まず前半では、スリップとミステイクの差異から始め、錯覚や勘違い、違反とリスク行動について述べている。たとえば、あるサークルに入会する際のバリアが高いほどそのサークルへの忠誠心が高まることを、あるカルト教団の例で説明している。また、会社などの意思決定は、トップダウンで上から押しつけるよりも、メンバーが話し合いに参加してその総意として決定したほうが、結論は同じでもずっと従ってもらいやすいという指摘もなかなか興味深い。
本書の後半では、水道のつまみや電灯のスイッチなど身の回りの生活用品に関するインタフェースの話題や、著者の以前の勤務先と関連がある鉄道安全システムについて述べ、最後に本書のまとめを述べている。その中では間違い日本語リストが特におもしろい。「初孫」は「ういまご」と読むものだが、テレビなどでは「はつまご」と読んでいる(本来は前者が正しい)。また「他人事」を「ひとごと」と読まずに「たにんごと」と誤って読む学生も増えている。さらに「award」は英語の音訳なら「アウォード」だが、「アワード」と書いてあることが多い。こうした、本来は誤りであるはずのものが、慣用化に伴って市民権を得てしまうという説明もわかりやすい。各章末に2~3ページの要約をつけてあることも読者に親切である。
200ページ余りの本で、あっという間に楽しく読み終えることができた。できれば、参考文献のリストと索引がついていれば申し分ないだろう。ぜひ多くの人たちに読んでほしい1冊である。(有澤 誠)
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