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今でこそインターネットは手軽に欲しい情報を手に入れられるメディアとして普及しているが、ひと昔前のインターネットは今ほど簡単で便利なものではなかった。そんなインターネットを劇的に変化させたのは、世界中のネットワークをクモの巣のようにつないだワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の登場によるところが大きい。WWWはもともと、ティム・バーナーズ=リーが提案した「グローバル・ハイパーテキスト・プロジェクト」が発展したもので、バーナーズ=リーは後にWebブラウザを生みだしたほか、その基礎となるプロトコルを規定するソフトを作成するなど、近年のインターネット技術に大きく貢献している。
本書は、WWWの生みの親、ティム・バーナーズ=リーが、Webの成立の歴史や今後の発展方向までをつづった1冊。前半ではまずインターネットを語るときに欠かせないHTML言語やブラウザが誕生するまでの経緯など、Web成立の歴史を自叙伝風につづっている。そして後半では、Webを駆使したビジネスや、Webの検閲問題、プライバシーの問題、マイクロソフトのブラウザ問題など、Webの今後の発展に対する懸念や問題点などに触れている。インターネットを変え続けるWebの思想家、ティム・バーナーズ=リーの視点を通して、インターネットの起源やその発展の歴史、そして未来へのビジョンに触れることができる画期的な1冊。(近藤大介)
日経BP企画
Webの創成 World Wide Webはいかにして生まれどこに向かうのか 世界を一変させるような発明をした者の脳裏をよぎる思いはどんなものだろうか。世界中から称賛を浴びることによる陶酔か、それとも億万長者になって優雅な生活を送ることか。しかしWWW(World Wide Web)を発明したティム・バーナーズ・リーは、そのどちらも選ばなかった。新たな社会インフラストラクチャーとするべく無償で公開し、衆知を集めるという道を選んだのだ。
WWW――我々が通常「ホームページ」と呼んでいるインターネットでの情報公開の仕組みが、世界のあり方を一変させる重要な発明であることに異論を唱える人は少ないだろう。本書の前半は、発明者自らが語るWWW誕生の経緯だ。1980年、欧州の素粒子物理学実験研究所「CERN」にプログラマーとして雇われた著者は、個人的興味からそこでやり取りされる膨大な情報を整理するソフトウエアの開発を始める。当初はパソコン1台の中だけだったソフトは、研究所内のLAN、そしてインターネットへと適合し、やがて世界中を一瞬にしてつなぐWWWへと成長していく。
その過程で、著者は自分の権利を主張することよりも、WWWを普及させ、より完全な仕組みとすることに力を注ぎ続ける。基本となる理念は「誰でも規格策定に参加でき、結果は誰でも使えること」。OSを独占することで億万長者となった米マイクロソフトのビル・ゲイツと対照的な生き方といえるだろう。
後半では、著者が開発を続けている「semantic Web」という新しい構想を詳細に説明している。これが成功するかどうかは分からない。しかしどのような技術であれ、著者はその成果を独占することはなく、社会へと還元するのだろう。読後、さわやかな気分になる一冊だ。
( 松浦 晋也=ノンフィクションライター)
(日経パソコン 2001/10/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)