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ネットベンチャーの経営に失敗した経験を持つ著者が、「ベンチャーとはそもそも何か」という点に立ち返り、ベンチャー経営がいかに特別なものであるかを描き出している。
たとえば著者は、一般中小企業は経営の優先課題を組織の存続に置き、自社の経営資源を超えた経営をしないが、ベンチャーは会社の「器」を事業の具現化の手段とみなし、戦略上必要な経営資源を外部から積極的に調達すると論じて、ベンチャーのリスクの高さを浮き彫りにする。また、アメリカとの比較から日本のベンチャー経営の非合理性を指摘したり、投資と融資の「カネの性質」の違いを解説したりもする。ベンチャー経営者ならぜひ、頭に入れておきたい知識である。
こうした論考を踏まえて、著者の失敗もあらためて検証されている。その大きな要因にされている経営スタイルと経営資源の「性格の不一致」という視点はじつに興味深く、失敗があってこそ得られるものであることがわかる。また、結論から導かれている「経営に必要な『速さ』と『早さ』は区別して考えなければならない。『速さ』とは、情報収集~分析~決断~実行の早さ=スピードである。『早さ』とは、ビジネスをいつ開始するかという『商機』に対するタイミングである」という提言は、そのままスタートアップ時の指針になる。
本書にはさらに、経営者になるための条件や、経営者が犯しやすい間違いなどもまとめられている。起業をめざす人やベンチャーの経営者にとって貴重なアドバイスが得られるのはもちろん、失敗が個人の成長にとっても社会にとっても不可欠であることを実感させてくれる1冊である。(棚上 勉)
出版社/著者からの内容紹介
98年末、ITバブル前夜に発行された『
社長失格』は多くのベンチャー関係者の話題を呼んだ。広告ページを組み合わせインターネットの接続料金を無料にするサービスを世界に先駆けて開発し、大きな話題を呼んだハイパーネット社の社長による破産までの「告白ノンフィクション」であり、日本では例を見ない「当事者による失敗のケーススタディ」だったからである。社長=著者である板倉雄一郎氏は、その後、経営コンサルタント/作家/ベンチャーキャピタリストとして復活し、テレビ・ラジオへの出演や雑誌・ネットでの連載を複数抱える「売れっ子」となった。そんな彼が倒産から4年、自らの「失敗の経験」をもとに、ゼロからのマイナスからの仕事の立ち上げ方、進め方、失敗からの立ち直り方をレクチャーする。それが今回の新刊『失敗から学べ!』だ。旧来の企業社会が崩れようとするいま、起業志望者はもちろん、あらゆる仕事人に読んでほしい「企業家精神」の本。ベンチャーのイロハから、失敗のケーススタディ、起業の仕方マニュアル、経営者の落とし穴まで、わかりやすく具体的に解説する。