本書は、全部で5章からなる。まず第1章では、従来の「流通革命」がなぜ誤っているのかについて、「言葉のあいまいな共通認識」「日本の流通業の生産性が低くないこと」などを理由として挙げながら、流通の常識のウソを鋭く指摘している。第2章では問屋の重要な機能として、品ぞろえの豊富さや小売業の健全競争の維持についての議論を展開し、問屋制度があるおかげで、日本の消費者は、欧米に比べて非常に幅広い品ぞろえと安い値段を享受できるのだと指摘する。また、第3章では、メーカーマージンが内外価格差の商品別格差を決定することなどを例示しながら、物価論の常識のウソを暴く。第4章では、日本の商社のもつ社会的機能に触れながら、「川中機能」(中間流通)の重要性について述べ、第5章では、流通業関係者の意見をオムニバス形式で紹介している。流通業界についての状況把握と認識に役立つ1冊だ。(増渕正明)
流通業界は「流通革命」という言葉の呪縛にとらわれ続けてきたという。問屋を外してメーカーと直接取引することで中間マージンをカットする試みは「善」であり、何より消費者のためだと信じられてきた。
松岡氏は「1960年代に生まれた流通革命的な考え方は、100%間違っている」と断言する。「流通業界に携わる人間は、過去40年にわたって『流通革命』という荒唐無稽なプロパガンダに自らが毒されてきたことに気づくべきである」とまで言い切る。
「川中」と呼ばれてきた問屋・商社の存在が、小売りの品揃えを豊かにし、健全な競争を促進してきた事例を具体的に検証していく。また、日本の商社が有する金融機能に着目し、「商社は世界最大のベンチャーキャピタル」と、有用論を展開。
食品問屋業の経営者らが自ら語った「中間流通論」も併せて掲載している。
(日経ビジネス 2002/01/14 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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