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リンさんの小さな子
 
 

リンさんの小さな子 (単行本)

by フィリップ クローデル (著), Philippe Claudel (原著), 高橋 啓 (翻訳)
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Product Description

出版社 / 著者からの内容紹介

戦禍の故国を遠く離れて、異国の港町に難民としてたどり着いた老人リンさんは、鞄一つをもち、生後まもない赤ん坊を抱いていた。まったく言葉の通じないこの町の公園で、リンさんが知り合ったのは、妻を亡くしたばかりの中年の大男バルクだった。ところが…。現代世界のいたるところで起きているに違いない悲劇をバックにして、言語を越えたコミュニケーションと、友情と共感のドラマは、胸を締め付けるラストまで、一切の無駄を削ぎ落とした筆致で進んでゆく。ベストワン小説『灰色の魂』の作者が、多くの読者の期待にこたえて放つ傑作中篇。フランスと同時に刊行される最新作。

内容(「BOOK」データベースより)

戦争で家族を失い故国を追われた老人は生まれてまもない赤ん坊を抱いて難民となった…『灰色の魂』の作者がおくる言語の壁を越えた、友情と共感のドラマ。

Product Details

  • 単行本: 167 pages
  • Publisher: みすず書房 (2005/09)
  • ISBN-10: 4622071649
  • ISBN-13: 978-4622071648
  • Release Date: 2005/09
  • Product Dimensions: 7.5 x 5.3 x 0.7 inches
  • Average Customer Review: 4.4 out of 5 stars  See all reviews (14 customer reviews)
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5 of 5 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 深い、静かな情感を, 2005/12/19
By アジアの息吹 - See all my reviews
(TOP 100 REVIEWER)   
技巧派で知られる作家が、逆にシンプルな作品を書いたときに
例えばパトリック・ズュースキントの『ゾマーさんのこと』のように
非常に美しく、心に残る作品が生まれることがある。
フィリップ・クローデルの日本における翻訳第二作である本書も
そんな本のひとつであろう。

翻訳第一作の『灰色の魂』が、パズルのような構成と複雑な時制と
多様な登場人物を擁するアラベスクだとすれば、
本作は、紙の上に書いた一本の線のように素っ気無い。

しかし人と人との共感と友情に、その存在以外何が要るのだという
力強い問いの前に、言葉を飾ることの限界と、
深い、静かな情感を得られる傑作である。
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4 of 4 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 何かあたたかな気持ちがわいてきます, 2006/6/24
一人、孤独で過ごしている毎日。
そこで言葉も何もかも分からない人と出会う。
言葉じゃなくても、表情やシグサで何かが伝わってくる。
一人が当たり前だったのに、その人と会うのが楽しみになり
過ごすのが楽しみになる・・・ひとりが寂しいと感じるようになる。
そんな当たり前の事がジンジンと伝わってきた・・・。

恋とかではない、誰かを想う気持ちも。

最後の結末にはビックリ。
でも、その結末を知ってもう一度読み返したくなる作品です。
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8 of 9 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 映像化不可能、これぞ言語芸術, 2005/11/21
By 守隨秀章 "守隨" (東京都品川区) - See all my reviews
これから本作を読んでみよう、とお考えの方にはお願いがあります。
この作品は、似たセンテンスやフレーズがたびたび使われることがあるので、単調な小説だ、と感じられることもあるかもしれません。でも、それほど長い作品ではないので、是非、最後まで読み終えてください。
そのとき、昨今の日本の小説では味わえない、深い感動を経験できることは間違いありません。

この小説は、おそらく現在の技術では映像化は不可能だ、と思います。

作品の前半で、リンさんの故郷の村の風景や生活がやや念入りに描かれます。少し後に、バルクさんが、もし妻が生きていたら、都会生活を離れて田舎暮らしをするのが夢だった、と語ります。バルクさんの想像する田舎暮らしが簡潔に描写されますが、ここまで読むと、この作家の非凡な文章力に、私のような本好きは思わず嬉しくなってしまいます。

読み進むうちに、難民事務所に一時収容されている同胞の家族たちのリンさんへの応対の仕方や、後半、リンさんが収容される老人ホームの描写に、少しだけ奇異な印象を受けるかもしれません。作者はこうした施設の内情への批判を込めて、やや大げさに描写しているのだろう、と解釈して片付けてしまうと、この本を読了したときに、自分の解釈のあまりの安直さを思い知らされることになります。

この作品のラスト・シーンは、日本人的な感覚からすると「ちょっと狡いなぁ」という感想を持たれるかもしれません。しかし、それは作者自身がフランス人であることへの自己批判であるかもしれないのです。
なぜなら、こうした作家的狡猾さは、リンさんの村を襲った代理戦争に介入した、かつての宗主国の狡猾さを象徴しているのかもしれないからです。

『リンさんの小さな子』とは、なんと朴訥としたタイトルだろう。本を手に取ったときにはそう思いますが、それも、この作品を読了したときに、実は途轍もなく深い意味が込められていたことが、忽然と了解されることと思います。
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