「100人の村」の原点は、環境学者ドネラ・メドウズが1990年5月に発表した「村の現状報告」というコラムの一編だ。冷戦末期の世界を1000人の村にたとえ、そこにある矛盾と危機を平易に明快に示している。本書ではこの「1000人の村の現状報告」を完全絵本化。「100人の村」との対比も編者が加えている。
「村の現状報告」の1000人の村を100人の村に書き換えたメールの発信者はいまだに不詳とされているが、世界を凝縮して考えるこの発想は多くの人々の心を揺り動かした。数字の根拠はどこにあるのか。「村の現状報告」が書かれてからどう変化したのか。「100人の村白書」の章では、ひとつひとつの数字を統計的に検証している。
「世界はどうしてこんなにいびつになってしまったのか」「私たちはどこかで間違ってしまったのではないか」。2001年9月11日のテロとその後始まった対テロ戦争は、強烈にこのことを私たちに突きつけた。『世界がもし100人の村だったら』は、多くの人に世界の現状を教え、この話を読むことができた自分は恵まれているのだということに気づかせ、「私にできることはなんだろう?」と考えさせた。
その一方で「貧しい人を下に見て、豊かな側にいる自分に満足している」「数字で表すことができない幸福があることを忘れてはいないか」といった指摘もあったという。これには、作家、池澤夏樹、政治学者、ダクラス・スミス、大学教授、大野健一、そして国境なき医師団の黒崎伸子らがそれぞれの立場から意見を寄せている。
ドネラ・メドウズは2001年2月に「9.11」を知ることなく没したが、残したメッセージはインターネットをきっかけに爆発的に広まった。"Think global, act local." この書は再びそのことを考えるきっかけになるだろう。(篠田なぎさ)
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