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肩をすくめるアトラス (単行本)

アイン ランド (著), 脇坂 あゆみ (著), Ayn Rand (原著)
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

自由と規範という現代世界が抱える先鋭的ジレンマに熱い斧を打ち込み、アメリカ人に多大な影響を与えた小説。資本主義経済が社会主義政策の導入によって衰退していく様子を、全産業に関わる鉄道を中心に据えて具体的に描く。


著者からのコメント

アメリカではいまも年間15万部は売れているというロングセラー。一般読者が選んだ20世紀の小説ベスト100第1位(1998年、ランダムハウス・モダンライブラリ発表)。聖書についでアメリカ人が「人生でもっとも影響をうけた本」(1991年、米国国会図書館、ブック・オヴ・ザ・マンス・クラブ共同調査)。

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5つ星のうち 2.0 自分が分不相応にえらいと思っている人だけが感動する本。, 2004/12/1
By h.yamagata (世界各地) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
アイン・ランドの代表作。長いし、小説としてはへたくそです。大仰な描写、延々としゃべりまくる饒舌な登場人物。すべては功利主義で進み、主人公の鉄道会社重役ダグニー・タガートは、ボーイフレンドよりも有能な男が目の前に登場するとあっさり乗り換えて、そのボーイフレンドも功利主義者なのでそれを平然と祝福するなど、失笑するような場面が満載です。

 本書に人気があるのは小説として優れているからではなく、その思想に共鳴した人々が一種のカルトを形成しているからです。ソ連から亡命してきて、ひたすら国の規制を毛嫌いする彼女の思想は、かなりおめでたい自由放任実力主義です。世の中には、生まれつき有能な人と無能な人がいて、世界は有能な人のおかげで動いているんだから、そのエリートたちを(国の規制などで)邪魔してはいけない、というだけの話。本書でも、有能な人は生まれてずっと有能、そうでない人はずっと無能な寄生虫、という描かれ方は一貫しています。

 本書を読んで感動し、ランド支持者となる多くの人は、自分こそはこの優秀な側の人間だと思っています。でも実際には、多くの人は自分が思っているほどは有能ではなく、社会的な評価の低さも実は単なる分相応だったりする場合がほとんどです。本書を絶賛する人は、いったい自分がランドの世界でどこに位置づくかをよく考えてみるべきでしょう。

 著者のランドも「自分は優越人種なのだから通常のモラルには縛られない」と放言して25歳も年下の(既婚の)愛人を囲い、かれから別れ話を切り出されると逆上して破門など、自分の教えほどは功利主義的には生きられなかったようです。また彼女の死後、その弟子たちは派閥抗争を繰り広げて分裂を繰り返しています。彼女の「教え」は本当にそんなにいいのか? そういうことを考えながら、批判的に読むといいでしょう。

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20 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 近代資本主義の, 2004/10/5
By カスタマー
 学校で歴史を勉強した際、産業革命の後に自然に現れてきたように思っていた近代資本主義だったが、おそらく200年以上もかけて形成されてきた過程と由来をこの本を読んでいるうちに考えさせられた。
 第一部、第二部では一見、非常にエリート主義的な発想があちこちに見られ、世の中はあたかも少数の考える事のできる人と大多数のそれをできない人達に二分化されているような印象を受けた。しかし、このような人象化は単純に前者の考えられる人を正当化するために使われていたのではなく、背後に潜む社会・経済的なイデオロギーやその実践の仕方を深く表していた。公正さや平等とは一体何なのか。共産主義の下では均等という言葉のアヤのもと、逆に人々の機会を奪ってしまうようなことが行われる可能性がある。そこでのバランスを取りながら変遷してきた近代資本主義の成り立ちを、この本の時代背景(20世紀前半)と共に追っていける。今日のグローバル資本主義を考える上でも大切な示唆を残してくれる。
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29 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 誰をも奴隷にしない社会を創造する、現代の「建国」の物語, 2004/10/1
この小説は、1000ページ以上のボリュームでありながらもアメリカではひとつの「古典」として、1957年の出版以来ずっと読みつがれているそうです。
全体主義的・福祉偏重主義的風潮のなかで、個人として能力のある人々が社会の犠牲=頭脳労働や精神活動における奴隷となっています。その現代の奴隷が反逆し、新しい社会…誰をも奴隷にしない社会の建設を目指すというのがおまかなストーリーとなっています。
ランドのもうひとつの代表作『水源』は、超人の創造者、ハワード・ロークが物語の中心でしたが、この『肩をすくめるアトラス』では、そのローク級の人物が、それぞれのストーリーを抱えて多重的に、また謎を含んで物語が展開してゆきます。
構成的にも、ロークの友情と愛、創造者としての誇りが全編通して語られ、卑劣な妨害者がいても「青春」の雰囲気が漂う『水源』に比べて、『肩をすくめるアトラス』は、「現代の奴隷」にされた人々の悲しみや徒労感、他人や世間だけでなく兄弟や母、妻といった家族までもが彼らを奴隷にしているけれども人間としての絆を絶てずに苦悩するシーンがある等、かなり雰囲気は違っていました。
『水源』に端を発したランド思想はまさにこの『アトラス』にてひとつの完成を見ています。それは、最終的に現代の奴隷が旧社会と決別し新しい社会を目指すという、極限的な完成です。この極端さも、ランドがアメリカにおいてもしばしば敬遠される一因のようです。
ですが、たとえランドの思想を支持できなかったとしても、この小説の思想と言葉は読む人の心に残るでしょう。
そういう力を持った小説だと思います。
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