本書のタイトルにある「シェーキー」とは、1960年代にアメリカのスタンフォード研究所に実際に存在したロボットで、人工知能によって自立的に動くことのできる最初のものの1つである。著者は、この「シェーキー」に始まるアメリカのロボット研究の歩みと、未来の万能ロボットにいたるまでのロードマップを私たちに示すのだが、著者本人が研究の最前線にいて、さまざまな研究や技術開発を行ってきただけあって、非常に説得力がある。コンピュータの処理能力向上に応じてどこまでの「知性」が獲得できるかなど、きわめて具体的に語られ、納得させられる。
そして、後半で著者は、ロボットの「進化」を前提に、私たちの前に大胆な未来予想図を示すのである(長期的な予測として、なんと100年後の世界についても語っている)。そこでは、人類の進化の系統が、従来からあるDNAを媒体とする生物学的な遺伝による進化に加えて、機械や情報を媒体とした遺伝による進化が生まれ、独自の生態系を作ることを示唆するのである。そして、このような未来世界では、人間の立場や在り方にもかつてない変化が生じるというのである。
本書の未来予測は、現在の私たちの常識からするときわめてSF的といえるだろう。かといってその可能性を否定することもまたできない。生物の知的能力をコンピュータの処理能力に換算することを前提とした未来予測には否定的な人もいるだろうが、本書を最も前衛的な未来論として受け止めたい。(福島紀行)
88年以来の著作となる本書では、コンピューターの飛躍的進化を背景に、人間の知的作業を代行する万能ロボットが、2040年には出現するという予測を披露している。
まずは生産におけるオートメーションの萌芽と、先端研究所の中で行われたロボット開発における試行錯誤についてその歴史を整理する。そのうえで、知性や意識といった目に見えない価値でさえ大容量コンピューターで生み出すことが可能になったと論述する。
ホンダが開発した人間型自立2足歩行ロボットを「現状では恐らく最も進化した自律型ロボット」と位置づけつつ、2010年には「物を取り扱う能力」を有した第1世代の万能ロボットが出現するであろうと予測。同時に我々には、自らの存在価値を見直す姿勢を問う。
(日経ビジネス 2001/11/26 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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