この疑問を解くため、研究者は老人斑の主要構成成分であるアミロイドたんぱく質を分離し、それらの形成に前駆体たんぱく質(APP)をコードする遺伝子上に変異があることなどを次々と突き止めてきた。
本書はこのアルツハイマー病遺伝子の発見に至るまでの研究史を、当事者であるハーバード大学神経科学科のタンジ教授とジャーナリストのアン・パーソン氏がまとめたものだ。
タンジ教授の発見に至るまで、APPを含む多くの成分がアルツハイマー病原因物質の本流の座を争った。その経緯が詳しく書かれ、現代科学の構図を一挙に俯瞰できる内容になっている。競争相手に先駆けて手にした発見が、わずかの配慮が不足していたために水泡に帰したエピソードなど、研究現場の人間模様が生き生きと描かれる。
アミロイドたんぱく質を使ったアルツハイマー病ワクチンの研究も活発化している。ワクチン研究のプレーヤーたちの多くが本書に登場し、ワクチン開発全史としても楽しく読める。
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