日経BP企画
イノベーションの本質 本書はタイトルから連想されるようなイノベーション(革新)に関する学術的考察が中心の書ではない。ここには、サントリーの飲料「DAKARA」、日清食品のカップめん「具多GooTa」、さらには「黒川温泉」やアニメ映画「千と千尋の神隠し」など、近年世間を賑わした13の大ヒット商品が登場する。それらが生まれた現場をつぶさにリポートし、誰の隣にもいるであろう社員たちが成し遂げた“革新”の本質と、それを支えた企業風土を分かりやすく解読していく書である。
新商品を世に送り出すうえで、コンセプト作りに徹底的にこだわる企業がある。その1つがサントリーだ。小便小僧のCMで知られる「DAKARA」は、大塚製薬の「ポカリスエット」や日本コカ・コーラの「アクエリアス」がほぼ独占していたスポーツ飲料市場の牙城を切り崩した。開発チームは2年かけて構築したコンセプトが不十分であったと自ら認め、発売を延期してまで「真のコンセプト」を求める決断を下し、さらに2年の歳月を費やした。
著者らは日本のビジネスマンの知恵と、日本企業に宿る伝統の「型」が融合したところに「知識創造」の源泉があると指摘。多くの企業人が倣うべき理念やモデルを抽出し米国発のマネジメント手法ばかりに頼るなと訴える。
(日経ビジネス 2004/08/09 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
出版社/著者からの内容紹介
勝見「なぜ、経営学という学問を続けているのでしょうか」 野中「……それはやっぱり、日本の経済、企業、そこで働く人たちにもっと元気になってほしいからです」
これは「まえがき」で明かした私たち著者二人のモチーフです。私たちは、独創的な新しい製品やサービスに結実したイノベーションの「現場」を2年間で13ヶ所歩きました。そのフィールドワークは、リクルートのワークス研究所が発行する人事専門誌「Works」で現在も連載されています。
組織の「壁」、常識の「壁」を乗り越えて、イノベーションをもたらしたのは、熱い思いをもったミドルたちでした。けっしてMBA的分析に長けた「傍観者」ではなかったのです。これは、野中の知識創造理論の要のひとつである「ミドルアップダウン」そのものです。つまり、現場を熟知するミドル層が上司を説得し、部下を叱咤して組織を動かす日本独特の組織原理が「イノベーション」を生み出しているのです。 「まとめ」でも触れましたが、日産も松下も、ゴーンさんと中村社長がクローズアップされますが、両社を復活・再生したのは、トップと第一線社員との結節点に立つミドルマネジャーがトップのビジョンを翻訳し、伝道師となって布教して回り、トップの暗黙知とフロントの暗黙知を統合していったからです。
1・難解といわれる野中理論が非常に整理されて理解できる 2・日本企業独自の道を考えさせる 3・なにかとつらい立場のミドルを元気づける 読んで力が湧いてくるビジネス書・経営書です。