戦争責任を果たそうとしなかった昭和天皇に対して忸怩たる思いを抱いたり、映画会社の人たちの無責任さに悔し涙を飲んだり、口調はあくまでも穏やかでありながら、こんなにも凄まじくアナーキーな情熱を映画に注ぎ込んだ男がいたとは。

偶然にも、!!!この本を読んでいる最中に、昭和2年に生まれた笠原和夫氏の訃報を聞くことになった。まさに、昭和という時代への鎮魂歌となっている。

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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 東映実録路線-心情の歴史としての, 2004/11/14
By itv - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
 上は天皇、下はヤクザ。右は血盟団、そして左は共産党。本書は、東映実録路線で一時代を築いた稀代の脚本家・笠原和夫がそのデビューから筆を折るまで、書き上げた全作品に関する証言録である。全篇600頁。そこには、白塗り時代劇の時代からヤクザ映画の黎明、「仁義なき」東映実録路線の興亡、そして邦画界の衰退まで立ち会った者としての記憶が込められている。
 笠原脚本に通底するものは「不能者としての暴力性」である。着流しのヤクザが女のすがりつく手を振り払って殴りこみに行くのは、「できないからですよ」と笠原は言う。天皇制の中で抑えつけられた者が、暴発する-日本人の男の暴力性の根底には不能者としての劣等感があるという訳だ。加えて、帝国海軍二等兵曹としての戦争体験。国の為に死ぬ事を覚悟したのに、戦争に行き遅れた者としての<心情>-それが暴力へと向かう潮目を笠原は描く。思想史家・小熊英二が言うように、<心情>とは「思想では表現困難な残余の部分」であるとすれば、笠原の脚本群は戦争体験を持つ日本人の男の<心情>の歴史に他ならない。
 脚本家とは作戦参謀なり、との持論を笠原は本書で語る。映画制作を組織戦闘と捉え、指揮官である監督の資質に合わせた作戦を参謀は練る。ロケハンや緻密な取材を通して(その一端は本書の口絵で窺い知れる)点描画のように書き込まれた笠原の作戦書=脚本は、当然のことながら指揮官を選ぶ。重すぎて監督が耐えられないもの-それが笠原の言う<劇>なのだ。この重みに耐えられた監督こそが、「仁義なき戦い」という大傑作を撮ることになる。
 そしてこの組織戦闘が機能しなくなる時、邦画の衰退は始まる。
 最後に、同じ脚本家として邦画界への憤りを共有する荒井晴彦と、脇を固める文芸評論家のスガ秀実が繰り出す質問の的確さ、そして丁寧な脚注の存在が、本書の読み易さを確かなものにしていることを特筆しておきたい。
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 生半可な気持ちで読み出すと火傷してしまうような、“魂”の軌跡。, 2007/7/19
By hide-bon (名古屋市) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)   
日本映画がその反社会性と反公序良俗の名の下に、映画館の暗闇の中で、観客たちに夢と浪漫を与えてくれた時代に、大東映の金看板として数多くの傑作を手掛けた不朽の名脚本家笠原和夫の“魂”の軌跡。本の帯の“昭和と刺し違えた男”との惹句がピタリと決まる渾身のロング・インタビュー。本当に、生半可な気持ちで読み出すと火傷してしまいそうな熱く、危ない1冊だ。
既に他のレビュアー諸氏が触れている様に、今著の魅力は大きく分けてふたつだろう。ひとつは、帝国海軍から東映宣伝部、後に脚本家に転じて以降、映画が大衆娯楽の花形として量産されるプログラム・ピクチャーから生まれた氏の全作品群に於ける極めつけの逸話の数々を映画ファンとして興味津々に楽しめる事。もうひとつは、そのフィルモグラフィーから語られる氏の“想い”を、検証、追っていく事が、紛れもなく“激動の時代”であった昭和の陰のクロニクルを照射する結果になっている事。
“やくざ”、“右翼”、“在日”、“被差別”、“武装共産党”、“戦争”、そして“天皇”。正に昭和の闇の部分に、被写体(テーマ)への徹底したリサーチで鋭く切り込んでいった執念と、戦前、戦中、戦後を生きた軍人であり、脚本家であり、紛れもなく知識人であった笠原和夫の思想が、インタビュアーである戦後派のゲバルト世代である荒井晴彦らとの延べ1年半にも及ぶ共闘作業の中で赤裸々に語られるのを読みながら、過去の傑作が甦ってくる。今著が世に出てまもなく、この世を去った笠原和夫。末尾に謳われている「付言」の見事さが、この不世出の脚本家の強靭さを物語っている。
 
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