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瀬戸内海に浮かぶ小島の分校。42名の中学3年生たちは、新しい担任と名乗る見知らぬ男から「プログラム」の開始を告げられる。クラスメート同士が与えられた武器で殺し合い、ただ1人の勝者を決めるという残酷な椅子取りゲームだ。
続発する少年犯罪は現代においてもはや遠い世界のできごとではありえず、不快感なしにこの作品を読み進めることは不可能に近い。その意味で、本作品がさる文学賞の選考会で委員から徹底的に否定されたことはうなずける。だが、反社会性というマイナスを補って余りある魅力が、たしかにこの作品にはある。たとえば少年たちの多くは大人や社会に対して名状しがたい嫌悪感を抱く存在として描かれている。その一方で、ある者は絶望的状況を打開すべく全力を尽くし、ある者は深く秘めた恋に身を焦がして、読み手の心を締めつけずにおけない。不条理に直面してもなお人を、未来を信じたいという彼らの思いは、そのまま著者からのメッセージでもあろう。
表現の稚拙さは時折目につくが、スピード感ある筆致にはただただ驚かされる。ストーリー運びの巧みさは非凡だ。加えて、最も高く評価したいのは、中学生たちの心理描写に横溢(おういつ)するユーモアだろう。その脳天気さと過剰ぶりは殺し合いという極限状態に置かれた中学生の心理としてはやや不自然だが、身もふたもない物語を第一級のエンターテイメントたらしめているのは、まさにこのたぐい稀なユーモアセンスなのである。前途有望な作家の手腕に心から敬意を表したい。(西村 匠)
メタローグ
読み出したら止まらないという意味では今年のナンバーワンだろう。城岩中学3年B組の42人が、政府によって「プログラム」の対象に選ばれた。本物の武器を渡され、最後の1人になるまで殺し合うという戦闘ゲームのことだ。積極的に殺戮を始める者、団結してプログラムを止めようとする者、それぞれのやり方で理不尽な現実と向き合う。 閉ざされた空間での「生き残りゲーム」は、不況と称してリストラに狂奔し始めた企業という組織のメタファーだ。読む者を「あなたは、いま所属する組織の中で、どの生徒の戦い方を選ぶのか」と問いつめる迫力がある。(石飛徳樹)