「MBA」というと、アメリカのテキストの翻訳で、格好はよいが日本語の文脈で理解しようとすると今ひとつピンとこないものが少なくない。本書は、「MBA」をイメージのレベルにとどめて、むしろ誰にでも親しめる手ごろな会計書に仕上げることに成功している。いわば、「会計専門家ではないがその知識を必要としている、国際派を標榜するビジネスパーソンのための、ジャパニーズ・テイストの本」である。しかし、だからこそ多くの読者層に、強く支持されるに違いない。
全編は4部構成29章立て。第1部「原則編」では、図表を使って会社と会計の基本的なしくみが生き生きと説明されている。第2部「個別取引編」では、会計初心者にもわかるよう、仕入、売買取引、原価計算、経過勘定など簿記的な論点をカバーしながら、資金調達、株主総会のトピックスまでが解説されている。第3部「会計ビッグバン編」では、キャッシュフロー、連結会計、時価、税効果会計、退職給付会計などの論点が勢ぞろいし、さらに第4部「分析編」では、収益性、安全性、生産性、成長性を軸に、さまざまな分析ツール、株主関連指標が紹介されている。
「日本の簿記の本は退屈、かといってMBAの翻訳書もイヤ」というホンネで本を選ぶ人にはおすすめの1冊である。タイトルこそ内容とわずかに「違う」感じもするが、読み進めるうちに「大学で受けた会計学の講義や、あくびの出そうな簿記講座は一体何だったのだろう」と感激する人がいて不思議のない、即効性抜群の1冊だ。(任 彰)
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