本書の基礎にあるのは、そのマッキンゼーによる長期の企業業績の調査だ。同社は過去38年、1008社の企業業績を分析した。その調査によれば、長期に存続する企業は減少傾向にあり、仮に存続してもその業績は投資家の期待を裏切る例が多いという。投資家的な観点に立っていえば「生き残り企業に忍耐強く投資するより、単にマーケットインデックスに投資する投資家のほうが相当高い利回りを得る」のだ。この事実はそれ自体たいへんおもしろいが、企業にとって意味するところは深刻だ。
企業としては、この事態にどう対応したらよいか。継続性という仮定の上に立たず、むしろ断絶の仮定のもとで今こそ創造的破壊に取り組むべきだ、と著者は主張する。「企業を市場に近づけろ」「市場のように行動せよ」と言うのだ。
「創造的破壊」は、1930年代にシュンペーターが唱えた概念だ。本書は、その創造的破壊を本題に据えた本格的経営書だ。読後の感想をひと言で言えば、「ずばり直球を投げている本」だ。素直といえば素直で、ひねりはないが、日本の苦境は「漸進主義の失敗」であるとか、「創造的破壊にあわせてデザインされたアメリカシステム」といった主張は、残念ながら説得力がある。
本書の基本的主張はいわば「市場礼賛」なので、日本の読者のなかには異論を持つ人もいるに違いない。しかし意見が違う人にとっても、事例が豊富でヒントが多い本だ。とくにGE、インテル、ジョンソン・アンド・ジョンソンの事例がおもしろい。(榊原清則)
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