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生命科学とバイオテクノロジーの進展により、さまざまな病気の発病のしくみが遺伝子などの分子のレベルから明らかにされようとしている。こうした生命テクノロジーの進歩は、新薬開発にも大きな影響を与えている。従来の新薬の開発では、対象となる病気のしくみが分子レベルではよくわからなかったために、どのようにしてその薬が効いているのかが必ずしも明確ではない場合が多かった。だが、分子レベルから病気のしくみが解明されれば、発病を直接阻害する薬剤分子を作り、有効な新薬を開発することができる。本書はこうした製薬の新しい流れについての一般向けの解説書である。
本書はまず第1章で、肥満、パーキンソン病、血友病などの研究を概観しながら、大まかに生命テクノロジーの歴史から現在までを概説する。第2章ではヒトの体のしくみについて、遺伝子や免疫機構などの基本的な知識がコンパクトにまとめられている。以降8章までは各章で1つの病気が取り上げられていく。第3章では貧血、第4章では肥満、第5章では糖尿病、第6章ではガン、第7章では精神分裂病、そして第8章ではアルツハイマー病が取り上げられ、その病気の原因解明がどこまで進んだか、どんな新しい治療薬が開発されているかを解説する。適宜わかりやすいイラストが用いられ、理解を助けてくれる。最終章の9章では「難病に挑むバイオベンチャー」と称してクローン病、エイズ、慢性骨髄性白血病に対する新薬の開発について触れられている。
比較的評価の定まった事実について解説しているので、この領域の書籍の宿命である知識の風化の影響は少ないと思われる。生命テクノロジーに興味のある人から、バイオ関連業種への投資を考えている人まで広くおすすめできる。(別役 匝)
日経BP企画
バイオ・トゥデイ 見えてきた新薬革命 現時点で最もバイオテクノロジーが活用されている分野と言えば、医薬品開発。病気の原因解明が進み、その原因だけをピンポイントで狙うバイオ医薬品が市場に出始めている。実際に医薬品業界でどのような新薬が開発されつつあるのかを、大きな市場が見込まれる疾患ごとに紹介したのが本書だ。
紹介されている疾患分野は、ガンや糖尿病、アルツハイマー病など。疾患の原因遺伝子やたんぱく質などを含めた発症機構を解説したうえで、企業が開発する新薬が狙う標的はどこなのかを、開発のエピソードを交えて述べている。
もともと、一般の投資家に向けた「製薬関連ベンチャーへの投資指南書」の執筆を目的としていたこともあり、解説がわかりやすく丁寧だ。著者の1人である清宮正人氏は、ある外資系製薬会社の学術部門に所属している。
(日経バイオビジネス 2002/01/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)